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不等式証明と、それを利用する数値の大小比較の問題です。
(1) の不等式証明から結構ハードです。
(2) も (1) の単純な運用では中々うまくいきません。
せめて (1) を利用して (2) だけでもチャチャっと片付けようとした人からすれば「よもやよもや」でしょう。
(以下ネタバレ注意)
+ クリック(タップ)して続きを読む ひとまず、\(\log{ \ }\) をとりたくなるでしょう。 そうなると \((1-\displaystyle \frac{1}{x})\log{(1-x)} \lt \displaystyle \frac{1}{x} \log{(1+x)}\) を示せばよいことになります。 ここから様々な方針が考えられます。 先ほどの示すべき不等式を \(\displaystyle \frac{1}{x}\{\log{(x+1)}-(x-1)\log{(1-x)}\} \gt 0\) と見ます。 このまま \(f(x)=\displaystyle \frac{1}{x}\{\log{(x+1)}-(x-1)\log{(1-x)}\}\) と見て、微分に走る方向がストレートで分かりやすい方針ですが、計算量的に決して軽くはないのでそれに耐えきれるかにかかってくるでしょう。 これについては【戦略2】【解2】で扱っています。 示すべき不等式を \(\displaystyle \frac{1}{x}\{\log{(x+1)}-(x-1)\log{(1-x)}\} \gt 0\) と見る部分は同じですが、これをさらに踏み込んで \(\displaystyle \frac{1}{x} と \log{(x+1)}-(x-1)\log{(1-x)}\) が同符号 と見ることができれば、\(\displaystyle \frac{1}{x}\) の符号は追いやすいので、実質 \(\log{(x+1)}-(x-1)\log{(1-x)}\) 部分の符号調査の負担で済みます。 この方針を【戦略1】【解1】として扱っています。 一番最初に示すべき両辺の対数を取った \((1-\displaystyle \frac{1}{x})\log{(1-x)} \lt \displaystyle \frac{1}{x} \log{(1+x)}\) について、\(\displaystyle \frac{1}{x}\) で括れる部分に注目すると \(\log{(1-x)} \lt \displaystyle \frac{1}{x} \{\log{(1+x)}+\log{(1-x)}\}\) すなわち \(\log{(1-x)} \lt \displaystyle \frac{1}{x} \log{(1-x^{2})}\) を示せばよいことになります。 だから何だと言われそうですが、\(f(x)=\log{(1-x)}\) とおくと \(f(x) \lt \displaystyle \frac{f(x^{2})}{x}\) となります。 これより、 ということを示すべきことになるわけです。 この \(\displaystyle \frac{f(x)}{x}\) という形は「勾配関数」と呼ばれるもので \((0 \ , \ 0)\) と \((x \ , \ f(x))\) を結ぶ線分の傾き という意味のある形です。 これにより視覚的処理が可能となります。 この路線を【戦略3】【解3】で扱っています。 単純に \(x=\displaystyle \frac{1}{100}\) を代入しても \(0.99^{\frac{99}{100}} \lt 1.01^{100}\) となって失敗します。 同様に \(x=-\displaystyle \frac{1}{100}\) を代入しても \(1.01^{\frac{101}{100}} \lt 0,99^{-\frac{1}{100}}\) で、やはりうまくいきません。 \(0.99\) を作ろうと思ったら \(0.9999\) が作れない ということで、試験場では血の気が引いていくかもしれません。 ここからのリカバリー策としては ということが考えられます。 代入するものを変えると言っても、\(x=\displaystyle \frac{1}{100}\) 以外で何かうまくいく値があるとも思えないですし、 \(x=\displaystyle \frac{1}{100}\) の代入は譲りたくありません。 そこで、\(x=\displaystyle \frac{1}{100}\) を代入したときに、 \(0.9999\) も登場してほしい と思うわけです。 という目で眺めると \(0.9999=1-(\displaystyle \frac{1}{100})^{2}\) ということで、 \(1-x^{2}\) というパーツが欲しい と思えればしめたものです。 (1) の不等式の活用法が思いつかなかった場合、高次計算値の評価法の有力手段の一つ 二項定理の活用 という方向で捌くことも可能です。 もちろん、(1) の誘導を無視する形ということで出題者の思惑とは確実に違う方向性でしょうし、時間もどこまで消費してしまうかという問題もあるでしょう。 ただ、解ききれるなら解ききることを優先的に考えたいところです。 大抵この手の類の構成の問題では (1) の不等式に特別な値を「代入するだけ」で解決してしまう ということが多いのですが、さすがに東大は一手間要求してきます。 頭に血が昇った状態だと (1) すら落としかねません。 普段の演習から試験場を想定して演習することが、試験場での冷静な判断につながります。(1) について
方針1
方針2
方針3
(2) について
リカバリー策1
リカバリー策2
まとめ