実践演習 方程式・不等式・関数系

3変数対称式の最大値【1996年度 大分医科大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

3変数の対称式に関する最大問題で、難問と言ってよいと思います。

今回の3変数は独立3変数なので、例えば、\(y\) と \(z\) を固定し、ひとまず \(x\) の関数として捉える、といったような

予選決勝法

を睨むのが第1感ですが、まともにぶつかると結構厳しいものがあると思います。

そこをどう乗り越えていくかが本問の山場です。

(以下ネタバレ注意)

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与式を大きくしようという気持ち

与式である

\(\displaystyle \frac{x+y+z}{3}+\sqrt{x+y+z-(x^{2}+y^{2}+z^{2})}\)

を大きくしよう大きくしようという気持ちがあれば、

ポイント

コーシーシュワルツの不等式

から得られる

  • \(x+y+z \leq \sqrt{3} \sqrt{x^{2}+y^{2}+z^{2}}\)

を用いると

\((与式) \leq \displaystyle \frac{x+y+z}{3}+\sqrt{x+y+z-\displaystyle \frac{(x+y+z)^{2}}{3}}\)

となります。

等号成立は、コーシー・シュワルツの不等式の等号成立条件を考えると

  • \(x=y=z\) のとき

であることが分かります。

これが意味することは

  • 与式を大きくするには、\(x=y=z\) とするのが最善である

ということです。

これは言わば、

予選決勝法における予選が終わり、決勝進出者が

\(\displaystyle \frac{x+y+z}{3}+\sqrt{x+y+z-\displaystyle \frac{(x+y+z)^{2}}{3}}\)

であるということを意味します。

決勝戦

与式を大きくしようとするには

  • \(x=y=z\)とするのが最善

ということが分かりましたから、決勝戦では

  • \(x=y=z=1\) ,  \(x=y=z=2\) ,  \(\cdots\)

というように

\(x=y=z=t\) とおき、\(t\) を動かしていく中で決勝進出者

\(\displaystyle \frac{x+y+z}{3}+\sqrt{x+y+z-\displaystyle \frac{(x+y+z)^{2}}{3}}\)

すなわち

\(t+\sqrt{3t-3t^{2}}\)

の最大値を考えていくことになります。

ここからは2路線考えられます。

路線1:逆像法

  • \(t+\sqrt{3t-3t^{2}}=1\) になるかな?
  • \(t+\sqrt{3t-3t^{2}}=2\) になるかな?

というように

  • \(t+\sqrt{3t-3t^{2}}=k\) になるかな?
  • なれるとしたらどんな \(k\) かな?

と考えていきます。

例えば、

  • \(t+\sqrt{3t-3t^{2}}=1\) になるかな?

という疑問に対しては

  • この \(t\) の方程式が \(0 \leq t \leq 1\) の範囲に解をもつかどうか

ということが決め手になります。

同様に

  • \(t+\sqrt{3t-3t^{2}}=k\) になるかな?

という疑問に対しては

この方程式を整理した

\(4t^{2}-(2k+3)t+k^{2}=0\)

という2次方程式が \(0 \leq t \leq 1\) の範囲に解をもつかどうか

ということを考えることで、\(k\) としてあり得る値の範囲を捉え、\(k\) の最大値を Get するわけです。

路線2:微分でゴリゴリ

逆像法が思いつかなかった場合、

\(g(t)=t+\sqrt{3t-3t^{2}}\)

などとおき、微分して増減表を得ることで最大値を求めるという直接的な路線で処理することになるでしょう。

少し億劫な処理が求められますが、試験場での現実的路線はコチラだと思います。

場数を踏みたい方へ

今回登場した重要事項について、

  • 詳しく知りたい
  • 場数を踏みたい

という方は

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