例題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)
分数形の関数の極限が有限確定値に収束するための条件について考える問題です。
話題としては定番の話題に入ると言ってよく、試験場で初見というのは難関大受験生としては準備不足と言わざるを得ないでしょう。
出典をあげればキリがありません。
もっと手ごろな「The例題」という問題もゴロゴロありますが、今回の例題は極限の計算力を手ごろに試せる実戦的な良問としました。
今回は例題のような定番のタイプに加え、少し味付けの違うタイプの問題も2題準備してあります。
(以下ネタバレ注意)
+ クリック(タップ)して続きを読む 今回の極限は \(x \to \pi\) というように \(\pi\) に向かう極限です。 不定形の解消のための手立てのほとんどは なので、ひとまず \(x-\pi=t\) などと置き換えて \(\displaystyle \lim_{t \to 0} \displaystyle \frac{\sqrt{a-\cos{t}}-b}{t^{2}}=\displaystyle \frac{1}{4}\) が成り立つような\(a\) , \(b\) を求める と、問題を言い換えます。 \(t \to 0\) であるとき \((左辺の分母) \to 0\) というように分母が \(0\) に収束するので、例えば \(\displaystyle \frac{1}{0}\) といったように、分子が \(0\) 以外の値に収束してしまった場合 左辺がぶっ飛んで有限確定しなくなってしまいます したがって、 \((左辺の分子) \to 0\) となる必要があります。 今回は \(\displaystyle \lim_{t \to 0} \{\sqrt{a-\cos{t}}-b\}=0\) ということになります。 これより、 \(b=\sqrt{a-1}\) という関係を得ます。 今の段階では、分母が \(0\) に収束するから、分子も \(0\) に収束するように仕組んだだけです。 つまり \(\displaystyle \frac{0}{0}\) という形に仕組んだだけであり、こいつは今のところ不定形で、有限確定値に収束する保証はありません。 したがって、今から \(\displaystyle \lim_{t \to 0} \displaystyle \frac{\sqrt{a-\cos{t}}-\sqrt{a-1}}{t^{2}}\) が有限確定値に収束することを示します。 この不定形の解消の第一感としては根号を含んでいるため、 ということになるでしょう。 すると \(\displaystyle \frac{\sqrt{a-\cos{t}}-\sqrt{a-1}}{t^{2}}=\displaystyle \frac{1-\cos{t}}{t^{2}} \cdot \displaystyle \frac {1}{\sqrt{a-\cos{t}}+\sqrt{a-1}}\) というように、\(\displaystyle \frac{0}{0}\) を作っている不定形の根元は \(\displaystyle \frac{1-\cos{t}}{t^{2}}\) という部分であることが分かります。 このように不定形の極限計算においては ポイント
悪さをしない奴はほっとく という目線が大切です。 この、\(\displaystyle \frac{1-\cos{t}}{t^{2}}\) という部分の捌き方ですが、\(1-\cos{t}\) というパーツからインスピレーションしたい路線が2路線あります。 路線1 路線2 という2路線です。 どちらでも構いませんが、解答では路線1で捌いています。 素材は同様の趣旨ですが、味付けが若干違う2題の問題も準備しました。 おそらく、例題に比べて経験済みという人は多くはないと思いますし、例題程度の経験学習がきちんと積めていれば、その場で対応可能な範疇ですので、力試しにぜひどうぞ 古い問題ですが、近年でもこのようなタイプはチョコチョコ見受けられます。(2019年度の南山大など) こちらは 「\(\infty\) へ発散するということの翻訳」 が話題です。 詰めが甘いと、細かなところで漏れが生じて傷がつく可能性が高いです。 不備なく答案を仕上げることができれば、論理上の気配りが普段から行き届いている証拠となりますし、そのバロメーターとなる問題です。置き換え
左辺の有限確定条件
不定形の解消
味付けが違う2題
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