実践演習 方程式・不等式・関数系

分数形の桁数計算【2006年度 宮崎大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

分数の形をした整数の桁数計算についての問題です。

機械的な桁数計算しかしていないと、こういった問題がボディーブローのように「ウッ」となるやもしれません。

(以下ネタバレ注意)

 

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路線1:2の累乗で挟む

\(p\) を実際に計算するのは実質無理筋ですし、このまま \(\log_{10}p\) を計算するにしても、\(+1\) の部分や \(\displaystyle \frac{ \ }{17}\) の部分の処理で困ってしまいます。

そこで、等式を諦め、不等式を繋いで評価していく作戦に舵を切ります。

与えられている \(\log_{10}2\) についての条件を考え、

\(2^{○} \lt p \lt 2^{□}\)

という形で挟みたいと思います。

\(p\) を大きく

\(p\) を大きくしようと思うと

  • 分母を \(\displaystyle \frac{ \ }{17}\) → \(\displaystyle \frac{ \ }{2^{4}}\) と小さくする
  • 分子を \(\displaystyle \frac{2^{148}+1}{ \ }\) → \(\displaystyle \frac{2^{149}}{ \ }\) と大きくする

というのが一つの評価です。

\(p\) を小さく

\(p\) を小さくしようと思うと

分母を \(\displaystyle \frac{ \ }{17}\) → \(\displaystyle \frac{ \ }{2^{5}}\) と大きくする

分子を \(\displaystyle \frac{2^{148}+1}{ \ }\) → \(\displaystyle \frac{2^{148}}{ \ }\) と小さくする

というところでしょう。

結果的に

\(p\) を2の累乗で挟もうという気持ちで上述のように評価すると

\(2^{143} \lt p \lt 2^{145}\)

という形で評価できます。

あとは辺々常用対数をとれば

\(143 \log_{10}2 \lt \log_{10}p \lt 145 \log_{10}2\)

となります。

今回は \(\log_{10}2\) が近似値としてではなく、

\(0.301 \lt \log_{10}2 \lt 0.302\)

という不等式評価の形で与えられていることから、

\(143 \log_{10}2\) をさらに小さく

\(143 \cdot 0.301 \lt 143 \log_{10}2\)

\(145 \log_{10}2\) をさらに大きく

\(145 \log_{10}2 \lt 145 \cdot 0.302\)

とすることで

\(43.043 \lt \log_{10}p \lt 43.79\)

を得ますから、

\(43 \lt \log_{10}p \lt 44\)

すなわち

\(10^{43} \lt p \lt 10^{44}\)

と、\(p\) が \(44\) 桁であることが分かり、解決です。

路線2:10の累乗で挟む

\(p\) を \(10\) の累乗の形で直接的に挟みたいという気持ちを前面に押し出すのもありでしょう。

そのために、

\(p=\displaystyle \frac{2^{148}+1}{17}\)

という形を

\(2^{148}=17p-1\)

と見て、辺々常用対数をとり、

\(148 \log_{10}2=\log_{10}(17p-1)\)

とすることで、与えられた不等式を辺々 \(148\) 倍します。

すると

\(0.301 \cdot 148 \lt \log_{10}(17p-1) \lt 0.302 \cdot 148\)

を得ますから、

\(44.548 \lt \log_{10}(17p-1) \lt 44.696\)

すなわち

\(10^{44.548} \lt 17p-1 \lt 10^{44.696}\)

となり、

\(\displaystyle \frac{10^{44.548}+1}{17} \lt p \lt \displaystyle \frac{10^{44.696}+1}{17}\)

と、\(p\) を挟むことができました。

もちろん、ここから手計算が可能な範囲でさらに最左辺と最右辺を評価していくことになります。

最左辺については

\(\displaystyle \frac{10^{44.5}}{17} \lt \displaystyle \frac{10^{44.548}+1}{17}\)

最右辺については

\(\displaystyle \frac{10^{44.696}+1}{17} \lt \displaystyle \frac{10^{45}}{17}\)

と評価します。

これにより

\(\displaystyle \frac{10\sqrt{10}}{17} \cdot 10^{43} \lt p \lt \displaystyle \frac{10}{17} \cdot 10^{44}\)

を得るため、細部を詰めて

\(10^{43} \lt p \lt 10^{44}\)

が得られ、解決です。

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