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関数方程式の問題で、最終的には微分方程式に帰着するタイプです。
場数を踏むことで、このトピックスに対する勘所を掴んでいきましょう。
(以下ネタバレ注意)
+ クリック(タップ)して続きを読む 与えられた手持ちの武器は \(f(x+y)+f(x)f(y)=f(x)+f(y)\) という式しかなく、具体的に \(f(x)\) が与えられているというわけではありません。 この等式から \(f(0)\) に辿り着くために、 ということを考えるのが常套手段の一つです。 \(f(0)\) を登場させるために \(x=y=0\) と両方とも \(0\) をぶちこむと \(f(0)+{f(0)}^{2}=2f(0)\) となり、 \(f(0)\{f(0)-1\}=0\) と因数分解できるため、 \(f(0)=0 \ , \ 1\) という2通りの可能性が出てきます。 これは全称命題的な考え方で、 任意の \(x\) , \(y\) に対して~~が成り立つ という命題に対し、 じゃあ、\(x=y=0\) でも成り立つよね という「屁理屈」です。 この屁理屈では \(f(0)\) を特定させるには至らなかったため、もういっちょ屁理屈を言います。 \(x=1\) , \(y=0\) でも成り立つよね と。 すると、 \(f(1)+f(1)f(0)=f(1)+f(0)\) すなわち \(f(0)\{f(1)-1\}=0\) となり、可能性があるとすれば、\(f(0)=0\) という可能性しかなくなります。 もちろん、上記の特殊なシチュエーションに限らず \(f(0)=0\) ということが成り立つ保証はまだありません。 それを裏付けていくことになります。 ここで、\(x\) は \(x\) のままにしとくのが得策だと気がつけたらしめたもので、 \(y\) だけに \(0\) をぶち込む ということを考えてみます。 \(f(x+0)+f(x)f(0)=f(x)+f(0)\) すなわち \(f(0)\{f(x)-1\}=0\) という関係式を得ることになります。 もし、\(f(0) \neq 0\) だと仮定すると \(f(x)=1\) (定数関数) ということになり、\(f'(x)=0\) が任意の \(x\) に対して成り立ってしまいます。 これは条件である \(f'(0)=1\) ということに反してしまうため、背理法により \(f(0)=0\) が確定します。 微分微分と普段から言っていますが、微分とはなんでしょうか。 微分するとは 導関数を求める という作業のことです。 学校で学習する順番としては \(\displaystyle \lim_{h \to 0}\displaystyle \frac{f(a+h)-f(a)}{h}\) という極限値が有限確定したとき、その値を \(f'(a)\) と呼びましょう。 そして、その\(f'(a)\) という値は \(x=a\) における微分係数と言いましょうね。 と、まず「微分係数」の定義から入り、 → \(\displaystyle \lim_{h \to 0}\displaystyle \frac{f(1+h)-f(1)}{h}\) を計算する → \(\displaystyle \lim_{h \to 0}\displaystyle \frac{f(2+h)-f(2)}{h}\) を計算する というように、有限確定値をとるかどうかについていちいち計算していたわけです。 でも、これは手間だよね? 一般化して \(\displaystyle \lim_{h \to 0}\displaystyle \frac{f(x+h)-f(x)}{h}\) をあらかじめ計算しておこうよ? と、この極限の結果を計算しておいたものが「導関数」で、\(f'(x)\) と呼ぶことにするわけです。 そして、冒頭述べたように、\(f(x)\) から \(f'(x)\) を求める作業をすることを「微分する」というわけです。 もちろん、関数によっては全ての実数 \(x\) に対して \(\displaystyle \lim_{h \to 0}\displaystyle \frac{f(x+h)-f(x)}{h}\) という極限が有限確定する保証はありません。 つまり、\(f(x)\) が微分可能かどうかを調べたければ、 任意の \(x\) に対して \(\displaystyle \lim_{h \to 0}\displaystyle \frac{f(x+h)-f(x)}{h}\) という極限が有限確定するかどうか ということを調べるわけです。 今回の話では、この \(f(x+h)\) に相当する部分を 与えられた関数方程式の等式を用いて捌いていく ということを考えていきます。 (2) が解けていれば \(\displaystyle \lim_{h \to 0}\displaystyle \frac{f(x+h)-f(x)}{h}=1-f(x)\) という関係式を得ているはずです。 これは ということを意味しており、この極限計算の結果を \(f'(x)\) と呼んだわけですから \(f'(x)=1-f(x)\) という関係式が得られることになります。 「これを満たす \(f(x)\) なぁ~んだ」 という微分方程式の話に帰着するわけです。 この微分方程式の捌き方については色々ありますが、今回は高校生が「確かに」という納得感の強い解法である「積分因子法」で仕留めていきます。 \(f'(x)+A(x)f(x)\) という形に対して \(e^{\int_{ \ }^{ \ }A(x) dx}\)をかける方針です。 積分因子法については 例題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 微分方程式は厳密には教科書範囲では発展扱いとなっていますが、知識の差で出来具合が大きくならないように誘導をつけて出題されることはしばしば ... 続きを見る で扱っていますので、適宜活用してください。 類題とほぼほぼ同じ問題ですが、先ほどと違い \(f'(0)=1\) という条件が与えられていないため、場合分けが発生することになります。 シナリオ自体はそこまで大きくは変わりません。 最後の微分方程式については上記例題、類題1に比べれば迷う余地は少ないと思います。(1) について
(2) について
(3) について
参考微分方程式【積分因子法】【2000年度 東京理科大学】
類題1について
類題1はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)
類題2について
類題2はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)