問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)
積分漸化式の作成からスタートし、その漸化式によって定まる数列についての様々な極限を考える問題です。
積分漸化式の作成法、極限を求める方針決定、不等式評価のポイント、漸化式との絡み、など様々なポイントが凝縮していますから、非常に勉強になる問題です。
ただし、ポイントが沢山あるがゆえに消化不良も起こしやすいので注意しましょう。
理系の現役生にとっては数Ⅲの完成度が合否に大きく影響します。
このぐらいのレベルになってくると、単元学習の段階で学習する問題と、実戦的な問題とのレベルのギャップをもろに感じるでしょう。
いい問題だなという感想がもてるかどうかというのが、自分のレベルの身の丈に合った問題かどうかのバロメーターの一つになると思います。
(以下ネタバレ注意)
+ クリック(タップ)して続きを読む
(1) について
例外は \(\tan{ \ }\) に関する積分漸化式です。
その場合の対処法は
\(I_{n+2}=\displaystyle \int_{0}^{ \frac{\pi}{4}} \tan^{n+2}{\theta} \ d\theta\)
\(=\displaystyle \int_{0}^{ \frac{\pi}{4}} \tan^{n}{\theta}\tan^{2}{\theta} \ d\theta\)
\(=\displaystyle \int_{0}^{ \frac{\pi}{4}} \tan^{n}{\theta}(\displaystyle\frac{1}{\cos^{2}{\theta}}-1) \ d\theta\)
\(=\left[ \displaystyle\frac{1}{n+1}\tan^{n+1}{\theta} \right]_0^\frac{\pi}{4}-I_{n}\)
\(=\displaystyle \frac{1}{n+1}-I_{n}\)
というように、
というのが処方箋となります。
このあたりは、今回の話題とは少し違いますが
-
-
定積分と不等式評価 第1講【定積分の評価方法】【2001年度 大分医科大学】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 多くの人が苦手とする話題である「定積分と不等式評価」という話題です。 特に現役生の勝負のカギは数Ⅲの完成度にあると言っても ...
続きを見る
-
-
定積分と不等式評価 第2講【ライプニッツ級数】【2012年度 琉球大学】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 今回は \(\tan{ \ }\) に関する定積分を扱います。 積分漸化式の作成については「部分積分」というのが常套手段な ...
続きを見る
でも触れています。
(2) について
少々卑怯なのですが、もし、\(\alpha\) に収束したら \(\cdots\) と考えていくと、(1) で得られる
\(c_{n+2}=-\displaystyle \frac{(n+3)(n+2)}{\pi^{2}} (1+c_{n})\)
という結果を少し変形した
\(c_{n}+1=-\displaystyle \frac{\pi^{2}}{(n+3)(n+2)} c_{n+2}\)
から \(\alpha=-1\) を得るため、
\(\displaystyle \lim_{n \to \infty} c_{n}=-1\)
という予想が立ちます。
ただし、あくまでもこれについては予想であるため、それを裏付ける必要があります。
\(c_{n}\) という一般項を求めることができないため、当然「はさみうちの原理」で仕留めることになります。
予想に基づいて、\(0 \leq |c_{n}+1| \leq ○\) と上から押さえこむことを考えます。
(3) について
\(\displaystyle \frac{0}{0}\) という不定形ですが、分母と分子のふるまい的には同じなので、
\(\displaystyle \frac{c_{n+1}-c}{c_{n}-c}=1\)
であることが予想されます。
\(\displaystyle \frac{c_{n+1}-c}{c_{n}-c}=\displaystyle \frac{c_{n+1}+1}{c_{n}+1}\) であり、\(c_{n}+1\) は (1) に登場していますから
(1) の積分漸化式に絡んでいく
ということを意識して変形すると道が拓けるでしょう。
解答はコチラ