例題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)
\(\sqrt[n]{n}\) の極限についての問題です。
\(\sqrt[n]{n}=n^{\frac{1}{n}}\) ですから、\({\infty}^{0}\) という形の不定形ということになります。
本問は丁寧な誘導がついていますので、その誘導に乗れれば、完答することは難しくはありません。
その誘導自体も定番の不等式なので、経験があれば即沈みます。
(以下ネタバレ注意)
+ クリック(タップ)して続きを読む 右辺を \(1+{}_n \mathrm{ C }_{1} a+{}_n \mathrm{ C }_{2} a^{2}\) と見ることができれば、二項定理が頭をよぎります。 \((1+a)^{n}=1+{}_n \mathrm{ C }_{1} a+{}_n \mathrm{ C }_{2} a^{2}+{}_n \mathrm{ C }_{3} a^{3}+\cdots+{}_n \mathrm{ C }_{n} a^{n}\) ですが、\({}_n \mathrm{ C }_{3} a^{3}\) 以降の正の項をカットしてしまえば、 \((1+a)^{n} \geq 1+{}_n \mathrm{ C }_{1} a+{}_n \mathrm{ C }_{2} a^{2}\) ということになり、解決です。 ただし、この \({}_n \mathrm{ C }_{2} a^{2}\) で止める という路線はもちろん \({}_n \mathrm{ C }_{2} a^{2}\) 以降の項が存在するとき すなわち \(n \geq 2\) のとき ということになりますから、\(n=1\) のときは個別検証する必要があります。 \(n=(1+a_{n})^{n}\) と見て、(1) の不等式を用いたくなると思います。 $$\begin{eqnarray} なのですが、さらに \(na_{n}\) という正の項もカットしてしまえば \(n \gt 1+\displaystyle \frac{1}{2}n(n-1){a_{n}}^{2}\) ですから、 \(n-1 \gt \displaystyle \frac{1}{2}n(n-1){a_{n}}^{2}\) と、\(n-1\) が約分でき、あとは手なりに解決します。 (2) の不等式を用いた「はさみうちの原理」から \(\displaystyle \lim_{n \to \infty} a_{n}=0\) ということになります。 つまり、 \(\displaystyle \lim_{n \to \infty} (\sqrt[n]{n}-1)=0\) ということになりますから、 \(\displaystyle \lim_{n \to \infty} \sqrt[n]{n}=1\) と求まります。 \(n\) の発散速度と、\(\log{n}\) の発散速度を考えると \(\displaystyle \lim_{n \to \infty} \displaystyle \frac{\log{n}}{n}=0\) ということになりますが、これを認めるのであれば $$\begin{eqnarray} であり、 \(\displaystyle \lim_{n \to \infty} \sqrt[n]{n}=1\) と得られます。 先ほどの \(\displaystyle \lim_{n \to \infty} \displaystyle \frac{\log{n}}{n}=0\) については大抵誘導が付くとは思います。 ただ、念のためこちらの証明については【総括】の中で触れてありますので、確認しておいた方がよいでしょう。 例題の確認用の類題としてご活用ください。 なお、 \((1+x)^{n}=1+{}_n \mathrm{ C }_{1} x+{}_n \mathrm{ C }_{2} x^{2}+{}_n \mathrm{ C }_{3} x^{3}+\cdots+{}_n \mathrm{ C }_{n} x^{n}\) について、\(x \geq 0\) であれば、\({}_n \mathrm{ C }_{2} x^{2}\) 以降の項をカットすることで \((1+x)^{n} \geq 1+nx\) という不等式を得ます。 このように二項定理のカットが使えるように \(x \geq 0\) という設定で出題されることが多いですが、実は \(x \geq -1\) のときでこの不等式は成り立ちます。 ベルヌーイの不等式 \(x \geq -1\) のとき、自然数 \(n\) に対して \((1+x)^{n} \geq 1+nx\) が成り立つ。 証明については、二項定理をカットするというラフな路線は封じられますが、 という2路線で証明できます。これについては類題の【総括】の後に参考として触れてあります。例題について
(1) について
(2) について
n &=& (1+a_{n})^{n}\\
&\geq& 1+na_{n}+\displaystyle \frac{1}{2}n(n-1){a_{n}}^{2}
\end{eqnarray}$$(3) について
結果だけなら
\displaystyle \lim_{n \to \infty} \log{\sqrt[n]{n}} &=& \displaystyle \lim_{n \to \infty} \displaystyle \frac{\log{n}}{n} \\
&=& 0
\end{eqnarray}$$類題について
類題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)