例題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)
類題1はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)
類題2はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)
整数を代入したら、整数の値が返ってくるような多項式について扱います。
以下では便宜上、類題2で名付けられている
整数値多項式
という名称で以下呼ばせていただきます。
ここで扱うのは多項式の有名な性質の1つであり、しばしばネタにされる話題です。
色々訊かれることはありますが、その中で今回の話題を学ぶにあたり素直に訊いてくれている問題を例題と類題で準備しました。
類題2については、例題、類題1とステップアップをしたうえでも差がつくかなと思います。
(以下ネタバレ注意)
+ クリック(タップ)して続きを読む (1) では \(f(x)=\displaystyle \frac{x(x+1)}{2}\) が整数値多項式となることの証明です。 出題の意図としては という意図があるのだと思いますし、この話題を扱ううえで教育的にいい導入だと思います。 (この設問があったから例題として扱うことを決めたぐらいです。) 整数 \(n\) に対して \(f(n)=\displaystyle \frac{1}{2}n(n+1)\) ですが、 \(n\) , \(n+1\) は連続2整数 であるため、どちらか一方が偶数、他方が奇数となり、 \(n(n+1)\) は偶数 ということになります。 これより、 \(f(n)=\displaystyle \frac{1}{2}n(n+1)\) は整数の値をとることになり、整数値多項式と言えます。 今回の話題の中心的設問です。 発想の原動力 \(a\) , \(b\) , \(c\) は何も情報をもっていないので、整数という情報をもっている \(g(-1)\) , \(g(0)\) , \(g(1)\) という代入値を用いて \(g(x)\) を表そう。 という気持ちがこの問題を解ききる原動力となります。 とは言え、正直このように頭を動かせるかどうかというのは実際問題難しく、経験値による部分があるのは否定できません。 上述の気持ちをもち、\(g(-1)\) , \(g(0)\) , \(g(1)\) のままだと目がチカチカするので $$\begin{eqnarray} として という気持ちで式変形していきます。 つまり、 $$\begin{eqnarray} を \(a\) , \(b\) , \(c\) の連立方程式と見なして \(a\) , \(b\) , \(c\) について解いてしまいます。 すると $$\begin{eqnarray} となりますから、 \(g(x)=ax^{2}+bx+c\) は となります。 これより $$\begin{eqnarray} ということになり、(1) 同様連続2整数の積が偶数であることを考えると、\(g(x)\) が整数値多項式であることが示されます。 今回のように「代入値」を用いて表した多項式を 補間多項式 と言います。 【総括】の後に軽く触れてあります。 また、 問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) ニュートンの補間法と呼ばれるものが背景にある問題を扱います。 問題を解くこと自体はできるかもしれませんが、どこからそんな発想が出てきたの ... 続きを見る 問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) ラグランジュの補間法に関連する問題を扱ってみます。 一見するとゴッツい形になりますが、中身を見て見ると心地よさを感じる内容です。 (以下 ... 続きを見る 問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) マルコフの不等式と呼ばれる次の定理 マルコフの不等式 \(f(x)\) を高々 \(n\) 次の整式とする。 \(-1 \leq x \ ... 続きを見る なども参考にしてみてください。 (1) を眺めて などと思えればしめたもので、 \(h(x)=\displaystyle \frac{1}{3}x(x+1)\) などの反例が見つかります。 (1) については例題同様に仕留めましょう。 (2) については (1) の結果と結びつけるために \(g(x)=f(x+1997)\) などと設定すると \(g(-1)\) , \(g(0)\) , \(g(1)\) が全て整数 ということになり、(1) の結論から、\(g(x)\) が整数値多項式ということが言えます。 もちろん、\(f(n)=g(n-1997)\) ということから、\(f(x)\) も整数値多項式ということになります。 こうしてみると、\(1996\) , \(1997\) , \(1998\) という数字である必要はありませんね。 ちなみに、本問と構成が全く同様で \(f(2010)\) , \(f(2011)\) , \(f(2012)\) と数字だけを変えたものが、2011年度の新潟大学で出題されています。 例題から、 分数係数でも整数値多項式となることがある ということは示唆されています。 したがって、下手な論証の進め方をしてしまうと傷を負ってしまいかねません。 (4) が実は大ヒントで、 (2) は 1次→2次の橋渡しで示すんじゃないか? (3) は 2次→3次の橋渡しで示すんじゃないか? という方針面を示唆してくれています。 そうなってくると (1) が劇的に効いてきます。 なので、\(k-1\) 次と \(k\) 次の橋渡しとして (1) が効いてくることを見抜きたいところです。例題について
例題はこちら(再掲)(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)
(1) について
(2) について
\left\{
\begin{array}{l}
g(-1)=\alpha \\
g(0)=\beta\\
g(1)=\gamma
\end{array}
\right.
\end{eqnarray}$$
\left\{
\begin{array}{l}
a-b+c=\alpha \\
c=\beta\\
a+b+c=\gamma
\end{array}
\right.
\end{eqnarray}$$
\left\{
\begin{array}{l}
a=\displaystyle \frac{\alpha+\gamma-2\beta}{2} \\
b=\displaystyle \frac{\gamma-\alpha}{2}\\
c=\beta
\end{array}
\right.
\end{eqnarray}$$
g(n)&=&\displaystyle \frac{\alpha+\gamma-2\beta}{2} n^{2}+\displaystyle \frac{\gamma-\alpha}{2} n+\beta \\
&=& \alpha(\displaystyle \frac {n^{2}-n}{2})+\beta (1-n^{2})+\gamma(\displaystyle \frac {n^{2}+n}{2})\\
&=& \displaystyle \frac{\alpha}{2}n(n-1)+\displaystyle \frac{\gamma}{2}n(n+1)+\beta (1-n^{2})
\end{eqnarray}$$ウンチク
参考1ニュートンの補間法【1995年度 甲南大学】
参考2ラグランジュの補間法【1989年度 関西大学】
参考3補間多項式の考え方【マルコフの不等式】【1981年度 学習院大学】
(3) について
類題1について
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類題2について
類題2はこちら(再掲)(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)