実践演習 幾何・ベクトル系

正十二面体についての位置ベクトル【2011年度 福井大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

正十二面体に関する位置ベクトルについての問題です。

必然的に正五角形に関する扱いが求められます。

空間ベクトルの問題においては、正四面体などの簡単な立体は扱ったこともあるでしょうが、正十二面体となるとキッチリと地力の差が出るでしょう。

(以下ネタバレ注意)

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(1) について

正五角形に含まれる黄金三角形の黄金分割によって、正五角形の対角線の長さを求めていきます。

これらの用語が初耳だという方は

テーマ別演習:18°絡みの三角比

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で詳しく解説していますので、参考にしてください。

$$\begin{eqnarray}
\vec{a} \cdot \vec{b}&=& |\vec{a}||\vec{b}|\cos{108^{\circ}} \\
&=& -\cos{72^{\circ}}
\end{eqnarray}$$

なので、結局は \(\cos{72^{\circ}}\) が分かれば解決です。

なお、対角線の長さを \(x\) などと文字で置いておくと、その後も使いまわせるので便利です。

(2) について

考えやすくするために、適切に平面を取り出して考えていきます。

\(\overrightarrow{\mathrm{CD}}\) について

\(\overrightarrow{\mathrm{CD}}\) については

\(\mathrm{O}\) ,  \(\mathrm{A}\) ,  \(\mathrm{C}\) ,  \(\mathrm{D}\)

を含む正五角形を取り出して考えます。

という構図となります。

\(\overrightarrow{\mathrm{AD}}=x\overrightarrow{\mathrm{OC}}\)

と見るのが急所です。

\(\overrightarrow{\mathrm{OF}}\) について

\(\overrightarrow{\mathrm{OF}}\) については

\(\overrightarrow{\mathrm{OF}}=\overrightarrow{\mathrm{OC}}+\overrightarrow{\mathrm{CF}}\)

と繋いでいきます。

この \(\overrightarrow{\mathrm{CF}}\) というのは、ある意味

正五角形の対角線に向かうベクトル

ということで、前半のノウハウが使えます。

そのためには、\(\overrightarrow{\mathrm{CE}}\) ,  もっと言うと \(\overrightarrow{\mathrm{OE}}\) が必要になります。

必要に応じて正五角形を取り出して考えていきましょう。

(3) について

平面 \(\mathrm{ABD}\) 上の点 \(\mathrm{H}\) については

共面条件

\(\overrightarrow{\mathrm{OH}}=\alpha \overrightarrow{\mathrm{OA}}+\beta \overrightarrow{\mathrm{OB}}+(1-\alpha-\beta)\overrightarrow{\mathrm{OD}}\)

と表すことができます。

\(\overrightarrow{\mathrm{OH}}\) は 平面 \(\mathrm{ABD}\) と垂直なので、平面 \(\mathrm{ABD}\) 上の2本のベクトル

\(\overrightarrow{\mathrm{AB}}\) ,  \(\overrightarrow{\mathrm{AD}}\)

と垂直です。

式的には

$$\begin{eqnarray}
\left\{
\begin{array}{l}
\overrightarrow{\mathrm{OH}} \cdot \overrightarrow{\mathrm{AB}} = 0 \\
\overrightarrow{\mathrm{OH}} \cdot \overrightarrow{\mathrm{AD}} = 0
\end{array}
\right.
\end{eqnarray}$$

ということになります。

\(\alpha\) ,  \(\beta\) という未知数2つに対して、条件式も2つありますから、勝負ありです。

これにより、\(\overrightarrow{\mathrm{OH}}\) が \(\vec{a}\) ,  \(\vec{b}\) ,  \(\vec{c}\) で表せ、これらの大きさや内積は手中にあるため

\(|\overrightarrow{\mathrm{OH}}|^{2}\)

という2乗計算を経由して長さを求めていけます。

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