2024年度 京都大学理系第6問【整数部分がn桁であるものの中で最高位の数字が1となるものの割合】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) \(2^{\sqrt{k}}\) の整数部分が \(n\) 桁となるものの中で、最高位の数字が \(1\) となるものの割合について、その極限を考える問題です。 \(2^{\sqrt{k}}\) が \(n\) 桁ということは \(10^{n-1} \leq 2^{\sqrt{k}} \lt 10^{n}\) ということになり、整理すると \((\displaystyle \frac{n-1}{\log_{10}{2}})^{2} \leq ...
2024年度 京都大学理系第1問【立方体の隣り合う面が異色で塗られる確率】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) \(n\) 色を準備し、立方体の各面を隣り合う面が異色となるように塗り分ける確率について考察する問題です。 立方体の塗り分けについての場合の数の問題だと、回転による一致や、裏返しによる一致を考慮する必要が出てきたりして、苦い思いをした経験がある人が多いと思います。 それに引きずられると、下手なことを考え出してクシャクシャになりかねません。 本問は確率の問題であり、各面に区別をつけ、全事象を \(n^{6}\) 通りとして考えることで、上述の回 ...
2023年度 名古屋大学 理系 第2問【2円で囲まれる部分のx軸回転体】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 2円が相異なる2点で交わるとき、2円で囲まれる部分の \(x\) 軸回転体の体積について考える問題です。 文字を多く含み、計算量が多少あるものの少なくとも (2) , できれば (3) までは何とか辿り着きたいところです。 (4) は (3) で得た \(V(r)\) を \(r\) で微分し、\(V'(r)\) を計算して増減表を得ることができれば解決なので、方針面では迷う余地はありませんが、かなりエグイ計算に襲われます。 \(r=a-b ...
2023年度 大阪大学理系第1問【メルカトル級数に関する極限】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 見た目で怯んでしまう人が多そうです。 重い数Ⅲをよく出題する阪大ですが、本問は計算量そのものはそこまで大変ではありません。 メルカトル級数 \(\displaystyle \sum_{k=1}^{\infty} \displaystyle \frac{(-1)^{k-1}}{k}=\log{2}\) という有名な級数に関する類題経験があると、(1) の活用法が見えやすくなります。 この分野は特に現役生が苦手意識をもったまま試験当日を迎えやすい ...
2023年度 北海道大学理系第1問【複素数平面上の図形列】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 複素数平面上で帰納的に定まる図形の列について考える問題です。 試しに \(C_{1}\)から \(C_{2}\) を作ってみると、構造や要領がつかみやすいと思いますし、 それができるなら \(C_{n}\)から \(C_{n+1}\) を作るのもできるはずです。 変換の意味を考えてみると、 \(\displaystyle \frac{1}{2}\) 倍縮小&平行移動 で、半径がどんどん半分になっていく円であることは想像できる人にはできるのでし ...
2023年度 九州大学理系第2問【絶対値のついた漸化式】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 漸化式は2項間漸化式なのですが、絶対値が付いているという点で面食らう受験生も多かったと思います。 こういった得体のしれない漸化式については、 実験して情報や要領をつかみ取る という態度で愚直に調べていくしかありません。 何かうまい方法はあるか と式変形に固執してしまうと身動きがとれなくなります。 試験場補正もかかりやすく、論述も手慣れていないとうまく記述しづらいため、完答しづらい問題です。 問題自体は面白く、思考力を鍛える教材としては積極的に ...
2023年度 東北大学理系第2問【三角関数の方程式の解の個数と極限】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 三角関数に関する方程式の解と、その解の個数に関する極限について考える問題です。 今回の \(\sin{3x}+\sin{x}=0\) という方程式の解を求めること自体は基本的なレベルであり、(1) は確保しないとツライものがあります。 実質は (2) の勝負です。 \(m\) 以下の解の個数を把握しようと思うと \(m\) がどの程度の大きさなのか ということに興味がいくでしょう。 今回の方程式の正の解は \(x=\displaystyle ...
2023年度 東京大学理系第1問【定積分の不等式評価と区分求積法】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 定積分の不等式評価と、区分求積法からのはさみうちの原理による極限の導出を考える問題です。 オープニングとしては中々けたたましいファンファーレに感じた受験生も多いでしょう。 \(B_{n}\) を具体的に計算できないこと、及び (1) の不等式評価を誘導と見れば (1) の不等式評価を用いてはさみうちの原理で仕留める というオチを睨むことは難しくありません。 ただ、肝心かなめの (1) の評価が簡単ではなく、第1問という位置取り的にも平常心を乱 ...
nのn乗根の極限【1985年度 鹿児島大学ほか】
例題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) \(\sqrt[n]{n}\) の極限についての問題です。 \(\sqrt[n]{n}=n^{\frac{1}{n}}\) ですから、\({\infty}^{0}\) という形の不定形ということになります。 本問は丁寧な誘導がついていますので、その誘導に乗れれば、完答することは難しくはありません。 その誘導自体も定番の不等式なので、経験があれば即沈みます。 (以下ネタバレ注意) + クリック(タップ)して続きを読む 例題について ...
フィボナッチ数列とリュカ数列 第2講【リュカ数列の一般項】【隣接2項の最大公約数と極限】【1994年度 姫路工業大学】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 今回のテーマ別演習ではフィボナッチ数列、及びリュカ数列にまつわる話題を取り扱っていきます。 古典的な内容となるため、いいか悪いかは別として知っている人からすればアドバンテージになり得る内容です。 細かな知識を事細かに逐一全て覚えなきゃと身構える必要はなく、高校で学習する基本事項の運用で訊かれていることを導出できればそれで構いません。 一つのストーリーとして気がついたら頭に入っていたという状態となれば幸いです。 シリーズ一覧 第2講は リュカ数 ...