定積分で表された関数の微分
肝となるのは次の基本事項です
定積分で表された関数の微分
\(a\) を定数とするとき
\(\displaystyle \frac{d}{dx}\displaystyle \int_{a}^{x} f(t) dt=f(x)\)
\(f\) の気持ちに立てば、
「積分されてから微分されているので、結果はそりゃ \(f(x)\)でしょ」
という感覚です。
この基本事項を活用するために、今回与えられた等式の両辺を \(x\) で微分することを考えます。
邪魔者を摘まみだす
ただ、被積分関数に積分変数である \(t\) 以外の文字が入っていると困りますから、\(x\) をインテグラルの外に摘まみだします。
今回は
\(f(x)=(1-x)\cos{x}+x\sin{x}-e^{x}\displaystyle \int_{0}^{x}e^{-t}f(t)dt\)
としてから、両辺を \(x\) で微分します。
\(e^{x}\displaystyle \int_{0}^{x}e^{-t}f(t)dt\) の部分については、
\(e^{x}\)×( \(x\) の式 )
という構造です。
したがって、
\((e^{x})'\displaystyle \int_{0}^{x}e^{-t}f(t)dt+e^{x}(\displaystyle \frac{d}{dx}\displaystyle \int_{0}^{x}e^{-t}f(t)dt)\)
と、積の微分法により捌いていくことになります。
これにより、
\(f'(x)=2(x-1)\cos{x}\)
を得ることになります。
あとはこれを積分することで \(f(x)\) を Get します。
\(f(0)\) について
説明の順番が前後しましたが、(1) の \(f(0)\) を導出するためには
- \(\displaystyle \int_{0}^{0}\) と、積分区間をつぶすような \(x\) を代入する
ことを考えるのが常套手段です。
今回は、最初に与えられた
\(f(x)=(1-x)\cos{x}+x\sin{x}-\displaystyle \int_{0}^{x}e^{x-t}f(t)dt\)
に \(x=0\) を代入すれば、\(f(0)=1\) を得ます。
この \(f(0)=1\) は、\(f'(x)=2(x-1)\cos{x}\)から \(f(x)\) を Get する際に登場する積分定数 \(C\) を決定するのに利用します。
類題について
類題1はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)
例題よりは手数が多くなり、集中力が必要ですが大まかな流れや着眼点は例題と同様です。
類題2はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)
邪魔者を摘まみだしたいわけですが、これまでと違い、邪魔者が \(f\) の奥深くにいます。
この部分をどうするかというのが本問の山場の一つです。
その山場を超えても、その後ノーヒントでの微分方程式が待ち構えています。
ノーヒントに次ぐノーヒントであり、いずれも経験がモノを言う側面が大きい山場です。
微分方程式については
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参考微分方程式【積分因子法】【2000年度 東京理科大学】
例題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 微分方程式は厳密には教科書範囲では発展扱いとなっていますが、知識の差で出来具合が大きくならないように誘導をつけて出題されることはしばしば ...
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も参考にしてみてください。
例題の解答はコチラ
類題1の解答はコチラ
類題2の解答はコチラ