実践演習 方程式・不等式・関数系

等式の扱いと文字消去【2002年度 名古屋大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

中々の強面です。

与えられた関係式そのものも強面ですが、「存在条件」というのもパッと見でこわいものがあるでしょう。

そもそも問題文の意味を正しく捉えられるかという点でも結構強力なフィルターがかかっていると思います。

ただ、強面ですが、根はいいやつなので仲良くしたい問題です。

(以下ネタバレ注意)

 

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題意の把握

よく分からなければ具体例で実験してみましょう。

下手くそな \(a\) ,  \(b\) ,  \(c\) だと関係式を満たす \(x\) ,  \(y\) ,  \(z\) が存在しないということですね。

例えば

\(a=1\) ,  \(b=1\) ,  \(c=1\)

などとしてみましょう。

\(x=y=z=xyz\)

を満たすときを考えることになります。

そうなってくると

\(x=x^{3}\)

ということになり、これを満たす実数 \(x\) は

\(x=0 \ , \ 1 \ , \ -1\)

であり、そのうち正のものは \(x=1\) ということになります。

ただ、条件から \(1\) は許されないということなので、

\(a=1\) ,  \(b=1\) ,  \(c=1\)

は不適となり、下手くそな \(a\) ,  \(b\) ,  \(c\) ということになります。

文字消去したい

どうやら限られた \(a\) ,  \(b\) ,  \(c\) しかうまく\(x\) ,  \(y\) ,  \(z\) が存在してくれないということっぽいですね。

先ほどの実験では失敗してしまいましたが、実験の途中経過で \(y\) ,  \(z\) を消去して \(x\) の方程式にしたように、

文字消去したい

という気持ちが芽生えてくると思います。

本問の難しさは等号が連なっており、

  • 「どのペアで等式を見るか」というのが目移りしてしまう

という点にあるでしょう。

文字消去をどのように実現するかというのがポイントになってきそうです。

対数をとる

一番インスピレーションしやすいのは

対数をとる

という方針でしょうか。

\(x=〇\) などというようにするためには

\(x^{a}=y^{b}=z^{c}=xyz=k\)

などと、「名前を付ける」ことになります。

これにより

$$\begin{eqnarray}
\left\{
\begin{array}{l}
a\log{x}=\log{k} \\
b\log{y}=\log{k}\\
c\log{z}=\log{k}\\
\log{x}+\log{y}+\log{z}=\log{k}
\end{array}
\right.
\end{eqnarray}$$

から、

$$\begin{eqnarray}
\left\{
\begin{array}{l}
\log{x}=\displaystyle \frac{\log{k}}{a} \\
\log{y}=\displaystyle \frac{\log{k}}{b}\\
\log{z}=\displaystyle \frac{\log{k}}{c}\\
\log{x}+\log{y}+\log{z}=\log{k}
\end{array}
\right.
\end{eqnarray}$$

として、

\((\displaystyle \frac{1}{a}+\displaystyle \frac{1}{b}+\displaystyle \frac{1}{c})\log{k}=\log{k}\)

という式が得られます。

\(k\) は \(1\) と異なる正の実数であるため、\(\log{k} \neq 0\) ですから、結局は

\(\displaystyle \frac{1}{a}+\displaystyle \frac{1}{b}+\displaystyle \frac{1}{c}=1\)

という関係式が得られます。

したがって、これを満たす正の整数の組 \((a \ , \ b \ , \ c)\) を求めることに帰着し、これは定番の整数問題です。

今回の不定方程式の処理について

\(\displaystyle \frac{1}{a}+\displaystyle \frac{1}{b}+\displaystyle \frac{1}{c}=1\)

という不定方程式については

  • \(a \leq b \leq c\) より、 \(a\) が大きくなると、\(b\) ,  \(c\) も連動して大きくなる

ということが言えます。

そうなると、\(\displaystyle \frac{1}{a}\) ,  \(\displaystyle \frac{1}{b}\) ,  \(\displaystyle \frac{1}{c}\) は小さくなってしまい、\(1\) に届かなくなってしまいます。

このことから、\(a\) はある程度小さい整数ということで、

範囲を絞っていく

という作戦で進めていきます。

整数問題の有力方針

  • 積の形から約数の拾い上げ
  • 余りで分類
  • 評価する(範囲を絞る)

についてはしっかりと学習しておきましょう。

振り返ってみると

文字消去するために \(=k\) と、名前を付けるということが強力にはたらいてきました。

本問に名前を付けるなら

「君の名は」

でしょう。

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参考不等式から文字を消去する技巧【名前をつけて等式化】【1998年度 鹿児島経済大学】

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