実践演習 極限・微分積分系

eが無理数であることの証明【微分の利用、定積分の利用】【1997年度 大阪大学ほか】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

 

ネイピア数 \(e\) が無理数であることを証明させるという、先人の重みを感じるような問題です。

もちろん、誘導なしで証明しろという問題が入試として出題されたとしたら、大半の人はひとたまりもないでしょう。

今回持ってきた問題は、受験の項目として大事な考え方などを含むような路線の誘導がついているということで勉強になると思います。

それに加えて、ネイピア数 \(e\) の無理数性を証明するという、学問的な事実としての面白さもあると思います。

本問のオチを見ると、今回の話題であるネイピア数 \(e\) が無理数であるということを全然匂わせていませんが、(4) が意味することはまさに \(e\) が無理数であるということを意味しています。

「これが意味することは分かるな?」

という阪大の出題の仕方は、私は好きです (笑)

(以下ネタバレ注意)

 

+ クリック(タップ)して続きを読む

(1) (2) について

定積分と不等式評価の基本である

体の一部を定数化

という考え方です。

定積分の不等式評価の処方箋

体の一部を定数化

積分漸化式に絡め

はぜひ自分のものとしたい考え方です。

積分漸化式の作成においては

積分漸化式作成の処方箋

部分積分からの積分漸化式

という路線が常套手段です。

(3) について

示すべき等式の左辺が \(\displaystyle \frac{a_{n}}{n!}\) であるということから、(2) で得られる

\(a_{n}=na_{n-1}-1\)

という漸化式の両辺を \(n!\) で割ってやります。

これにより

\(\displaystyle \frac{a_{n}}{n!}=\displaystyle \frac{a_{n-1}}{(n-1)!}-\displaystyle \frac {1}{n!}\)

と、階差数列としての構造を得ますので、あとは手なりに進んでいくでしょう。

(4) について

否定的な命題に関する証明なので、背理法を選択します。

もし、\(N!e\) が整数となるような自然数 \(N\) が存在してしまうと仮定して話を進めていくと、これまでの誘導が次々と効いてきます。

類題について

例題の大阪大学と同じように定積分を利用した路線の問題を用意しておきます。

こちらはどちらかと言うと復習用に利用できるかと思います。

【類題1】問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

また、微分を利用した不等式証明から切り込む路線の問題を【類題2】として紹介します。

こちらは別の切り口からの問題として

「同じオチでも切り口が違うと、また脳みその使い方が違うな」

ということを実感してください

【類題2】問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

本問の話題を含むテーマの演習について

定積分と不等式評価についてのシリーズ

定積分と不等式評価 第1講【定積分の評価方法】【2001年度 大分医科大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)   多くの人が苦手とする話題である「定積分と不等式評価」という話題です。 特に現役生の勝負のカギは数Ⅲの完成度にあると言っても過言ではないのですが、結局この分野を苦手としたまま当日をむかえてしまうことになる受験生は沢山いるでしょう。 そんな受験生たちに差をつけましょう。 このシリーズの一覧はこちら   不等式評価には絶対的な正解がありません。 例えば \(1 \lt □\) の □ に何を入れるかと言われたら人によるところ ...

続きを読む

定積分と不等式評価 第2講【ライプニッツ級数】【2012年度 琉球大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)   今回は \(\tan{ \ }\) に関する定積分を扱います。 積分漸化式の作成については「部分積分」というのが常套手段なのですが、\(\tan{ \ }\) に関する定積分については例外です。 今回の問われ方は「\(I_{n}+I_{n+2}\) を求めよ。」であり、これはかなり親切です。 「\(I_{n+2}\) を \(I_{n}\) と \(n\) を用いて表せ。」であれば正答率はもっと下がると思います。 その場合の対処 ...

続きを読む

定積分と不等式評価 第3講【ライプニッツ級数】【項別積分】【2006年度 名古屋市立大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)   前問に引き続き、ライプニッツ級数を題材とした定積分と不等式評価についての問題を見てみます。 このシリーズの一覧はこちら   今回は \(\tan{ \ }\) の逆関数を用いた誘導が付いた問題です。 (1) はイロハのイですが、今回は【総括】の中で \(x=\tan{\theta}\) の置き換えで上手くいくバックボーンについて触れておきました。   (2) においては「体の一部を定数化」です。 その際には、 ...

続きを読む

定積分と不等式評価 第4講【メルカトル級数】【2015年度 山形大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)   定積分と不等式評価の第4講です。 今回は メルカトル級数 \(1-\displaystyle\frac{1}{2}+\displaystyle\frac{1}{3}-\displaystyle\frac{1}{4}+\cdots\cdots=\log{2}\) について扱った問題を見てみます。 とは言え、本問は、よく言えば丁寧な、悪く言えば過保護な誘導がついています。 ほとんど言われた通り進めていけば、完答できてしまうレベルだと ...

続きを読む

定積分と不等式評価 第5講【eの無限級数表示】【2004年度 高知大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)   定積分と不等式評価の第5講です。 このシリーズの一覧はこちら 今回はネイピア数 \(e\) の無限級数表示がオチの問題です。 背景には \(e^{x}\) のテイラー展開(マクローリン展開) \(e^{x}=1+\displaystyle\frac{x}{1!}+\displaystyle\frac{x^{2}}{2!}+\displaystyle\frac{x^{3}}{3!}+\cdots\) があります。 しかし、それを前 ...

続きを読む

適宜ご活用ください。

\(\pi\) が無理数であることの証明について

こちらもCHECK

πが無理数であることの証明【定積分の利用】【2003年度 大阪大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 円周率 \(\pi\) は無理数です。 と習ったのは中学生ぐらいでしょうか。 教わったときは「へぇ~、そうなんだ」と流してしまう人がほと ...

続きを見る

例題の解答はコチラ

類題1の解答はコチラ

類題2の解答はコチラ

-実践演習, 極限・微分積分系
-, ,

© 2024 MathClinic