例題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)
自然数の逆数からなる有理数を「単位分数」といい、異なる単位分数の和として表現した分数を「エジプト(式)分数」と言います。
本問は、
- 2項からなるエジプト分数の最大値が \(\displaystyle \frac{5}{6}\)
- 3項からなるエジプト分数の最大値が\(\displaystyle \frac{41}{42}\)
ということを証明せよという問題です。
表向きは入試標準的な整数問題ですが、古くから様々なことが研究されており、奥が深い話題です。
例題を皮切りに
- 例題の一般化である「カーティスの定理」
- エジプト分数表示するための手順である「フィボナッチ・シルベスターのアルゴリズム」
についても触れてあります。
(以下ネタバレ注意)
+ クリック(タップ)して続きを読む \(a=1\) だと \(\displaystyle \frac{1}{a}\) 単品で \(1\) となってしまいます。 なので、\(a \geq 2\) ということになり、それに伴い \(b \geq 3\) となります。 \(\displaystyle \frac{1}{a}+\displaystyle \frac{1}{b}\) を大きくしようと思うと ということになります。 よって、\(\displaystyle \frac{1}{2}+\displaystyle \frac{1}{3}\) である \(\displaystyle \frac{5}{6}\) が最大値であることになります。 3項ありますが、一つずつ追いかけていきましょう。 (1) 同様に \(a \geq 2\) ということが分かりますから、ひとまずは \(a=2\) とするのが最善でしょう。 \(a \geq 3\) とすると、 \(\displaystyle \frac{1}{3}+\displaystyle \frac{1}{4}+\displaystyle \frac{1}{5}=\displaystyle \frac{47}{60} \lt \displaystyle \frac{41}{42}\) となり、最善を尽くして分母を小さくしても、\(\displaystyle \frac{41}{42}\) に届きません。 次に \(b\) ですが、やはり \(b=3\) とするのが最善でしょう。 この時点で、 \(\displaystyle \frac{1}{2}+\displaystyle \frac{1}{3}=\displaystyle \frac{5}{6}\) ですから、\(c\) がそのまま \(c=4\) となれるかどうかを確かめる必要があります。 \(\displaystyle \frac{1}{2}+\displaystyle \frac{1}{3}+\displaystyle \frac{1}{c} \lt 1\) ですから、これを整理すると \(\displaystyle \frac{1}{c} \lt \displaystyle \frac{1}{6}\) すなわち \(c \gt 6\) となりますので、\(c\) の最善は \(c=7\) ということになります。 このとき、 \(\displaystyle \frac{1}{2}+\displaystyle \frac{1}{3}+\displaystyle \frac{1}{7}=\displaystyle \frac{41}{42}\) となります。 ちなみに \(b \geq 4\) のときは \(a=2\) , \(b=4\) , \(c=5\) と最善を尽くしても \(\displaystyle \frac{1}{2}+\displaystyle \frac{1}{4}+\displaystyle \frac{1}{5}=\displaystyle \frac{19}{20} \lt \displaystyle \frac{41}{42}\) となり、\(\displaystyle \frac{41}{42}\) に届きません。 1未満の正の有理数を4項の単位分数の和に分割したときに考えられる最大値について検証してみます。 3項のとき \(a\) , \(b\) という前 2 つは (1) の最善策 \(a=2\) , \(b=3\) とできました。 同様に、4項であれば、 \(a\) , \(b\) , \(c\) という前半 3 つは (2) の最善策 \(a=2\) , \(b=3\) , \(c=7\) とするのがよいわけです。 (証明は端折りますが、この場合の具体例は筋が悪くとも多少の根性があれば証明できます。) 残る \(d\) については \(\displaystyle \frac{1}{2}+\displaystyle \frac{1}{3}+\displaystyle \frac{1}{7}+\displaystyle \frac{1}{d} \lt 1\) を解くと \(d \gt 42\) を得ます。 つまり、\(d=43\) とするのが最善で \(\displaystyle \frac{1}{2}+\displaystyle \frac{1}{3}+\displaystyle \frac{1}{7}+\displaystyle \frac{1}{43}=\displaystyle \frac{1805}{1806}\) が最大ということになります。 項数5、項数6、\(\cdots\) としていったときも同様の手法でエジプト式分数の最大値を求めることができます。 これは と言われています。 項数に拘らなければ、 ということを証明させる問題です。 本問は 「フィボナッチ・シルベスターのアルゴリズム」 と呼ばれる手法に関する誘導がついています。 これは というアルゴリズムを繰り返すものです。 詳しくは解答PDFをご覧ください。(1) について
(2) について
\(a\) について
\(b\) , \(c\) について
本問の結果を拡張すると
関連参考問題について(フィボナッチ・シルベスターのアルゴリズム)
関連参考問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)