実践演習 幾何・ベクトル系

垂心と逆数【2009年度 岡山大学ほか】

例題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

\(y=\displaystyle \frac{1}{x}\) というシンプルな直角双曲線上の3点によってできる三角形の垂心もこの \(y=\displaystyle \frac{1}{x}\) 上にあるというキレイな性質について確かめてみようという趣旨の問題です。

座標計算で解析的に進めて確かめる分にはそこまでの話ではありません。

ただ、幾何的に腑に落ちる説明をつけようと思うと深みに嵌まります。

ここでは、入試の基本事項をおさえつつ、垂心と逆数の不思議な関係を鑑賞してみます。

(以下ネタバレ注意)

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(1) について

素直に各頂点から対辺(またはその延長上)に下ろした垂線 \(l_{1}\) ,  \(l_{2}\) ,  \(l_{3}\) の式を立式し、そのうちの2本分 \(l_{1}\) ,  \(l_{2}\) の交点として \(\mathrm{H}\) を計算していきます。

リード文で各頂点から対辺に下ろした垂線が \(1\) 点で交わることは前提としていると考えて、3本目の \(l_{3}\) には触れなくてもよいでしょう。

(2) について

(1) を正しく計算できていれば

\((a \ , \ \displaystyle \frac{1}{a})\) ,  \((b \ , \ \displaystyle \frac{1}{b})\) ,  \((c \ , \ \displaystyle \frac{1}{c})\) によってできる三角形の垂心 \(\mathrm{H}\) の座標が

\((-\displaystyle \frac{1}{abc} \ , \ -abc)\)

という結論を得ます。

(1) から \(\mathrm{H}\) は \(y=\displaystyle \frac{1}{x}\) 上にあることが分かっています。

そこで、\(\mathrm{H}\) の座標を\((X \ , \ \displaystyle \frac{1}{X})\) とおきます。

すると、

\((a \ , \ \displaystyle \frac{1}{a})\) ,  \((b \ , \ \displaystyle \frac{1}{b})\) ,  \((X \ , \ \displaystyle \frac{1}{X})\) によってできる三角形の垂心 \(\mathrm{H'}\) の座標は

\((-\displaystyle \frac{1}{abX} \ , \ -abX)\)

となります。

元々 \(X=-\displaystyle \frac{1}{abc}\) とおきなおしたわけですから、\(abX=-\displaystyle \frac{1}{c}\)です。

なので、\(\mathrm{H'}\) の座標は\((c \ , \ \displaystyle \frac{1}{c})\) ということになり、解決します。

類題について

類題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

触れられていませんが、この \(\mathrm{H}\) は \(\triangle{\mathrm{ABC}}\) の垂心になっています。

多分例題をやったあとだと、何かしらのいわくつきに感じるでしょう。

例題の解答はコチラ

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