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実践演習 方程式・不等式・関数系

抽象的な関数の不等式【2000年度 早稲田大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

f(x) が具体的に与えられていない中で、不等式を解かせるという問題です。

根拠として使用してよいことと、マズイことがしっかり分かっているかを試す問題です。

論証という点において重きが置かれていると考えてよく、結論が合っているかどうかだけで判断せず、

言及すべき部分をきちんと言及しているか

ということもきちんと確認したいポイントです。

(以下ネタバレ注意)

 

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モデルケースで言えば

関数の特徴的に

f(x)=\log_{a}{x}

という対数関数が思い浮かぶかもしれません。

f(3)=2 という条件から

\log_{a}{3}=2

なので、a^{2}=3 で、a は正の定数であることから

a=\sqrt{3}

f(x)=2\log_{3}{x}

というモデルケースが考えられます。

そうなると (1) は

2\log_{3}{x}=4 , すなわち

\log_{3}{x}=2

より、

x=9

(2) は

2\log_{3}{(x+1)}+2\log_{3}{(x-3)} \leq 4

すなわち

\log_{3}{(x+1)}+\log_{3}{(x-3)} \leq 2

を真数条件である x \gt 3 という範囲の下で考えることで

\log_{3}{(x+1)(x-3)} \leq \log_{3}{9}

(x+1)(x-3) \leq 9

x^{2}-2x-12 \leq 0

1-\sqrt{13} \leq x \leq 1+\sqrt{13}

で真数条件の x \gt 3 と合わせて考えると

3 \lt x \leq 1+\sqrt{13}

というように、結論は予測できるわけです。

ただし、これ自体を記述しても点数にならないでしょう。

f(x)f(x)=2\log_{3}{x} と勝手に決め打ちして出した結論です。

もし、f(x)=2\log_{3}{x} と決め打ちしたければ、

\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} f(3)=2 \\ f(xy)=f(x)+f(y) \end{array} \right. \end{eqnarray}

を満たす x \gt 0 で定義される増加関数 f(x)

f(x)=2\log_{3}{x} に限る

ということを言うことになり、この問題を解く以上に大変になります。

先ほど得た (1) ,  (2) の結論はあくまで検算ぐらいに留めておき、解答用紙で触れるべきことではありません。

(1) について

\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} f(3)=2 \\ f(xy)=f(x)+f(y) \end{array} \right. \end{eqnarray}

というのが唯一使ってよい(根拠としてよい)式です。

今回解くべき f(x)=4 という目標に辿り着くためには

4=f(3)+f(3)

と見ることになります。

これにより、f(3\cdot 3)=4 , すなわち

f(9)=4

という式を得るため、x=9 に辿り着きます。

ただし、これは f(x)=4 となる x を見つけたに過ぎず、

その他にないのか

ということについて言及しておかないといけません。

(2) について

モデルケースで考えたことは無駄ではなく、モデルケースで考えた真数条件は一般論では

定義域条件

ということになるでしょう。

つまり、

  • f に何を代入できるのか

ということを考えると、

\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} x+1 \gt 0 \\ x-3 \gt 0 \end{array} \right. \end{eqnarray}

すなわち、

x \gt 3

ということになります。

与えられた和の形の不等式は

f((x+1)(x-3)) \leq 4

と変形できます。

この後は

f((x+1)(x-3)) \leq f(9)

と見て、f が増加関数であることから、

中身比べ

をすることで

(x+1)(x-3) \leq 9

と見て、2次不等式を解くことになります。

モデルケースで考えた

\log_{3}{(x+1)(x-3)} \leq \log_{3}{9}

(x+1)(x-3) \leq 9

という流れは言わば

\log{ \ } の中身比べ

です。

モデルケースを考えたことで、流れや要所が見えやすくなるという意味では、最初のモデルケースで考える行為自体は決して無駄ではないとも言えるかもしれません。

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