2023年度 名古屋大学 理系数学【総評と感想】
2023年度名古屋大学理系 各解説記事 150分 4題 記述式 と形式に変更はありません。 分野的トピックス 第1問:複素数と方程式、複素数平面(Ⅲ) 第2問:図形と方程式、微分法・積分法、極限(Ⅲ) 第3問:微分法(Ⅲ) 第4問:式と証明、数列 3題が数Ⅲの内容を含む出題となりました。 また、頻出分野である場合の数・確率からの出題がなく、これは2002年以来のことです。 各大問について 第1問(標準) 問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 複素数平面上の円周上の点が表す複素数を ...
2023年度 名古屋大学 理系 第4問【第1種スターリング数】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 第1種スターリング数を扱った問題ですが、多くの受験生にとって初見だと思います。 一般に、数列 \(\{a_{n}\}\) に対して \(\displaystyle \sum_{n=0}^{\infty}a_{n}x^{n}=a_{0}+a_{1}x+a_{2}x^{2}+\cdots\) を数列 \(\{a_{n}\}\) の母関数と言います。 例えば、 \({}_n \mathrm{ C }_0+{}_n \mathrm{ C }_1 x+ ...
2023年度 名古屋大学 理系 第3問【方程式の実数解の個数】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 方程式の実数解の個数について考えるという問題で、テーマとしては定番寄りの話題です。 微分法を用いてグラフの概形を捉え、方程式の解を視覚化することで共有点の個数を考えるという点で、方針面では迷う余地はありません。 ただ、与えられた方程式をどのような形で見るのが最善なのかという点で、アタフタする部分があるかもしれません。 与えられた方程式をどのように見ても、一応解けるには解けますが、最適な道を行こうと思うと、問題全体を俯瞰する必要が出てきます。 ...
2023年度 名古屋大学 理系 第2問【2円で囲まれる部分のx軸回転体】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 2円が相異なる2点で交わるとき、2円で囲まれる部分の \(x\) 軸回転体の体積について考える問題です。 文字を多く含み、計算量が多少あるものの少なくとも (2) , できれば (3) までは何とか辿り着きたいところです。 (4) は (3) で得た \(V(r)\) を \(r\) で微分し、\(V'(r)\) を計算して増減表を得ることができれば解決なので、方針面では迷う余地はありませんが、かなりエグイ計算に襲われます。 \(r=a-b ...
2023年度 名古屋大学 理系 第1問【複素数平面上の円上の点を解にもつ4次方程式】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 複素数平面上での円上の点が表す複素数を解にもつ4次方程式についての問題です。 図形的な意味合いと式的な意味合いを結びつける力も要求され、総合的な力が問われています。 (1) はなまじ形がキレイな結論であるため、逆にアタフタするかもしれませんが、冷静に沈めたいところです。 (2) は \(p\) , \(q\) , \(r\) , \(s\) を解 \(\alpha\) , \(\beta\) の情報を含む \(t\) , \(u\ ...
2023年度 大阪大学 理系数学【総評と感想】
2023年度大阪大学理系 各解説記事 150分 5題 記述式 と、形式に変更はありません。 分野的トピックス 第1問:極限・積分法(Ⅲ) 第2問:平面ベクトル 第3問:微分法(Ⅲ) 第4問:空間ベクトル 第5問:確率・数列 数Ⅲの比重が大きい阪大ですが、今年は2題でした。 また、ベクトルの問題が2題あったのも特徴的でした。 各大問について 第1問(標準) 問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) メルカトル級数に関連する極限の問題です。 不等式証明からの極限計算ということで、最後は「 ...
2023年度 大阪大学理系第5問【サイコロの目によってできる数が7で割り切れる確率】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) サイコロの目によってできる数 \(b_{n}\) が \(7\) で割り切れる確率を求める問題です。 実験的な設問もあり、今年のセットの中では比較的標準の難易度の問題であるため、できれば確保したいところです。 \(b_{n+1}=a_{1}b_{n}+a_{n+1}\) という関係式から、\(a_{1}b_{n}\) を \(7\) で割った余りに応じて、\(n+1\) 回目の目である \(a_{n+1}\) の目が 1 つ決まるということに ...
2023年度 大阪大学理系第4問【座標空間における点の軌跡】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) \(xz\) 平面上の点 \(\mathrm{A}\) と、\(xy\) 平面上の点 \(\mathrm{P}\) を結ぶ直線を原点を通るように垂直に切った平面 \(\alpha\) と、その切り口である点 \(\mathrm{Q}\) を考えます。 お絵描きが中々難しいですが、完ぺきに律儀な図を書かなくても、必要な情報さえ抽出できればよいでしょう。 (1) は式的に攻めるか、図から攻めるかという2路線が考えられますが、ある程度ラフな絵でも情 ...
2023年度 大阪大学理系第3問【曲線外の点から引いた接線の本数】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 曲線外の点から接線が何本引けますかという定番のテーマであり、類題経験は阪大受験生であればあって然るべきでしょう。 なので、方針面で困ることがあってはなりません。 ただ、処理面で手が止まってしまう受験生は少なくないでしょう。 \((t \ , \ \cos{t})\) における接線の式を立て , それが \((a \ , \ b)\) を通るように仕組むことになります。 すると、 \(b=(t-a)\sin{t}+\cos{t}\) という等 ...
2023年度 大阪大学理系第2問【平面ベクトルと点の存在範囲】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 目がチカチカして一見怯んでしまいそうですが、一皮むいてしまえば標準的な内容です。 試験場で解けなかった人からすると、あとから解答を見て なんでこれができなかったんだ と唇を噛むタイプの問題です。 指導者レベルの経験値をもった人であれば当たり前に感じてしまう工夫なのですが、受験生レベルだと(ましてや試験場だと)アタフタするかもしれません。 本問は文系第3問との共通問題でした。 文系の受験生だと一皮が分厚く感じるでしょうが、阪大理系受験生であれば ...