実践演習 方程式・不等式・関数系

不等式から文字を消去する技巧【名前をつけて等式化】【1998年度 鹿児島経済大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

等式と不等式とどちらが扱いやすいかと言えば、等式の方が扱いやすいと感じる人が多数派でしょう。

今回、不等式を等式の話にすることで、話を明確化することができるような問題を扱います。

どちらかと言うと技巧的なものですし、試験場での再現性が高いかというと決して高くないとは思います。

ただ、知ってて損はないでしょう。

(以下ネタバレ注意)

 

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与えられた不等式の形は見づらい

今回与えられた不等式の形は見づらいので

\(a_{2}-a_{1} \lt a_{3}-a_{2} \lt a_{4}-a_{3} \lt a_{5}-a_{4} \lt a_{6}-a_{5} \lt a_{1}-a_{6}\)

と見ます。

これにより、「階差数列」という意味付けができます。

名前をつけて等式化

この階差数列を \(b_{1} \ , \ b_{2} \ , \ \cdots \ b_{6}\) と名前をつけます。

数列 \(\{a_{n}\}\) の階差数列を \(\{b_{n}\}\) とすると

\(a_{n} \lt a_{n+1} \Leftrightarrow b_{n} \gt 0\)

\(a_{n} \gt a_{n+1} \Leftrightarrow b_{n} \lt 0\)

というモノの見方は必要に応じてスッと使えるように常識化しておきたいところです。

\(f(x)\) の増減を調べるのに \(f'(x)\) の符号を調べますよね?

それと同じで

数列 \(\{a_{n}\}\) の増減を調べたかったら「階差数列の符号」を調べればよいわけです。

名前をつけて等式化した恩恵により

\(b_{1}+b_{2}+b_{3}+b_{4}+b_{5}+b_{6}=0\)

という \(a\) を消去した \(b\) だけの式を Get できます。

これは「全て正」や「全て負」ということがないことを意味します。

つまり、\(b_{1}\) から \(b_{6}\) までのどこかで符号チェンジが起こっていることを意味します。

階差が負から正に符号チェンジしているということは

階差数列が負から正に符号チェンジするということから

下がって上がる

というイメージできているでしょうか?

このイメージができていれば、本問は解決と言ってよいはずです。

類題について

本問よりもさらに「不等式から文字を消去」という側面が強い問題です。

素晴らしい名前をつけたとき、劇的にそれが効いてくるということを実感してください。

類題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

名前をつけることで、面白いように話が進みます。

なお、この類題は当時の受験生が慌てふためいた問題として有名です。

例題の解答はコチラ

類題の解答はコチラ

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