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3次方程式の解の極限について扱う問題ですが、口で言う以上の様々なテーマや教訓を含んでいます。
極限についてや、方程式の扱いについての実戦問題として得るものが多い良問だと思います。
(以下ネタバレ注意)
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(1) について
これについては基本的な問題で、
①:単調性と連続性
②:代入して正となる値の存在
③:代入して負となる値
の3点を確認します。
②と③については今回は極限について考えれば十分でしょう。
(2) について
x^{3}+\displaystyle \frac{1}{n}x-8=0
の実数解を考えるにあたり、直接解を求めるわけにもいきません。
(1) もグラフを考えた視覚化によって証明しています。
(2) もこの実数解を視覚化することによって証明していきたいと思います。
ここで、路線的には2路線あります。
x^{3}+\displaystyle \frac{1}{n}x-8=0 のまま考える路線
そのまま
x^{3}+\displaystyle \frac{1}{n}x-8=0
という方程式で考えるとなると
y=x^{3}+\displaystyle \frac{1}{n}x-8
というグラフで考えることになります。
そこで、f(x)=x^{3}+\displaystyle \frac{1}{n}x-8 とおくと
- f(0)=-8 \lt 0
- f(2)=\displaystyle \frac{2}{n} \gt 0
が言えますから、(1) の単調性も併せると
という状態となり、
0 \lt a_{n} \lt 2
ということが言えます。
a_{n} \lt a_{n+1} について
n を動かすと y=f(x) のグラフも変わってしまうため、a_{n+1} を x 切片として捉えるのは得策ではないでしょう。
何とか y=f(x) のグラフを活かす方針を考えると
f(a_{n+1}) の値が正なのか負なのかを考える
という作戦でいきたいと思います。
つまり、
- f(a_{n+1}) の値が正ならば a_{n+1} \gt a_{n}
- f(a_{n+1}) の値が負ならば a_{n+1} \lt a_{n}
ということが言えるわけで、じゃあどっちだということを調べればよいことになります。
ここまで晒しても、もう一山ありますし、(ii) についてはある程度の試行錯誤が必要です。
詳しくは【戦略2】【解2】で。
方程式を組み替える路線
x^{3}+\displaystyle \frac{1}{n}x-8=0 のまま考えると
y=x^{3}+\displaystyle \frac{1}{n}x-8
というように、「3次曲線が動く」ということになります。
それを嫌い、厄介な3次曲線に「動くな!」と喝を入れ
x^{3}=-\displaystyle \frac{1}{n}x+8
というように方程式の左辺と右辺を組み替えます。
視覚化するにはするのですが、厄介な3次曲線は止まってくれています。
n を変化させて動くのは
y=-\displaystyle \frac{1}{n}x+8
という直線であり、その動き方も単純です。
このように柔軟に左辺と右辺を組み替えるということが自然にできるように教訓として持って帰ってもらいたいので、こちらを【解1】としています。
なお、この方程式の組み替えについては
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参考解の配置問題【左辺と右辺の組み換え】【2003年度 大阪市立大学ほか】
例題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 2次方程式の解に関して注文が入る「解の配置問題」と呼ばれる問題です。 その中でも今回扱うのは 「少なくとも1つ」 というタイプです。 こ ...
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でも扱っています。
なお、この方針だと、(ii) についてもほぼ瞬殺です。