実践演習 極限・微分積分系

積分漸化式と極限【積分漸化式の作成】【不定形の解消】【2006年度 京都大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

積分漸化式の作成からスタートし、その漸化式によって定まる数列についての様々な極限を考える問題です。

積分漸化式の作成法、極限を求める方針決定、不等式評価のポイント、漸化式との絡み、など様々なポイントが凝縮していますから、非常に勉強になる問題です。

ただし、ポイントが沢山あるがゆえに消化不良も起こしやすいので注意しましょう。

理系の現役生にとっては数Ⅲの完成度が合否に大きく影響します。

このぐらいのレベルになってくると、単元学習の段階で学習する問題と、実戦的な問題とのレベルのギャップをもろに感じるでしょう。

いい問題だなという感想がもてるかどうかというのが、自分のレベルの身の丈に合った問題かどうかのバロメーターの一つになると思います。

(以下ネタバレ注意)

 

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(1) について

積分漸化式作成の処方箋

部分積分からの積分漸化式

例外は \(\tan{ \ }\) に関する積分漸化式です。

その場合の対処法は

\(I_{n+2}=\displaystyle \int_{0}^{ \frac{\pi}{4}} \tan^{n+2}{\theta}  \ d\theta\)

\(=\displaystyle \int_{0}^{ \frac{\pi}{4}} \tan^{n}{\theta}\tan^{2}{\theta}  \ d\theta\)

\(=\displaystyle \int_{0}^{ \frac{\pi}{4}} \tan^{n}{\theta}(\displaystyle\frac{1}{\cos^{2}{\theta}}-1) \  d\theta\)

\(=\left[ \displaystyle\frac{1}{n+1}\tan^{n+1}{\theta} \right]_0^\frac{\pi}{4}-I_{n}\)

\(=\displaystyle \frac{1}{n+1}-I_{n}\)

というように、

tanについての積分漸化式の処方箋

2乗を分離せよ

というのが処方箋となります。

このあたりは、今回の話題とは少し違いますが

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でも触れています。

(2) について

少々卑怯なのですが、もし、\(\alpha\) に収束したら \(\cdots\) と考えていくと、(1) で得られる

\(c_{n+2}=-\displaystyle \frac{(n+3)(n+2)}{\pi^{2}} (1+c_{n})\)

という結果を少し変形した

\(c_{n}+1=-\displaystyle \frac{\pi^{2}}{(n+3)(n+2)} c_{n+2}\)

から \(\alpha=-1\) を得るため、

\(\displaystyle \lim_{n \to \infty} c_{n}=-1\)

という予想が立ちます。

ただし、あくまでもこれについては予想であるため、それを裏付ける必要があります。

\(c_{n}\) という一般項を求めることができないため、当然「はさみうちの原理」で仕留めることになります。

予想に基づいて、\(0 \leq |c_{n}+1| \leq ○\) と上から押さえこむことを考えます。

(3) について

\(\displaystyle \frac{0}{0}\) という不定形ですが、分母と分子のふるまい的には同じなので、

\(\displaystyle \frac{c_{n+1}-c}{c_{n}-c}=1\)

であることが予想されます。

\(\displaystyle \frac{c_{n+1}-c}{c_{n}-c}=\displaystyle \frac{c_{n+1}+1}{c_{n}+1}\) であり、\(c_{n}+1\) は (1) に登場していますから

(1) の積分漸化式に絡んでいく

ということを意識して変形すると道が拓けるでしょう。

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