実践演習 方程式・不等式・関数系

三角形の内角のtanの和【1966年度 金沢大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

非常にシンプルな問題です。

切れ味鋭く捌くこともできますし、腕力で押し切ることもできます。

いずれの路線にせよ、確かな力が必要です。

類題としては

参考三角形の内角に関する不等式【cosα+cosβ+cosγ≧1】【2005年度 京都大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 三角形の内角に関する不等式で、シンプルな題意です。 解法も様々考えられ、京大らしい問題だと思います。 試験場では愚直に解くのが現実的です ...

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参考三角関数の積の最大値【従属3変数】【1999年度 京都大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) シンプルな問題ですが、多くの解法が考えられ、それぞれ色々な教訓を含んでいるので、一粒で何度もおいしい問題です。 どういう視点からこの問題 ...

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などがあります。

原題では誘導設問がついていましたが、それだと面白くなくなってしまうのと、誘導がなくても現実的に処理可能であるということ、試験問題ではなく教材としての提供であることを考え心を鬼にして誘導をカットしました。

ぜひ構想を含めて手を動かしながら考えてみてほしいと思います。

(以下ネタバレ注意)

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1文字消去

ひとまず

\(\alpha+\beta+\gamma=\pi\)

という三角形の内角に関する等式から

\(\gamma=\pi-(\alpha+\beta)\)

と1文字消去をするのが普通でしょうか。

ここからの路線としては2路線あります。

路線1:対称性を活かす

\(\alpha+\beta+\gamma=\pi\) であるとき

\(\tan{\alpha}+\tan{\beta}+\tan{\gamma}=\tan{\alpha}\tan{\beta}\tan{\gamma}\)

が成り立つ。

ということが言えます。

これについては割と有名な性質です。

もちろん、指導者ではない受験生からしてみれば

「そんなもん知るか」

という人の方が多数だとは思います。

ただ、

$$\begin{eqnarray}
\tan{\alpha}+\tan{\beta}+\tan{\gamma} &=& \tan{\alpha}+\tan{\beta}-\tan{(\alpha+\beta)} \\
&=& \tan{\alpha}+\tan{\beta}-\displaystyle \frac{\tan{\alpha}+\tan{\beta}}{1-\tan{\alpha}\tan{\beta}}
\end{eqnarray}$$

と加法定理でバラした際、

\(\tan{\alpha}+\tan{\beta}\) で括れる

ことに目を付けて式変形をしていくと、

\(\tan{\alpha}+\tan{\beta}+\tan{\gamma}=\tan{\alpha}\tan{\beta}\tan{\gamma}\)

まで辿り着くのは無理がないはずです。

ただし、一度消去した \(\gamma\) を復活させることになりますから、どちらかというと

文字消去よりも対称性を優先した態度に切り替えた

という感じの路線です。

これについては【解1】で扱っています。

路線2:予選決勝法

\(\alpha\) ,  \(\beta\) ,  \(\gamma\) という3変数段階ではこの3変数は

\(\alpha+\beta+\gamma=\pi\)

を満たす従属3変数です。

ただ、

\(\gamma=\pi-(\alpha+\beta)\)

と文字消去して残る \(\alpha\) ,  \(\beta\) については独立に動ける独立2変数となります。

そこで独立2変数関数の最大最小問題の有力手段である

  • 予選決勝法

で仕留めることもできます。

これついては【解2】で扱っています。

三角関数や微分分野の足腰が強くないと、押し切るのは中々難しいでしょう。

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