仮想難関大

仮想難関大(オリジナル予想問題)【幾何~垂心~】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

仮想難関大シリーズということで、東大、京大をはじめとする旧帝大、東工大、国公立大学医学部医学科などの難関国公立大を想定したオリジナルの自作問題です。

「手垢の付いていない問題で力試しがしたい」

という方はぜひご活用ください。

今回は幾何の問題です。

重心や外心、内心などは幾何的性質も豊富ですが、垂心についての幾何的性質については中々スポットが当たらないので、これを機に考えてみてほしいと思います。

難易度は冷静な状態であればやや易でしょうが、試験場のような場で頭に血が昇ると見えるものが見えなくなりますので、試験場補正はかかりやすい類の問題かもしれません。

(以下ネタバレ注意)

 

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(1) について

1点で交わることの証明を幾何的に証明しようと思うと少々厄介です。

そこで、座標を設定し、計算によって1点で交わることを示すのが明確です。

というように、直角を活かして、\(\mathrm{D}\) を原点として

\(\mathrm{A}(0 \ , \ a) \ , \ \mathrm{B}(b \ , \ 0) \ , \ \mathrm{C}(c \ , \ 0)\)

というように座標を設定すればよいでしょう。

(2) について

路線1:座標

(1) に引き続き座標路線を続けるのも1つの手です。

(1) ができた段階では \(\mathrm{H}\) の座標は

\(\mathrm{H}(0 \ , \ -\displaystyle \frac{bc}{a})\)

と具体的に分かっています。

\(\mathrm{AH}\) ,  \(\mathrm{HD}\) については問題なく立式できるでしょう。

\(\mathrm{BH}\) ,  \(\mathrm{CH}\) については三平方の定理で立式すれば問題ありません。

\(\mathrm{HE}\) ,  \(\mathrm{HF}\) については、下手のことを考え出すと沼に嵌まりますが、

点と直線の距離公式

を用いてやるのが明確で早いでしょう。

路線2:方べきの定理その1

示すべき等式の形は、

\(\mathrm{H}\) を起点とするクロス積

であり、形的に

方べきの定理

を彷彿とさせます。

そうなってくると、円を登場させる必要がでてくるわけです。

ひとまず、

\(\mathrm{AH} \cdot \mathrm{HD}=\mathrm{BH} \cdot \mathrm{HE}\)

をターゲットにすると、

というように、

\(\mathrm{A}\) ,  \(\mathrm{B}\) ,  \(\mathrm{D}\) ,  \(\mathrm{E}\) が同一円周上

にあってほしいと思うわけですが、これは円周角の定理から実現します。

これにより、

\(\mathrm{AH} \cdot \mathrm{HD}=\mathrm{BH} \cdot \mathrm{HE}\)

が言えました。

同様に、

というように、

\(\mathrm{A}\) ,  \(\mathrm{F}\) ,  \(\mathrm{D}\) ,  \(\mathrm{C}\) が同一円周上

ということが円周角の定理により保証されますから、方べきの定理より

\(\mathrm{AH} \cdot \mathrm{HD}=\mathrm{CH} \cdot \mathrm{HF}\)

ということが言え、先ほどの結論と合わせると

\(\mathrm{AH} \cdot \mathrm{HD}=\mathrm{BH} \cdot \mathrm{HE}=\mathrm{CH} \cdot \mathrm{HF}\)

ということが言えて解決します。

路線3:方べきの定理その2

三角形 \(\mathrm{ABC}\) の外接円を考えて

というように \(\mathrm{P}\) ,  \(\mathrm{Q}\) ,  \(\mathrm{R}\) を定めます。

この段階で、方べきの定理を用いると

\(\mathrm{AH} \cdot \mathrm{HP}=\mathrm{BH} \cdot \mathrm{HQ}=\mathrm{CH} \cdot \mathrm{HR}\)

なのですが、

というように

  • \(\triangle{\mathrm{CHD}} \equiv \triangle{\mathrm{CPD}}\)
  • \(\triangle{\mathrm{AHE}} \equiv \triangle{\mathrm{AQE}}\)
  • \(\triangle{\mathrm{BHF}} \equiv \triangle{\mathrm{BRF}}\)

という合同性に注目し、

  • \(\mathrm{HD}=\mathrm{DP}\)
  • \(\mathrm{HE}=\mathrm{EQ}\)
  • \(\mathrm{HF}=\mathrm{FR}\)

ということが看破できれば、先ほどの

\(\mathrm{AH} \cdot \mathrm{HP}=\mathrm{BH} \cdot \mathrm{HQ}=\mathrm{CH} \cdot \mathrm{HR}\)

という等式は

\(\mathrm{AH} \cdot 2 \mathrm{HD}=\mathrm{BH} \cdot 2 \mathrm{HE}=\mathrm{CH} \cdot 2 \mathrm{HF}\)

ということになり、

\(\mathrm{AH} \cdot \mathrm{HD}=\mathrm{BH} \cdot \mathrm{HE}=\mathrm{CH} \cdot \mathrm{HF}\)

が言えて解決です。

まとめ

冷静に方べきの定理を2発かませばあっという間に沈みますが、

1つの円で済まそう

という乱暴なことを考えると、工夫のハードルが上がってしまいます。

なお、本問の主張は鋭角三角形に限らず、直角三角形、鈍角三角形でも言えることですので、余力があれば復習も兼ねてそちらも証明してみてください。

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