実践演習 方程式・不等式・関数系

様々な関数方程式【1960年度 神戸大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

数学では珍しい一問一答的な問題です。

ただ、その中でも

  • 特徴的な形を見逃さない
  • 特徴を抽出する

という力を養ううえでいい訓練になると思います。

特に最後の

\(f(2x)=f(x)\)

を満たす \(f(x)\) については、人によっては苦戦するでしょう。

(以下ネタバレ注意)

 

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(1) について

\(f(-x)=-f(x)\)

は奇関数がもつ特徴的な性質です。

(というより、この特徴をもつ関数を奇関数と呼びます。)

  • 符号違いのモノをぶち込むと、結果も符号違い

ということであり、

原点対称なグラフになる

ことを意味します。

\(x\) ,  \(x^{3}\) ,  \(x^{5}\) \(\cdots\) などの

\(x^{奇数}\)

に加え、

\(\sin{x}\)

なども奇関数の代表例です。

(2) について

\(f(-x)=f(x)\)

という性質をもつ関数は偶関数と呼ばれます。

  • 符号違いのモノをぶち込んでも結果は同じ

ということを意味しており、

\(y\) 軸対称なグラフとなる

ことを意味します。

\(x^{2}\) ,  \(x^{4}\) ,  \(x^{6}\) \(\cdots\) などの

\(x^{偶数}\)

に加え、

\(\cos{x}\)

なども偶関数の代表例です。

(3) について

\(f(\displaystyle \frac{1}{x})=-f(x)\)

については

\(f(x^{-1})=-f(x)\)

と指数表記で見ると分かりやすいでしょうか。

  • \(-1\) 乗が\(-1\) 倍となっている

と見ると、

\(f(x)=\log{x}\)

という対数関数がインスピレーションされます。

(4) について

\(f(\displaystyle \frac{1}{x})=f(x)\)

については (3) が強力なヒントでしょう。

(3) のマイナスを無視したいわけで、そうなると操作的には

平方する

ということが想起され、

\(f(x)=(\log{x})^{2}\)

が例として挙げられるでしょう。

その他の見方

\(x\) と \(\displaystyle \frac{1}{x}\) に関して対称であるという捉え方もできますから

\(f(x)=x+\displaystyle \frac{1}{x}\)

という例も考えられます。

逆にここから (3) の例として

\(f(x)=x-\displaystyle \frac{1}{x}\)

が考えられます。

(5) について

\(f(x+1)=2f(x)\)

という関係式は

引数が1増えると、元の2倍となる

ということから、

\(f(x)=2^{x}\)

が想起されます。

(6) について

\(f(x+1)=f(x)\)

については

周期が \(1\) の周期関数

と見ることができます。

一般に

\(f(x+p)=f(x)\)

を満たす関数 \(f(x)\) を周期 \(p\) の周期関数と呼び、周期の中で最小のものを基本周期と言います。

(最近は単に周期と言ったら基本周期を指すという風潮があり、基本周期という言葉が消えている教科書もあります。)

さて、本問の話に戻ります。

周期関数の代表例は三角関数です。

そこで、\(\sin{x}\) をベースに考えていきたいと思います。

角速度が2倍になれば、1周するのにかかる時間(周期)は半分の \(\displaystyle \frac{1}{2}\) 倍となります。

つまり、

角速度と周期は反比例する

ということになります。

\(\sin{x}\) の周期は \(2\pi\) です。

今回は、周期を \(1\) と、\(\displaystyle \frac{1}{2\pi}\) 倍にしたいわけですから、角速度を\(2\pi\) 倍とすればよいわけです。

したがって、

\(f(x)=\sin{2\pi x}\)

が一例として考えられます。

(7) について

\(f(2x)=1+f(x)\)

については、「ん?」となるかもしれません。

一発で見れる人は問題ないですし、色々試して偶然発見したという人もいるでしょう。

この \(1\) という定数を捌いていきます。

\(f(2)=1\)

を満たす \(f(x)\) で探してみます。

これにより、

\(f(2x)=f(2)+f(x)\)

と、\(f\) だけの式で表現でき、ここから

\(f(x)=\log_{a}{x}\)

という対数関数がインスピレーションされます。

今 \(f(2)=1\) ということから

\(f(x)=\log_{2}{x}\)

が一例として挙げられるでしょう。

(8) について

\(f(2x)=f(x)\)

というシンプルな関係性ですが、探しても意外と「むむ?」となるでしょう。

(7) をヒントとしたいところです。

(7) の \(+1\) が邪魔なのですが、その \(+1\) を無効化する関数が (6) にあります。

ここから、(6) ,  (7) の2つの関数の合成関数を考えればよいことに気がつけば解決です。

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