整数系

2023/1/31

複素数の2乗とピタゴラス数【2020年度 千葉大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) とてもシンプルな題意ですが、見かけとは裏腹にとっかかりが見えにくい難問です。 「逆ならいえるのに」という類の問題で論証色が強いため、傷がないように話を進めるとなると神経も使います。 千葉大の整数問題は割と本格的な問題も多いため、試験場では取捨選択も含めた判断がいるでしょう。 (以下ネタバレ注意)   + クリック(タップ)して続きを読む 路線1:有理数の設定 ひとまず、 \((a+bi)^{2}=(a^{2}-b^{2})+2abi ...

2022/11/20

有理数の生成と可算性【カルキン・ウィルフ・ツリー】【2019年度 大阪大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 「カルキン・ウィルフ・ツリー」と呼ばれる有理数の生成に関する不思議な樹形図の問題です。 この年の大阪大学のセットの中で最難問とも名高い問題で、機械的なマニュアル君は手も足も出ない可能性があります。 鋭い人は「当たり前じゃん」とさえ思える内容なのですが、どのように言語化するべきなのかも難しいでしょう。 数学でぶん殴りたいという受験生以外の人にとっては、合否に直結する問題ではないかもしれませんが、普段の学習においてはこういう問題に対して粘り強く考 ...

2022/11/6

最大公約数と最小公倍数に関する不定方程式【2021年度 横浜市立大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 最大公約数と最小公倍数に関する不定方程式を解く問題です。 整数問題に対する基本的な手法を確認するとともに、最大公約数、最小公倍数に関する基本的な関係をしっかりと確認しましょう。 (以下ネタバレ注意)   + クリック(タップ)して続きを読む 最初の心構え ひとまず \((L+G)(L-G)=2^{3} \cdot 3^{2}\) と因数分解し、積の形を作って 約数を拾う という整数問題の基本を狙っていくのが自然でしょう。 手際が多少 ...

2022/10/28

ニュートンの補間法【1995年度 甲南大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) ニュートンの補間法と呼ばれるものが背景にある問題を扱います。 問題を解くこと自体はできるかもしれませんが、どこからそんな発想が出てきたのかは中々難しいものがあると思います。 多項式を代入値で表すという独特の考え方であり、過去の数学者たちの知恵のようなものですから勉強していないと天下り的に感じるのも無理はありません。 ひとまずは問題を解くことに集中し、余裕があればこの問題の出どころを見てみましょう。 ニュートンの補間法についての知識そのものが劇 ...

2022/10/12

3次方程式と整数解【違和感や作為を読み取る】【1970年度 防衛大学校】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 古い問題ですが、3次方程式が整数解をもつという設定はよくある設定であり、今でも十分に演習価値のある問題です。 本問は手なりに進めていくと、「ん?」と思う部分が自然に出てくるはずです。 基本的には違和感やこの問題の作為を見落とさない観察力の問題なのですが、見るべきところを見る経験に裏打ちされる要素も若干は含んでいるでしょう。 (以下ネタバレ注意)   + クリック(タップ)して続きを読む 方程式と解に関する路線 方程式と解に関する問題 ...

2022/8/23

素数が存在する区間【ベルトラン・チェビシェフの定理】【1997年度 京都教育大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 以前、 の記事の中で、素数が存在しない区間(素数砂漠)について触れましたが、本問は素数が存在する区間について考える問題です。 本問も素数の階乗について扱っていますので、併せて見ると繋がりが感じられると思います。 本問は誘導が付いているため、問題を解くこと自体は特に無茶苦茶な要求ではありません。 むしろ、(2) のオチの結果は割とガバガバな結果で、 \(n!\) は \(n\) に比べてかなり大きいから、そりゃそうでしょうね と、感覚的にも納得 ...

2022/10/2

素数の階乗【ウィルソンの定理】【素数砂漠】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 素数の階乗を用いた興味深い性質について見ていきます。 問題のオチは素数が無限に存在するということの証明で、この事実の証明自体は で扱っていますが、アプローチは素数の階乗を用いたものです。 上の記事は素数の積を用いたアプローチですが、本問は \(p!\) を用いたものです。 まぁ、\(p!\) の因数の中には \(p\) 以下の素数が全て入っていますから、基本的に全く別のことをやっているというわけではないでしょう。 (以下ネタバレ注意) &nb ...

2022/8/3

連続する累乗数【ミハイレスクの定理】【2018年度 東北大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) \(3\) の累乗数と \(2\) の累乗数で連続するものを考えるという問題です。 \(3^{1}\) と \(2^{1}\) というのはほぼ自明な解ですが、その他はどうでしょうかということがこの問題の趣旨です。 1844年にカタランという数学者によって カタラン予想 \(x\) ,  \(y\) ,  \(m\) ,  \(n\) を \(1\) より大きい整数とするとき \(x^{m}-y^{n}=1\) を満たす \(x\) ,  \( ...

2022/10/28

整数値多項式【整数を代入したら整数が返ってくる多項式】【2013年度 中央大学ほか】

例題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 類題1はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 類題2はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 整数を代入したら、整数の値が返ってくるような多項式について扱います。 以下では便宜上、類題2で名付けられている 整数値多項式 という名称で以下呼ばせていただきます。 ここで扱うのは多項式の有名な性質の1つであり、しばしばネタにされる話題です。 色々訊かれることはありますが、その中で今回の話題を学ぶにあたり素直に訊 ...

2022/4/24

不定方程式の難良問【2007年度 京都大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 与えられた \(p\) という文字を使ってよい中で、条件を満たす整数 \(a\) ,  \(b\) ,  \(c\) ,  \(d\) を求めるという不定方程式の問題です。 試行錯誤的にやってみたら解けた 戦略をもって見通しをもちながら解けた そもそも手も足もでなかった という3タイプに分かれると思います。 試験場においては、解けたもん勝ちという側面が強いですが、普段の学習においては爪がひっかかる部分をどのように見出していくか目を光らせる訓練 ...

© 2024 MathClinic