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実践演習 極限・微分積分系

アステロイドの射影【ベクトル方程式の活用】【1999年度 お茶の水女子大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

アステロイドに光を当てたときにできる影について考える問題です。

立式さえできれば、曲線の長さという基本的な計算になりますので、この影が表す図形をどのように立式するかがポイントになってきます。

(以下ネタバレ注意)

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イメージ図

ひとまずは問題の図形 DD' のイメージを掴みたいと思います。

図形 D の境界線が表す曲線を C ,  図形 D' の境界線が表す曲線を C' とします。

C は平面 z=1 上のアステロイドであり、C 上の 1 点 \mathrm{P} に光が当たったときを考えてみます。

すると

というようなイメージで \mathrm{Q} が対応します。

\mathrm{P}C 上を動いたときの \mathrm{Q} の軌跡が C' ということに他なりません。

\mathrm{P}(x \ , \ y \ , \ 1) ,  に対して、\mathrm{Q}(X \ , \ Y \ , \ 0) が対応したとすると、目標とすべきことは XY の関係式を Get することです。

\overrightarrow{\mathrm{AQ}}=t\overrightarrow{\mathrm{AP}}

と、\overrightarrow{\mathrm{AP}} を伸ばして \overrightarrow{\mathrm{AQ}} を得るという方向性を考えることになります。

この t は、点 \mathrm{Q} が平面 z=0 上に乗るような

うまい倍率 t

という意識が大切です。

\begin{eqnarray} \overrightarrow{\mathrm{OQ}}&=& \overrightarrow{\mathrm{OA}}+t\overrightarrow{\mathrm{AP}} \\ &=& (1-t)\overrightarrow{\mathrm{OA}}+t\overrightarrow{\mathrm{OP}} \end{eqnarray}

ですから、\overrightarrow{\mathrm{OQ}} を成分で表すと

\overrightarrow{\mathrm{OQ}}=\left( \begin{array}{c} (x-a)t+a \\ (y-b)t+b\\ (1-h)t+h \end{array} \right)

ということになります。

z 成分が 0 となることから、

(1-h)t+h=0

すなわち

t=\displaystyle \frac{h}{h-1}

t が求まります。

これにより、

\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} X=\displaystyle \frac{h}{h-1} \cos^{3}{\theta}-\displaystyle \frac{1}{h-1}a\\ Y=\displaystyle \frac{h}{h-1} \sin^{3}{\theta}-\displaystyle \frac{1}{h-1}b \end{array} \right. \end{eqnarray}

と、\mathrm{Q}(X \ , \ Y \ , \ 0) の軌跡が表す曲線 C' のパラメータ表示が得られました。

あとは曲線の長さを得る公式

\displaystyle \int_{\alpha}^{\beta} \sqrt{(\displaystyle \frac{dX}{d\theta})^{2}+(\displaystyle \frac{dY}{d\theta})^{2}} d\theta

を用いて捌いていけばよいでしょう。

別路線

\overrightarrow{\mathrm{OQ}} を得るにあたっては

  • \mathrm{Q} は線分 \mathrm{AP}h \ : \ 1 に外分する点

と捉えて

\overrightarrow{\mathrm{OQ}}=\displaystyle \frac{-\overrightarrow{\mathrm{OA}}+h\overrightarrow{\mathrm{OP}}}{h-1}

という外分点の公式から導出してもよいでしょう。

これは

\overrightarrow{\mathrm{OQ}}=\displaystyle \frac{h}{h-1}\overrightarrow{\mathrm{OP}}-\displaystyle \frac{1}{h-1}\overrightarrow{\mathrm{OA}}

と見ると、

  • 曲線 C' は、曲線 C を原点中心に \displaystyle \frac{h}{h-1}倍し、-\displaystyle \frac{1}{h-1}\overrightarrow{\mathrm{OA}} 方向に平行移動したもの

と捉えることができます。

平行移動は長さに影響を及ぼさない操作ですから、求める曲線の長さは

  • 元のアステロイド C の長さの \displaystyle \frac{h}{h-1}

ということになり、この路線から考えてもよいでしょう。

アステロイドならではの問題について

本問はアステロイド特有の性質が前面に出ている問題ではなく、本問の趣旨を問いにしたければ、別にアステロイドじゃなきゃいけない理由もありません。

アステロイド特有の性質について確認したければ

参考有名曲線【ハイポサイクロイド】【アステロイド】【2014年度 岐阜薬科大学】

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