実践演習 方程式・不等式・関数系

不等式の証明【n変数の不等式】【1997年度 愛媛大学】

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\(n\) 個の数 \(x_{1}\) , \(x_{2}\) , \(\cdots\) , \(x_{n}\) に関する不等式証明で、見た目はキレイに循環している形です。

見た感じ、差を取ってどうのこうのできるようには思えませんし、通分しようものなら大騒ぎになります。

この与えられた形を活かす方向で考えていきたいところです。

本問は解答自体はアッサリしており、

聞けば簡単、解くのは大変

というタイプの問題なので、ネタバレしてしまうとチープに思えてきてしまう類の問題です。

 

(以下ネタバレ注意)

 

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ラフに考えると

今回の示すべき和の中の一般項は最後の部分で循環していますが、細かいことを抜きにして \(\displaystyle \frac{x_{k}}{x_{k}+x_{k+1}}\) について考えます。

\(\displaystyle \frac{x_{k}}{x_{k}+x_{k+1}}\) について、すごくラフに考えると

\(0 \lt \displaystyle \frac{x_{k}}{x_{k}+x_{k+1}} \lt 1\)

なので、

\(0 \lt \displaystyle \frac{x_{1}}{x_{1}+x_{2}}+\displaystyle \frac{x_{2}}{x_{2}+x_{3}}+\cdots+\displaystyle \frac{x_{n-1}}{x_{n-1}+x_{n}}+\displaystyle \frac{x_{n}}{x_{n}+x_{1}} \lt n\)

であることは即座に分かります。

今回示すべき不等式は、これよりも厳しく評価する必要があるわけです。

厳しく評価することを考えると

\(0 \lt \displaystyle \frac{x_{k}}{x_{k}+x_{k+1}} \lt 1\) として考えるのはラフすぎたということです。

下から押さえる

そこでまずは下から押さえます。

いくら何でも \(0\) より大きいというのは当たり前すぎたわけです。

そこで \(\displaystyle \frac{x_{k}}{x_{k}+x_{k+1}}\) を小さくしようと思うと、分母を大きくするというのがやりたいことの一つです。

なので、\(\displaystyle \frac{x_{k}}{x_{1}+x_{2}+\cdots+x_{n}} \lt \displaystyle \frac{x_{k}}{x_{k}+x_{k+1}}\) と見るのが第一感です。

上から押さえる

先ほどは

\(\displaystyle \frac{x_{k}}{x_{k}+x_{k+1}} \lt 1\) と見るとラフすぎたわけです。

つまり、\(\displaystyle \frac{x_{k}}{x_{k}+x_{k+1}}\) を \(1\) よりも小さい値で上から押さえることになります。

\(\displaystyle \frac{x_{k}}{x_{k}+x_{k+1}}\) 自体 \(1\) より小さいわけですが、その理由としては

\(\displaystyle \frac{x_{k}}{x_{k}+x_{k+1}}=1-\displaystyle \frac{x_{k+1}}{x_{k}+x_{k+1}}\) ということが根本にあるからです。

これを、皮切りに

\(1-\displaystyle \frac{x_{k+1}}{x_{k}+x_{k+1}} \lt 1-\displaystyle \frac{x_{k+1}}{x_{1}+x_{2}+\cdots+x_{n}}\)

という評価に辿り着けると \(1\) より小さい値で上から押さえることになります。

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