実践演習 極限・微分積分系

eの関数的な評価【微分による不等式証明の工夫】【2016年度 東京大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

 

2016年度東京大学理系第1問です。

ネイピア数 \(e\) の定義である

\(\displaystyle \lim_{ x \to \infty } (1+\displaystyle \frac{1}{x})^{x} = e\)

という定義をもとにした問題であろうことは分かると思います。

この年あたりから東大の第1問は「きちんと勉強してきましたか?」というメッセージが聞こえてきそうな基本的な問題が続いていました。

とは言え、「重い球」ではあるため、打ち損じてしまう可能性は試験場だとあり得ます。

本問は方針面では迷っていてはいけない問題だと思います。

試験場においては

  • これは確保したい問題
  • これは時間との相談次第で確保したい問題
  • これは優先順位的には後回し

といったような判断を誤らないことが大事でしょう。

(以下ネタバレ注意)

 

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基本的な方針としては差の関数を \(f(x)\) とおき、微分して \(f(x)\) について調べます。

今回は底にも指数にも変数 \(x\) が入っていますから、「対数微分法」が必要となります。

\(f(x)\) に対して \(\log f(x)\) を考えていくわけです。

現役生が「ウッ」となる話題だと思いますので、しっかり確認しておきましょう。

また、もう一つの方針(方針というよりも工夫)ですが、示すべき不等式に自然対数をとって変形していくことで

示すべき不等式を簡単にしてから微分する

ということも考えられます。(むしろそちらの方が望ましい)

用意した解答では

【解1】:対数微分法によって進める路線

【解2】:示すべき不等式を簡単にする路線

と2路線載せておきました。

また、総括のあとに、本問の不等式の数値設定について検証してありますので、余裕があればご覧ください。

なお、\(e\) の数値評価については、以下の記事

こちらもCHECK

数値評価 第2講【ネイピア数eの評価】【2010年度 横浜市立大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)   「数値評価」シリーズの第2弾です。 このシリーズの一覧はこちら   前回の第1弾は円周率 \(\pi\) の評価 ...

続きを見る

で扱っています。

本問の解答はコチラ

 

また、比較としてもう1題用意します。

+ クリック(タップ)して類題について続きを読む

類題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

設定一つ、誘導一つで、問題の表情や印象がガラッと変わるのは面白いと同時に奥深さを感じますね。

類題の解答はコチラ

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