例題について
例題はこちら(再掲)(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)
解の公式から
\(\alpha=\displaystyle \frac{-a \pm \sqrt{a^{2}-4b}}{2}\)
となりますが、この式を使って直接示そうという路線はとりたくないというのが大多数の人の感覚でしょう。
なので、間接証明法である背理法によって示すという路線をとりたいと思います。
そこで、\(|\alpha| \geq |a|+1\) と仮定します。
\(\alpha^{2}=-a\alpha-b\) なので、両辺絶対値をとれば
\(|\alpha|^{2}=|a\alpha+b|\)
となります。
条件 \(|a| \gt |b|\) を用いようと思うと、右辺の絶対値をばらしたくなります。
絶対値をばらす武器として
があります。
これを用いて
\(|a\alpha+b| \leq |a||\alpha|+|b|\)
を得て、条件 \(|a| \gt |b|\) を使うと
\(|a||\alpha|+|b| \lt |a||\alpha|+|a|=|a| (|\alpha|+1)\)
となります。
さらに、背理法の仮定から、\(|a| \leq |\alpha|-1\) ですから
\(|a| (|\alpha|+1) \leq (|\alpha|-1)(|\alpha|+1)=|\alpha|^{2}-1\)
ということになり、\(|\alpha|^{2} \lt |\alpha|^{2}-1\) となって矛盾します。
ポイントとしては
- 直接解に触れない背理法を用いて間接的に証明する。
- 絶対値をバラす手段として三角不等式を活用する。
という点です。
類題1について
類題1はこちら(再掲)(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)
例題と要領やポイントは同じで
- 直接解に触れない背理法を用いて間接的に証明する。
- 絶対値をバラす手段として三角不等式を活用する。
となります。
三角不等式を活用する部分を (1) で訊いてくれています。
上記ポイントを分けて出題してくれているので、幾分かはやりやすいでしょう。
類題2について
類題2はこちら(再掲)(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)
やはりポイントや要領は同じです。
最高次の係数が \(1\) ではなく一般的にしてありますが、慌てず落ち着いて例題、類題のエッセンスが自分の血となり肉となっているかを確認してください。
類題3について
類題3はこちら(再掲)(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)
今までは \(|\alpha|\) を上から押さえていましたが、下からも押さえるという話題です。
これについては
掛谷の定理
実数 \(a_{0}\) , \(a_{1}\) , \(\cdots\) , \(a_{n}\) に対して
\(a_{0}+a_{1}x+a_{2}x^{2}+\cdots+a_{n}x^{n}=0\)
が実数解 \(x=\alpha\) をもつとする。
このとき
- \(0 \lt a_{0} \leq a_{1} \leq \cdots \leq a_{n}\) ならば \(|\alpha| \leq 1\)
- \(a_{0} \geq a_{1} \geq \cdots \geq a_{n} \gt 0\) ならば \(|\alpha| \geq 1\)
という「掛谷の定理」と呼ばれるものがあります。
掛谷の定理の系として、本問 (3) の主張が成り立ちます。
マニアックな部類に入ると思いますから、無理して覚える必要はありません。
しかし、正の係数限定とはいえ、\(n\) 次方程式の解の限界を係数から判断できるという学問的な面白さがあります。
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