実践演習 方程式・不等式・関数系

2乗した関数と合成関数の恒等式【関数方程式】【1976年度 信州大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

2乗した関数と、合成関数が恒等式となるような整式 \(f(x)\) を求めるという問題で、

この関係式を満たす \(f(x)\) なぁ~んだ?

という「関数方程式」です。

愚直な方法で処理することも可能ですし、計算をほとんどすることなく捌くこともできます。

(以下ネタバレ注意)

 

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方針1:恒等式の処理

\(f(x)\) が整式であるということが分かっているならば、まずは

何次式なのか

ということに注目したいところです。

\(f(x)\) が \(n\) 次式であると設定して次数の特定に向かうのが、整式型の関数方程式に対する常套手段です。

\(0\) 次式(定数関数)の扱いが若干ウルサイので、定数関数か否かで場合分けを行います。

\(f(x)\) が定数関数のとき

\(f(x)\) が定数関数のときは

\(f(x)=C\)

などと設定すると、\(\{f(x)\}^{2}=f(f(x))\) から

\(C^{2}=C\)

ということになり、

\(C=0 \ , \ 1\)

を得ます。

つまり、

\(f(x)=0 \ , \ 1\)

という定数関数を得ます。

\(f(x)\) が定数関数でないとき

\(f(x)\) が定数関数でないときは、\(n\) を正の整数として

  • \(f(x)\) を \(n\) 次式

と設定します。

このとき、

  • \(\{f(x)\}^{2}\) の次数は \(2n\)
  • \(f(f(x))\) の次数は \(n^{2}\)

ですので、\(\{f(x)\}^{2}=f(f(x))\) が成り立っているならば

\(2n=n^{2}\)

であり、\(n\) が正の整数であることを考えると

\(n=2\)

を得ます。

これにより

  • \(f(x)\) が \(2\) 次式

であることが分かりました。

補足

場合分けをせずに話を進めても

\(n=0\) ,  \(n=2\)

が登場し、結局は

定数関数か \(2\) 次式か

という場合分けになります。

上述の場合分けの必要性を感じなかった人もいるかもしれません。

どちらかというと今回の場合分けは必要性に迫られての場合分けというよりは、

  • 細々とウルサイことを言われそうな \(0\) 次式は先に個別検証でチャッチャと潰してしまおう

というニュアンスに近い場合分けです。

\(f(x)\) が \(2\) 次式であれば

\(f(x)=ax^{2}+bx+c\)

などとおいて、\(\{f(x)\}^{2}\) ,  \(f(f(x))\) をゴリゴリと計算し、整式の恒等式としての処理である係数比較で仕留める路線が見えるでしょう。

(問題文の設定は添え字がゴタゴタしてて見づらいです。)

この路線は【戦略1】【解1】で扱っています。

方針2:置き換えて構造決定

ほとんど閃き一発に近いのですが、

\(X=f(x)\) という置き換えによって

\(X^{2}=f(X)\)

ということになります。

これが意味するところは

  • 持ち込まれた \(X\) という値に対して、 \(2\) 乗した \(X^{2}\) という値を返す関数が \(f\)

ということであり、この関数 \(f\) は

\(f(x)=x^{2}\)

であるということが分かります。

ただし、これだと少々抜けがあります。

この辺りの注意点については【戦略2】【解2】をご覧ください。

計算自体はほとんどないものの、議論すべきことは意外と多いため、計算面の負担は減るが心理的な負担は増えるという感じでしょうか。

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