2023年度 九州大学理系第5問【パラメータ表示で与えられた曲線についての面積】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) パラメータ表示で与えられた曲線についての面積を考える問題です。 やること自体は一本道であるため、方針面ではそこまで迷うことはないのですが、途中で出てくる数値がお世辞にもキレイではないため、不愉快な計算に襲われます。 細かな部分まで詰めようとすると結構神経を使うため、気疲れします。 グラフの概形的に面積をどう捌くかが問題で、面積の立式さえできれば積分計算自体は標準的なものですが、筋の悪い方向にいってしまい収拾がつかなくなってしまう受験生もそれな ...
2023年度 九州大学理系第4問【関数方程式と微分についての論証】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) リード文を読み、下線部に関連する事柄を証明したり、補足させたりするといった形式であり、従来の「問題解決型」の問いというより、「基本深掘り型」の問いです。 昨年 (2022年) にこの形式が出題されて、2年連続でこの形式の問題が出題されました。 今年は関数方程式と、微分に関する論証問題です。 昨年の講評で 今後こういった問題が入ってきて、それが九州大の数学の目玉になるのかどうかというのは、来年以降注目したいところでしょう。 と述べましたが、2年 ...
2023年度 九州大学理系第3問【任意の格子点が斜交座標においても格子点となる条件】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) ベクトルに関する論証問題ですが、1次変換に伴う斜交座標への変換という話題を扱っており、現行課程に行列がないため受験生はイメージが掴みにくいでしょう。 成分を用いて噛み砕いていくことで、数式的に処理していけますので、特別な知識は必要ありません。 ただ、問題の条件を適切に咀嚼する顎の力が必要です。 また、最後の (3) は全称命題としての独特の捌き方をします。 「任意の(全ての)」や「存在する」といった言葉をきちんと汲み取る力も求められ、文字も多 ...
2023年度 九州大学理系第2問【絶対値のついた漸化式】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 漸化式は2項間漸化式なのですが、絶対値が付いているという点で面食らう受験生も多かったと思います。 こういった得体のしれない漸化式については、 実験して情報や要領をつかみ取る という態度で愚直に調べていくしかありません。 何かうまい方法はあるか と式変形に固執してしまうと身動きがとれなくなります。 試験場補正もかかりやすく、論述も手慣れていないとうまく記述しづらいため、完答しづらい問題です。 問題自体は面白く、思考力を鍛える教材としては積極的に ...
2023年度 九州大学理系第1問【相反方程式と複素数平面における三角形の形状決定】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 相反方程式と、複素数平面における三角形の形状決定問題です。 相反方程式とは、 係数が外側から左右対称になっている方程式 のことで、特有の捌き方をするテーマ性のある話題です。 知識的側面が強いですが、難関大を目指すにあたっては準備していて然るべき定番の話題とも言えます。 相反方程式については を参考にしてください。 (2) の複素数平面における三角形の形状決定問題については、\(\alpha\) , \(\beta\) , \(\gamma ...
2023年度 東北大学 理系数学【総評と感想】
2023年度東北大学理系 各解説記事 150分 6題 記述式 と、形式に変更はありません。 分野的トピックス 第1問:場合の数・確率 第2問:三角関数・極限(数Ⅲ) 第3問:数列 第4問:複素数(複素数平面)(数Ⅲ) 第5問:ベクトル 第6問:微分法・積分法(数Ⅲ) という出題で、6題中3題が数Ⅲからの出題でした。 基本的に各分野からバランスよく出題されていました。 各大問について 第1問(やや易) 問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 赤玉と白玉が吐いた袋から \(\mathr ...
2023年度 東北大学理系第6問【長さと傾きが一定の線分の通過領域】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 線分の通過領域と、その面積を求める問題です。 線分の通過領域と聞いて身構えますが、今回の線分は 長さと傾きが一定の線分 であり、目で追っていくことができます。 その際 (1) がその補助となる部分です。 方針面では困ることはないでしょう。 ただ、細々とした算数計算や、面積を求めるのに必要な部分をチョコチョコ計算していると時間がかかります。 面積計算も、まともにぶつかると少々骨が折れますので、図形的考察をはさみながら少しでも労力を減らす工夫を試 ...
2023年度 東北大学理系第5問【四面体の頂点から対面に下ろした垂線の足の位置ベクトル】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 四面体の頂点から対面に下ろした垂線の足の位置ベクトルにスポットを当てた問題です。 基本に忠実に、登場人物を \(\vec{a}\) , \(\vec{b}\) , \(\vec{c}\) で表し、大きさと内積という基本情報を駆使しながら計算を進めていくことになります。 非常に基本的なレベルの問題であり、基本的には一本道であるため怖いのは計算ミスぐらいのものです。 なお、今回の四面体は作為的に設定されているため、その特殊性に気がつくと、多少 ...
2023年度 東北大学理系第4問【1の5乗根に関する論証】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) \(1\) の \(5\) 乗根に関する論証問題です。 \(1\) の \(5\) 乗根に関する整式の問題は今年の京大でも出題がありました。 (1) で \(\alpha\) が \({\alpha}^{4}+{\alpha}^{3}+{\alpha}^{2}+{\alpha}+1=0\) を満たしていることが分かりますから、\({\alpha}\) が \(1\) の \(5\) 乗根であることを見抜くのは、東北大受験生であれば無理はありま ...
2023年度 東北大学理系第3問【2項間漸化式(変数倍)の一般項とその和】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 2項間漸化式に関する一般項とその和についてを扱った問題です。 (1) で一般項が出せないと、連動して (2) も失うことになります。 しかも、(1) が出せれば (2) も勢いに乗って完答しやすいレベルであるため、差が付きやすい問題だと言えましょう。 漸化式が \((n+2)a_{n+1}=na_{n}+2\) という形で与えられているのはまだ親切で、 \(a_{n+1}=\displaystyle \frac{n}{n+2}a_{n}+\d ...