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複素数の実数条件と、それを満たすような点 \(z\) の集合について考える問題です。
試験場で遭遇したと想定したら、確保したい標準的な難易度でしょう。
複素数平面の問題は様々な解法が考えられ、方針によって労力が変わってくることも珍しくありません。
方針というのは、ある意味「翻訳の仕方」と言ってもよいと思いますが、今回は複素数が実数であるということをどのように翻訳するかという部分を確認していきます。
(以下ネタバレ注意)
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複素数の実数条件
複素数 \(z\) が実数であることの翻訳を考えます。
実部・虚部を持ち出すのであれば
もし、
\(z=x+yi \ \ (x \ , \ y \ は実数)\)
と実部・虚部を持ち出すのであれば、
\(z\) が実数 \(\Leftrightarrow\) \(y=0\)
というように、虚部が \(0\) と翻訳すればよいことになります。
実部・虚部を持ち出さないのであれば
\(z=x+yi\) に対して、\(\bar{z}=x-yi\) ですから虚部が \(0\) ということは
\(z=\bar{z}\)
ということになります。
実部・虚部を持ち出さないで共役複素数の記号バーを用いてこのように翻訳することも頻出の翻訳です。
分かりやすさと処理量のトレードオフ
上述の実数条件に限らず、複素数平面の問題で実部虚部を持ち出すか否かについては
実部虚部を持ち出す場合
- メリット:分かりやすい。思いつきやすい。
- デメリット:処理量が膨らみがち
実部虚部を持ち出さない場合
- メリット:スマートに処理できることが多い
- デメリット:扱いに習熟していないと式変形の過程で詰まりがち
という一長一短があります。
実部虚部を持ち出すか否かということは
- 「分かりやすさや思いつきやすさ」と「処理量」とのトレードオフ
だと言えましょう。
最終的に思いつかなかったら実部虚部を持ち出してゴリゴリ押していくという最終手段的な位置づけかもしれません。
本問について
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今回は極形式という形ではありますが、実部と虚部を目に見える形で立式化する方針の誘導が与えられています。
誘導設問 (1) の顔を立てるのであれば
- \(\displaystyle \frac{z}{4}+\displaystyle \frac{4}{z}\) の虚部が \(0\)
という方向性で行けばよいでしょう。
なお、極形式で与えられる複素数 \(z=r(\cos{\theta}+i\sin{\theta})\) に対して、
\(\displaystyle \frac{1}{z}=r(\cos{\theta}-i\sin{\theta})\)
であることは難関大志望者にとっては常識です。
ド・モアブルの定理
\(\{r(\cos{\theta}+i\sin{\theta})\}^{n}=r^{n}(\cos{n\theta}+i\sin{n\theta})\)
は正の整数だけでなく、負の整数も含めた一般の整数で言えるありがたい定理です。
先ほどの翻訳の仕方の選択ではないですが、それなりの問題になってくれば
- \(z=x+yi\)(直交座標系の置き方)
- \(z=r(\cos{\theta}+i\sin{\theta})\)(極座標系の置き方)
という部分についても選択の余地が出てきます。
この辺りを体系的にまとめるのは時間がかかるかもしれません。
「この解法じゃ解けないのかな」
ということを積み重ねていき、それぞれの解法の長所短所を含めた特徴を自分なりにまとめていくという地道な学習で培われていきます。
類題について
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