問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)
\(\displaystyle \sum_{k=1}^{n} \sin{k\theta}\) について考える問題で、テーマとしては比較的シンプルな話題です。
例題では結果を数学的帰納法で証明するというスタイルで出題されていますが、ノーヒントで導出しろといった場合にどのように導出すればよいのかについてもプラスアルファで考えてみたいと思います。
(以下ネタバレ注意)
+ クリック(タップ)して続きを読む (1) について 「数学的帰納法で証明しろ」という解法指定があるため、方針面で迷う余地はありません。 必要なのは、三角関数の式変形の運用力です。 証明形式での出題のため、結論や着地地点もある程度見えるはずです。 (2) について (1) の等式において、\(\theta=\displaystyle \frac{\pi}{n}\) をぶち込むだけです。 ノーヒントであれば もし、ノーヒントで \(\displaystyle \sum_{k=1}^{n} \sin{k\theta}\) について聞かれた場合、どうするか考えてみます。 \(\sin{ \ }\) や \(\cos{ \ }\) の \(k\) 倍角を扱うにあたっては、 ド・モアブルの定理 \(z=\cos{\theta}+i\sin{\theta}\) とするとき \(z^{k}=\cos{k\theta}+i\sin{k\theta}\) からアプローチするのが有名です。 これにより、 \(\displaystyle \sum_{k=0}^n z^{k}=\displaystyle \sum_{k=0}^n \cos{k\theta}+( \displaystyle \sum_{k=0}^{n} \sin{k\theta} ) \ i\) となります。 \(\displaystyle \sum_{k=0}^{n} \sin{k\theta}\) も \(\displaystyle \sum_{k=1}^{n} \sin{k\theta}\) も同じですから、結局 \(\displaystyle \sum_{k=0}^n z^{k}\) の虚部 すなわち、 \(\displaystyle \frac{z^{n+1}-1}{z-1}\) の虚部について考えればよいことになります。 詳しい計算については【総括】のあとで触れておきました。 オチについて 例題の (2) からもう少し「極限」寄りに踏み込んで \(S_{n}=\displaystyle \sum_{k=1}^{n}\sin{\displaystyle \frac{k\pi}{n}}\) とするとき、 \(\displaystyle \lim_{n \to \infty} \displaystyle \frac{\pi}{2n}S_{n}\) を求めよ。 というようなオチもありそうです。 これについても、【総括】の後に少しふれておきました。 本問は ラグランジュの三角恒等式 \(\displaystyle \sum_{k=0}^{n}\cos{k\theta}=\displaystyle \frac{\cos{\displaystyle \frac{\theta}{2}\sin{\displaystyle \frac{(n+1)\theta}{2}}}}{\sin{\displaystyle \frac{\theta}{2}}}\) \(\displaystyle \sum_{k=0}^{n}\sin{k\theta}=\displaystyle \frac{\sin{\displaystyle \frac{\theta}{2}\sin{\displaystyle \frac{(n+1)\theta}{2}}}}{\sin{\displaystyle \frac{\theta}{2}}}\) という背景テーマがあります。 これについては 問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 三角関数の和の導出について考える問題です。 少し古い問題ですが、今回の話題を扱うにあたりよい例題ということでもってきました。 (以下ネタ ... 続きを見る で扱っています。本問の関連問題について
参考ラグランジュの三角恒等式【ド・モアブルの定理の応用】【1971年度 富山大学】