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必ず成り立つ不等式を文字通り絶対不等式と言います。
本問はある程度の演習をこなしている人からすると、あるものがインスピレーションされると思います。
そして、本問の \(k\) の最小値について予測できてしまうとも思います。
ただし、細かな部分まで詰めていこうとすると結構ウルサイ問題です。
採点基準にもよりますが、自分の手ごたえと実際の得点率にはギャップがある問題かもしれません。
(以下ネタバレ注意)
+ クリック(タップ)して続きを読む 本問の形的に 平均値の定理 をインスピレーションした人も多いかと思います。 \(x=y\) のときは \(k\) の値によらず成立しますので、以下は \(x \neq y\) のときを考えます。 結局 \(|\displaystyle \frac{\sin{x}-\sin{y}}{x-y}| \leq k\) が任意の実数 \(x\) , \(y\) について成立するような \(k\) について考えるわけです。 平均値の定理を用いると \(|\displaystyle \frac{\sin{x}-\sin{y}}{x-y}|=|\cos{\alpha}|\) となる \(\alpha\) が \(x\) と \(y\) の間に存在します。 よって、 \(|\displaystyle \frac{\sin{x}-\sin{y}}{x-y}| \leq 1\) ということが言えます。 ここから、 よって \(k \geq 1\) であり、\(k\) の最小値は \(1\) とやると、少し傷があります。 どこがマズいか分からないという方は、【総括】をご覧ください。 簡単に言うと、 実は、\(|\cos{\alpha}|=1\) となるような \(x\) , \(y\) が存在しません。 本問は大小関係だけ言えればよいという問題ではなく、「実際にとり得るかどうか」ということまで議論する必要があります。 上述の観点から、本問はやはり、グラフなり増減表なりを用いて 実際にこの範囲の値を取り得る という「値域」について言及する必要があると考えます。 ただ、本問は2変数あり、そのままグラフなどを考えようとした場合、予選決勝法的な1文字固定で考えることになるでしょう。 今回はその方針は見送ります。 ここでは、本問の絶対不等式のもつ 「全称命題としての側面」 に注目します。 全称命題って何?という方は テーマ別演習:全称命題 全称命題 第1講【恒等式として等号が成立するための条件】【1990年度 東京工業大学】 問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 「全称命題」というテーマ性のある話題を扱います。 これは分野は関係なく、「考え方」に難しさがあり、独特な議論の進め方をします。 対応を知らないと、白紙になってしまったり、見当はずれなことを場当たり的に書いて終了してしまいかねません。 全称命題だと見抜く「眼」と、見抜いた後の「対応」の両輪をきちんと揃えておき、ライバルに差をつけましょう。 シリーズ一覧はこちら 今回は恒等式となるための条件を考えるという問題です。 見た目が仰々しく ... 全称命題 第2講【一般項と漸化式】【1986年度 東京工業大学】 問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 全称命題シリーズ第2講です。 シリーズ一覧はこちら 全称命題についての対応は第1講で学びました。 全称命題特有の処理を施すわけですが、その後については「分野」ごとの常識力が問われる問題に帰着します。 (以下ネタバレ注意) + クリック(タップ)して続きを読む 全ての自然数 \(n\) について \(a_{n}\) を割り切る素数を探すので、 \(a_{1}\) も割り切る必要があるよね? という屁理屈 ... 全称命題 第3講【整数問題】【一般項か漸化式どちらを扱うか】【1997年度 一橋大学】 問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 全称命題シリーズ第3講です。 シリーズ一覧はこちら 今回は整数分野の全称命題を扱います。 必要条件を言う部分で整数問題としての処理が求められるでしょう。 その後の十分性の確認では第2講の内容が存分に現れるので、前回の内容の確認もできると思います。 (以下ネタバレ注意) + クリック(タップ)して続きを読む \(a_{n}=5^{n}+an+b\) とおきます。 全称命題と捉えて \(a_ ... 全称命題 第4講【整数問題の基本手法の運用に帰着】【1991年度 金沢大学】 問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 全称命題シリーズ第4講です。 シリーズ一覧はこちら 今回は第3講に引き続き整数問題に関する全称命題です。 全称命題に関する基本的な対応については第1講で扱っていますが、今一度ここでも確認します。 step1全称命題だと見抜く 「任意の」「どんな」「全ての」\(\cdots\) という類の言葉は発見のシグナルです。 step2「じゃあ \(\cdots\)」と屁理屈(考えやすい簡単なケース)を言って答えの候補(必要条件)を出す。 ... 全称命題 第5講【楕円についての論証】【1990年度 東京大学】 問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 全称命題シリーズ第5講です。 シリーズ一覧はこちら そもそも、今は「全称命題」というシリーズとしての問題としてこの問題と向き合っているから頭が全称命題モードになっていて、屁理屈を言おうと思えるかもしれません。 しかし実際試験場では何が出題されるか分かりません。 色々な問題に紛れてポンとおいてあったときに、冷静に全称命題だと見抜いて必要条件を出せるのかといった難しさがあると思います。 分野的にも整数や数 ... というシリーズで詳しく解説しています。 今回は \(\theta \neq 0\) として \(x=\theta\) , \(y=0\) でも成立する必要があるよね という屁理屈を言います。 そうすると、\(|\sin{\theta}| \leq k|\theta|\)、すなわち \(|\displaystyle \frac{\sin{\theta}}{\theta}| \leq k\) が \(0\) 以外の任意の \(\theta\) に対して成立する \(k\) を考えていくことになります。 1変数であればこちらのものであり、絶対不等式の核となる考え方 左辺の一番強い奴(最大値) に注目することになるでしょう。 一番強い奴が負けるなら、その他の連中も皆負ける(絶対成り立つ) という論法です。 上述した「とり得る値の範囲(値域)」ということを意識して、ここでは丁寧に微分して増減表を考えていきます。 本問で扱ったような \(|f(x)-f(y)| \leq k |x-y|\) が任意の \(x\) , \(y\) で成立するような \(k\) が存在するとき \(f\) はリプシッツ連続である と言い、\(k\) をリプシッツ定数と言います。 本問の結果から \(f(x)=\sin{x}\) はリプシッツ連続なのですが、実際にはリプシッツ定数 \(k\) が \(0 \leq k \lt 1\) であった方が結構うれしいことが多く、リプシッツ定数 \(k\) が\(0 \leq k \lt 1\) であるような関数を「縮小関数」と言います。 入試的にはこの周辺の話題として 問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 縮小関数による漸化式の極限という、難関大ではちょこちょこ出題されるテーマです。 もし、初見であれば、まずは初見でやってみて ... 続きを見る というような「縮小関数による漸化式の極限」などの話題が頻出です。形的に
方向性
ウンチク
参考縮小関数による漸化式の極限【関数によって定まる数列の極限】【1994年度 筑波大学】