場合の数・確率系 実践演習

確率の最大【隣接2項比較】【2003年度 京都産業大学ほか】

例題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

確率の最大を求めるという問題を扱います。

恐らく単元学習の段階では解法のクセの強さと、考え方に慣れていないため、難問という位置づけだったと思います。

ただ、演習段階においては定番の類の問題と言ってよく、学習の定着度があらわれるテーマです。

(以下ネタバレ注意)

 

+ クリック(タップ)して続きを読む

(1) について

3回目の1で操作終了ということを噛み砕いてイメージすれば

というように

  • 直前の \(n-1\) 回目までにリーチがかかっている
  • \(n\) 回目にトドメの一撃

というイメージです。

\(n-1\) 回目までの内訳は

  • \(2\) 回が 1 の目
  • \(n-3\) 回が 1 以外の目

という内訳です。

こうなる確率については、

反復試行の確率

1回の試行で、事象 \(A\) が起こる確率が \(p_{A}\) ,  事象 \(B\) が起こる確率が \(p_{B}\) とし、この試行を \(n\) 回繰り返す。

\(n\) 回の試行のうち事象 \(A\) が \(k\) 回、事象 \(B\) が \(n-k\) 回起こる確率は

\({}_n \mathrm{ C }_k \cdot p_{A}^{k} \cdot p_{B}^{n-k}\)

という基本で仕留めます。

これについては丸暗記ではなく

  • \(p_{A}\) が \(k\) 回、\(p_{B}\) が \(n-k\) 回、これらが起こるパターン数が \({}_n \mathrm{ C }_k\) 通り

というイメージで式を「作る」という類の公式です。

今回の本問で言えば

\({}_{n-1} \mathrm{ C }_2 \cdot (\displaystyle \frac{1}{6})^{2} \cdot (\displaystyle \frac{5}{6})^{n-3}\)

ということになります。

これに加えて、\(n\) 回目にトドメの \(1\) が出る確率が \(\displaystyle \frac{1}{6}\) なので

\(p_{n}={}_{n-1} \mathrm{ C }_2 \cdot (\displaystyle \frac{1}{6})^{2} \cdot (\displaystyle \frac{5}{6})^{n-3} \times \displaystyle \frac{1}{6}\)

ということになります。

あとはこれを整理すれば

\(p_{n}=\displaystyle \frac{(n-1)(n-2)}{250} \cdot (\displaystyle \frac{5}{6})^{n}\)

という結果を得ます。

(2) について

3回目の 1 はあんまり早すぎるタイミングでは実現しにくいですし、極端な話、 \(100\) 回目のサイコロ投げでやっと3回目の 1 が出るということも実現しにくいというイメージが立つと思います。

ちょうどいい塩梅(あんばい)はどこか

という趣旨の問題です。

ある程度のところまでは

  • \(p_{3} \lt p_{4} \lt \cdots\)

と大きくなっていき

  • \(p_{〇} \gt p_{〇+1} \gt \cdots\)

とあるところから下がっていく

というイメージで

  • \(p_{3}\) と \(p_{4}\) のどちらが大きい?
  • \(p_{4}\) と \(p_{5}\) のどちらが大きい?

      \(\vdots\)

というように

  • \(p_{k}\) と \(p_{k+1}\) のどちらが大きい?

ということに興味を持って、それを調べることになります。

2数の比較

\(a\) と \(b\) という2数の大小比較をする際の方法は

  • \(a-b\) という差をとって、それが \(0\) より大きいか小さいかを見る
  • \(\displaystyle \frac{a}{b}\) という比をとって、それが \(1\) より大きいか小さいかを見る

という方法があります。

今回は確率 \(p_{k}\) ,  \(p_{k+1}\) の大小を比較したいわけです。

  • この分野は積を使いながら数え上げることが多い
  • 隣接2項であり、形が似通う

ため、この分野においては比をとって、\(1\) との大小を見るという方法がよく使われます。

方法2は払う分母が正かどうかで不等号の向きが変わってくる可能性がありますが、確率分野において扱う値は正の値であることもこの方針を後押しする材料です。

確率の最大問題を考える際の有力方針の一つとしてしっかりとマスターしたい手法です。

類題について

類題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

例題はサイコロを振るという設定でしたが、

  • サイコロを振る
  • ① ~ ⑥ という番号の付いた球が1つずつ入っている袋の中から1個球を取り出して元に戻す

という作業は同じことです。

そう考えると、例題と類題の違いは

  • 取った球を元に戻す「復元抽出」
  • 取った球を元に戻さない「非復元抽出」

という違いです。

オチである \(p_{n}\) を最大にする \(n\) を求める前に、\(p_{n}\) そのものを導出する過程で一山あります。

難関大志望者の方においては、この辺りのイレギュラーについてはブレることなく対応する力が求められます。

例題の解答はコチラ

類題の解答はコチラ

-場合の数・確率系, 実践演習
-

© 2024 MathClinic