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3種の数列 \(\{a_{n}\}\) , \(\{b_{n}\}\) , \(\{c_{n}\}\) についての連立漸化式の扱いを考えます。
特に今回は対称性のある連立漸化式について見ていきます。
連立漸化式については、テーマ別演習「漸化式基本パターン」
漸化式の解法基本パターン 第1講【2項間漸化式:ズラせば等比数列】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 漸化式は問題を解く中で処理しなければならない場面が多々あります。 確率漸化式などの確率や場合の数の分野との融合 点列など、座標との融合 整数問題との融合 など、漸化式は道具として使う場面が多々あります。 漸化式が立式できても、それが解けないとなると意味がありませんから、基本的な漸化式についてはきちんと処理できる必要があります。 そこで基本的な漸化式について一通りこのシリーズで押さえておきたいと思います このシリーズの一覧はこちら ...
漸化式の解法基本パターン 第2講【2項間漸化式:心霊写真型】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) このシリーズの一覧はこちら 前回の第1講で扱った Type 1 \(a_{n+1}=pa_{n}+q\) ( \(p \neq 1\) ) の派生形として今回は Type 2 (心霊写真型) \(a_{n+1}=pa_{n}+q^{n}\) ( \(p \neq 1\) ) ( \(q\) の肩になんか乗ってる ) というタイプを扱います。 この心霊写真型の除霊の仕方は2パターンあり 心霊写真型の除霊の仕方 ...
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) このシリーズの一覧はこちら 漸化式基本パターン第3講では、「分数型」の漸化式を扱います。 まずは分数型の中でも簡単な形(特殊な形)である 分数漸化式(メタボ型) \(a_{n+1}=\displaystyle \frac{ra_{n}}{pa_{n}+q}\) を考えます。 分数の形がなんとなく△の形をしており、引き締まっておりません。 逆数を取ると \(\displaystyle \frac{1}{a_{n+1}}=\disp ...
漸化式の解法基本パターン 第4講【2項間漸化式:特性方程式使うと事故る型】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) このシリーズの一覧はこちら 漸化式の解法基本パターン第4講では 特性方程式使うと事故る型 \(a_{n+1}=pa_{n}+An+B\) というタイプをやっていきます。 長ったらしいネーミングですが、逆に一回事故った方が理解が深まると思います。 (もっといいネーミングがあれば募集します。) 文字のままやっててもピンとこないかもしれませんので、本問の (1) を例にとって、敢えて事故ってみます。 誤答 ...
漸化式の解法基本パターン 第5講【2項間漸化式:そうだ、logをとろう型】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) このシリーズの一覧はこちら 漸化式の解法基本パターン第5講では そうだ、log をとろう型 \(a_{n+1}^{p}=Aa_{n}^{q}\) というタイプを扱います。 両辺底が \(A\) の対数をとると \(p\log_{A}a_{n+1}=q\log_{A}a_{n}+1\) となり、\(b_{n}=\log_{A}a_{n}\) とおくと \(b_{n+1}=\displaystyle \frac{q}{p}b_{n} ...
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) このシリーズの一覧はこちら 第6講では「変数倍」型を扱います。 変数倍型 $$a_{n+1}=f(n)a_{n}+A$$ 基本的に\(a_{n+1}=pa_{n}+\cdots\) という「定数倍」であれば、多少のイレギュラーこそあれど、等比数列としての処理に帰着することになります。 今回のように「変数倍」になってくると、形一つで対応が変わってきます。 このあたりを体系的にまとめるのは難しいでしょう。 (1) , (2) は ...
漸化式の解法基本パターン 第7講【隣接3項間漸化式への対応】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) このシリーズの一覧はこちら 第7講では3項間漸化式を扱います。 3項間漸化式 $$a_{n+2}+pa_{n+1}+qa_{n}=0$$ この3項間漸化式の狙い筋は 狙い筋 $$a_{n+2}-\alpha a_{n+1}=\beta(a_{n+1}-\alpha a_{n})$$ という形に変形することで、等比数列の形として処理することです。 つまり、 \(a_{n+2}-\alpha a_{n+1}=\beta(a_{n+1 ...
漸化式の解法基本パターン 第8講【2種類の連立漸化式への対応】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) このシリーズの一覧はこちら 第8講では「連立漸化式」を扱います。 連立漸化式の代表的な解法としては2つあります。 連立漸化式の代表的方針 1文字消去 上手い倍率を見つけて辺々操作 それぞれについて見てみます。 1文字消去路線について 今回の (1) を例にとってみます。 消しやすい第2式に注目すれば、\(a_{n}=b_{n+1}-b_{n}\) と見ることができます。 第1式に代入するために番号を 1 つ上げれば ...
の第8講で扱っていますが、今回は「3種の数列」「対称性」という実戦的な話題にスポットを当て、実践演習という位置づけで扱います。
なお、本当は誘導の設問がついていましたが、今回は誘導がなくても確保したいレベルということでカットしました。
下のスライドボックスをクリック(タップ)すると誘導付きの原題が出てきます。
誘導を見るだけでヒントになってしまったり、先入観が入ってきてしまいますので注意してください。
(以下ネタバレ注意)
+ クリック(タップ)して続きを読む 本問の原題(の概略)は次のようなものでした。 原題 (1) \(a_{n}+b_{n}+c_{n}=a+b+c\) , \(2a_{n}-b_{n}-c_{n}=(-\displaystyle \frac{1}{2})^{n}(2a-b-c)\) を示せ。 (2) \(\displaystyle \lim_{n \to \infty}a_{n}\) を求めよ。 (1) という誘導があれば辺々加えるだけで \(a_{n}\) が Get できます。 (1) も言われていることをやるだけで終わってしまいます。 以下はノーヒントで誘導がないということを前提に話を進めます。 対称的があるときは対称性を崩さないように扱う というのがよくある考え方です。 今回 $$\begin{eqnarray} という漸化式に対して辺々全て加えると \(a_{n+1}+b_{n+1}+c_{n+1}=a_{n}+b_{n}+c_{n}\) を得るため、数列 \(\{a_{n}+b_{n}+c_{n}\}\) は \(n\) によらない定数列であることが分かります。 これより、 \(a_{n}+b_{n}+c_{n}=a_{1}+b_{1}+c_{1}=a+b+c\) を得ることになります。 連立漸化式を処理する際の基本は文字消去です。 今回は \(\displaystyle \lim_{n \to \infty}a_{n}\) を考えたいので、\(b_{n}\) , \(c_{n}\) を消去する方向で考えたいと思います。 再び対称性に目を向ければ という2式から \(a_{n+1}=\displaystyle \frac{1}{2}\{(a+b+c)-a_{n}\}\) すなわち \(a_{n+1}=-\displaystyle \frac{1}{2}a_{n}+\displaystyle \frac{a+b+c}{2}\) というド定番の基本的な2項間漸化式が得られます。 ここから先は消化試合でしょう。 確率漸化式の問題で \(p_{n}+q_{n}+r_{n}=1\) を利用して漸化式を処理するというタイプの問題はよくありますが、それに近い感じですね。原題は
対称性に注目すると
\left\{
\begin{array}{l}
a_{n+1}=\displaystyle \frac{1}{2}(b_{n}+c_{n}) \\
b_{n+1}=\displaystyle \frac{1}{2}(c_{n}+a_{n}) \\
b_{n+1}=\displaystyle \frac{1}{2}(c_{n}+a_{n})
\end{array}
\right.
\end{eqnarray}$$連立漸化式の基本は文字消去
確率漸化式の問題だと