東京大学 理系
2024年度 東京大学理系第1問【空間座標における角度の処理】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 空間座標における角度の扱いをシンプルに訊いています。 座標において角度を扱う手法としては、様々な方法がありますが、空間座標においては ベクトルの内積を用いて \(\mathrm{cos}\) 経由で処理する という路線が最有力の路線です。 今回の角度は符号付きの角度ではないため、\(0\) から \(\pi\) までの角度で考えればよく、この範囲で\(\mathrm{cos}\) は単調減少ですから 条件 (ⅱ) は \(\cos{\angl ...
2024年度 東京大学理系第2問【絶対値付きの定積分とtan置換】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 絶対値付きの定積分で表された関数の最大値と最小値を求める問題です。 絶対値を外すにあたって本来であれば場合分けが必要ですが、\(0 \leq x \leq 1\) によって \(\displaystyle \int_{0}^{x} \displaystyle \frac{|t-x|}{1+t^{2}}dt+\displaystyle \int_{x}^{1} \displaystyle \frac{|t-x|}{1+t^{2}}dt\) と区 ...
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 座標平面上を\(x\) 軸、\(y\) 軸、\(y=x\)、\(y=-x\) を対称軸として対称移動していく動点 \(\mathrm{P}\) に関する確率の問題です。 良心的な誘導設問があるため、その誘導にきちんと乗れれば完答も無理はないレベルでしょう。 本問は \(p_{n}\) などの設定が問題文の段階では設定されていないため、漸化式を導入するか否かという判断は自分ですることになります。 本問は動点 \(\mathrm{P}\) は限ら ...
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 放物線と接する円に関する座標の問題です。 放物線と円が接点を共有し、共通接線をもつときを考えるわけですが、目につく方針が色々あるため、目移りするかもしれません。 円 \(C_{t}\) の方程式を立式するために必要な中心の座標、半径 (の2乗)を (1) で考えることになります。 したがって、ここを落とすと (2) まで被害が及ぶため、計算ミスが命取りとなります。 (2) は正しく計算できれば、結局は4次方程式の実数解の個数の問題に帰着するの ...
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 空間における三角形の回転体の体積というシンプルな題意です。 空間座標における回転体の体積は東大頻出のトピックスで、凝ったものから標準的なものまで出題されてきましたが本問は標準寄りの問題です。 過去問を通じて演習を積み、しっかりと仕上げてきた受験生であれば心理的に慌てずに立ち向かえたと思います。 一般に 空間座標における回転体の扱い方 全体像を捨てろ 切ってから回す(先に回すな) 回転の中心からの最大距離・最小距離を捉える がポイントになる点で ...
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 3次式への代入値が素数となる条件に付いて考察する問題です。 (1) は具体的な場合であり、 \(f(n)=n(n^{2}+10n+20)\) と因数分解できますので、これが素数となるとしたら \(n=1\) \(n=-1\) \(n^{2}+10n+20=1\) \(n^{2}+10n+20=-1\) という4パターンに限られます。 あとはこれを個別検証していくことになります。 難易度的に (1) は落とせないでしょう。 (2) も (1) ...
2024年度東大理系 各解説記事 150分 6題 記述式 と、形式に変更はありません。 分野的トピックス 微積分、座標に関する分野が目立つものの基本的には各分野がバランスよく出題されています。 空間座標、確率漸化式、微積分、整数といった東大理系の頻出分野がしっかりと出題されたと言ってよいでしょう。 複素数平面は一昨年、昨年に引き続き3年連続で出題されていません。 各大問について 第1問(やや易) 問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 空間座標における角度を扱う問題で、 内積を用い ...
京都大学 理系
2024年度 京都大学理系第1問【立方体の隣り合う面が異色で塗られる確率】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) \(n\) 色を準備し、立方体の各面を隣り合う面が異色となるように塗り分ける確率について考察する問題です。 立方体の塗り分けについての場合の数の問題だと、回転による一致や、裏返しによる一致を考慮する必要が出てきたりして、苦い思いをした経験がある人が多いと思います。 それに引きずられると、下手なことを考え出してクシャクシャになりかねません。 本問は確率の問題であり、各面に区別をつけ、全事象を \(n^{6}\) 通りとして考えることで、上述の回 ...
2024年度 京都大学理系第2問【独立に動く2点を結ぶ線分の中点の存在領域】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 円板上の点と円周上の点を両端にもつ線分の中点の存在領域を考える問題です。 複素数 \(x\) , \(y\) はお互いに干渉することなく、独立に動くため、 まずは片方を固定し、1つずつ動かす という予選決勝法の考え方で捌いていくことを考えます。 その際、先にどちらを固定するかという点で体感のやりやすさ・やりにくさが若干変わってきます。 複素数を複素数のまま扱う方法もありますし、実部・虚部を持ち出し、 \(z=p+qi\) などとおいて、この ...
2024年度 京都大学理系第3問【2直線がねじれの位置にあるための必要十分条件】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 2直線がねじれの位置にあるための必要十分条件を考える問題です。 必要十分条件ということであり、ねじれの位置にあるということを正確に翻訳するということになります。 直線 \(\mathrm{PX}\) , 直線 \(\mathrm{QY}\)がねじれの位置にあるとは 直線 \(\mathrm{PX}\) , 直線 \(\mathrm{QY}\) が平行でない かつ 直線 \(\mathrm{PX}\) , 直線 \(\mathrm{QY}\) ...
2024年度 京都大学理系第4問【条件によって分岐する漸化式】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 項の偶奇によって、次の項を定めるための漸化式が変化する、変則的な漸化式についての問題です。 最初の一歩目に大きな山場があり、その山場をクリアーすれば計算量は少なくシンプルに解決に向かうという京大らしい問題です。 (1) , (2) がほぼ同じ要領であるため、(1) ができれば (2) も解決する可能性が高く、逆に (1) ができないと (2) も厳しいでしょう。 スタートの \(a_{0}\) から奇数が連続するということは奇数が連続してい ...
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 連立不等式で表された領域の面積と、その極限に関する問題です。 今回扱う \(y=\displaystyle \frac{e^{x}-e^{-x}}{2}\) , \(y=\displaystyle \frac{e^{x}+e^{-x}}{2}\) は双曲線関数と呼ばれる有名曲線であり、 \(\sinh{x}=\displaystyle \frac{e^{x}-e^{-x}}{2}\) , \(\cosh{x}=\displaystyle ...
2024年度 京都大学理系第6問【整数部分がn桁であるものの中で最高位の数字が1となるものの割合】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) \(2^{\sqrt{k}}\) の整数部分が \(n\) 桁となるものの中で、最高位の数字が \(1\) となるものの割合について、その極限を考える問題です。 \(2^{\sqrt{k}}\) が \(n\) 桁ということは \(10^{n-1} \leq 2^{\sqrt{k}} \lt 10^{n}\) ということになり、整理すると \((\displaystyle \frac{n-1}{\log_{10}{2}})^{2} \leq ...
2024年度京大理系 各解説記事 150分 6題 記述式 と、形式に変更はありませんが、 2023年度の 35点問題×4題+30点問題×2題 に対して、2024年度は 30点問題×4題+40点問題×2題 と配点が変わりました。 分野的トピックス 6題中4題に数Ⅲが絡んでいます。特にオチが極限という問題が3題ありました。 また、昨年(2023年度)あった小問集合はなくなりました。 各大問について 第1問(標準) 問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) \(n\) 色を準備し、立方体の ...
東北大学 理系
2024年度 東北大学理系第1問【放物線と2直線で囲まれた領域の面積】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 放物線と2直線で囲まれた領域の面積に関する問題です。 文字を含んだ放物線を扱うため、計算量について身構えますが、数値的にキレイに仕組まれているため思っているほどの負担感は感じません。 様々な捌き方がありますが、基本的には手なりに進めていける問題です。 特に(3)は(2)ができていればボーナス的な問題であるため、しっかりと完答したいところです。 接点 \(\mathrm{Q}\) の \(x\) 座標 \(q\) の導出については、判別式の路線 ...
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 不等式の証明からスタートし、それを用いて \(n \leq 2\log_{2}n\) を満たす正の整数 \(n\) を求めるという内容です。 (1) の不等式の証明では、与えられた条件式、特に (a) をどのように活用するかが問われます。 (1) の主張は大まかに \(x \geq 2 \log_{t}x\) ならば、\(x+1 \gt 2 \log_{t}(x+1)\) という構造になっており、さながら帰納法の橋渡し的な内容です。 これを用 ...
2024年度 東北大学理系第3問【文字列作成に関する確率漸化式】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 文字列作成に関する確率漸化式についての問題です。 問題文が長く、把握に時間がかかりそうですが、読み解いてみると、 ①:確率 \(\displaystyle \frac{2}{3}\) で末尾に A を追加 ②:確率 \(\displaystyle \frac{1}{3}\) で末尾に B を追加 ③:AAA というような A の3連続は不可 ④:BB というような B の 2 連続は不可 というルールで文字列を作成していくという単純なルールで ...
2024年度 東北大学理系第4問【2球面の交円上を動く点の立式】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 2球面の交円上を動く点の立式に関する問題です。 丁寧なレールが敷いてありますが、状況を見失ってしまう受験生も少なくないでしょう。 立式するための補助的な図をイメージできるとある程度スムーズに方向性が見えてくるでしょうが、律儀に図を描こうとして混乱したり、無駄に時間を失ってしまう可能性も十分あります。 座標軸を先にかいてしまうと、図を描くのが困難になります。 座標軸は一旦無視して簡易的な図が描ければ、何を目指せばよいか、あるいはどのように式を立 ...