極限・微分積分系

調和級数とその応用【ケンプナー級数】【ある数字を含む項を除いた級数】【2021年度 東京工業大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

記号で書かれているために、読み取りづらい部分はありますが、

\(\displaystyle \frac{1}{1}+\displaystyle \frac{1}{2}+\cdots +\displaystyle \frac{1}{8}+\displaystyle \frac{1}{10}+\displaystyle \frac{1}{11}+\cdots \cdots \)

というように、分母に数字 \(9\) を含む項を除いてできる級数は \(80\) を超えることはないことを示す問題です。

(以下ネタバレ注意)

 

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直接計算ができないときは \(\cdots\)

この題意の和を直接計算することはできませんから、等号は諦めて不等号を繋いでいく(評価する)という態度が必要になります。

この和を「大きくしよう、大きくしよう」と大きくしても、それが \(80\) に到達しないのであれば題意を示せることになります。

この「大きくしよう」という気持ちをどのような形で実現するかについては、差が付くポイントになります。

(1) がヒント

まずは

第1群:\(\displaystyle \frac{1}{1}\) , \(\displaystyle \frac{1}{2}\) ,  \(\cdots\) , \(\displaystyle \frac{1}{8}\)

第2群:\(\displaystyle \frac{1}{10}\) , \(\displaystyle \frac{1}{11}\) ,  \(\cdots\) , \(\displaystyle \frac{1}{18}\) ,  \(\displaystyle \frac{1}{20}\) ,  \(\cdots\)

第3群:\(\displaystyle \frac{1}{100}\) , \(\displaystyle \frac{1}{101}\) ,  \(\cdots\) , \(\displaystyle \frac{1}{108}\) ,  \(\displaystyle \frac{1}{110}\) ,  \(\cdots\)

などというように、桁数で区切って「群数列」のように捉えて整理することがポイントです。

今回の \(\displaystyle \sum_{n=1}^{10^{k}-1} b_{n}\) というのは第1群から第 \(k\) 群までの和であることになります。

これを「大きくしよう、大きくしよう」と思ったら、各群の項を全て先頭の \(\displaystyle \frac{1}{10^{m-1}}\) にしてしまうことが考えられます。

余談

本問で扱った

\(\displaystyle \frac{1}{1}+\displaystyle \frac{1}{2}+\cdots +\displaystyle \frac{1}{8}+\displaystyle \frac{1}{10}+\displaystyle \frac{1}{11}+\cdots \cdots \)

という、分母に数字 \(9\) を含む項を除いて得られる級数は

ケンプナー級数

と呼ばれます。

リベンジ(または定着)用の類題

リベンジ(または定着)用の問題としてもう1題用意しましたので、よろしければぜひどうぞ

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

解答はコチラ

類題の解答はコチラ

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