実践演習 極限・微分積分系

積分方程式【ハイブリッド型】【1995年度 大阪市立大学ほか】

例題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

教科書の項目的には「定積分で表された関数」という項目に属する問題です。

本問は

「この関係式を満たす \(f(x)\) なぁ~んだ」

という「方程式」です。

積分に関する方程式ゆえ、積分方程式と呼ばれます。

積分方程式には「定数型」「変数型」「ハイブリッド型」と3タイプありますが、その中でも今回は「ハイブリッド型」を扱います。

(以下ネタバレ注意)

 

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積分区間を見てみると

今回与えられた等式には

  • 定数部分となる \(\displaystyle \int_{0}^{1}tf(t) dt\)
  • 変数が含まれている\(\displaystyle \int_{0}^{x}(x-t)f'(t) dt\)

が混在しています。

もちろん、対応そのものがガラッと変わるわけではなく、定数型、変数型それぞれの処理を施していくことになります。

定数型、変数型の処理については

定数型

積分方程式【定数型】【2017年度 札幌医科大学ほか】

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変数型

積分方程式【変数型】【2019年度 広島大学ほか】

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で解説をしています。

形を整える

まずは定数型の処理を行うため

\(k=\displaystyle \int_{0}^{1}tf(t) dt\)

とおきます。

これにより、

\(f(x)=e(x-1)-x\displaystyle \int_{0}^{x}f'(t)dt+\displaystyle \int_{0}^{x}tf'(t)dt+k\)

となります。

形を整えたところで変数型の処理を施します。

すなわち両辺を \(x\) で微分します。

これにより、

\(f'(x)=k-f(x)\)

という関係式を得ます。

微分方程式の処理

\(f'(x)+f(x)=k\)

という形の微分方程式を得ましたが、これについては経験がモノを言う処理となります。

高校生の範囲で分かりやすいのは積分因子法と呼ばれる手法です。

今回は両辺に \(e^{x}\) をかけることで

\(e^{x}f'(x)+e^{x}f(x)=ke^{x}\)

\((e^{x}f(x))'=ke^{x}\)

\(e^{x}f(x)=ke^{x}+C\)

というように処理していきます。

このように

\(f'(x)+A(x)f(x)=B(x)\)

というタイプの微分方程式に対して、\(e^{\int_{ \ }^{ \ }A(x)dx}\) を両辺かけると、\(( \  \ )'\) というようにまとまります。

この \(e^{\int_{ \ }^{ \ }A(x)dx}\) を積分因子と言います。

場数を踏みたい方は

参考微分方程式【積分因子法】【2000年度 東京理科大学】

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類題について

類題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

定数型や変数型の「やり方」ばかりに目が向きがちですが、

  • 定積分を計算した結果、どの文字が生き残るのか

というこのトピックスの根幹を支える基本事項を基に、形や骨格を把握するという根本的な力を問われます。

何となく定数型と変数型の処理をしていたら解けてしまったということもあるやもしれませんが、目線がブレずに解けたという実感がもてているかどうかを確認しましょう。

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