実践演習 整数系

不定方程式【和と積が等しい整数の組】【2012年度 東京理科大学ほか】

問題1はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

問題2はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

整数問題については

整数問題の有力方針

  • 積の形から約数の拾い上げ
  • 余りで分類
  • 評価する(範囲を絞る)

を意識するのが基本です。

その中で、

  • 評価する(範囲を絞る)

という項目を学ぶ例題として今回の話題である

「和と積が等しい整数の組」

を考える問題がよく使われます。

よくあるのは次のような「3変数」の場合です。

3変数の例題

例題:\(xyz=x+y+z\) を満たす自然数 \((x , \ y , \ z)\) の組を全て求めよ。

解答例

問題の対称性からひとまず \(x \leq y \leq z\) として考える。

このとき , \(x+y+z \leq z+z+z\) であり , 条件から , \(xyz \leq 3z\)

すなわち , \(xy \leq 3\)

これより ,  \((x , \ y)=(1 ,  \ 1) , \ \ (1 , \ 2) ,  \ \ (1 , \ 3) \)

\(<1>  (x , \ y)=(1 ,  \ 1)\) のとき

与えられた条件式から , \(z=2+z\) でこれを満たす \(z\) は存在しない。

\(<2>  (x , \ y)=(1 ,  \ 2)\) のとき

与えられた条件式から , \(2z=3+z\) で ,  \(z=3\) を得る。
(これは \(x \leq y \leq z\) を満たす。)

\(<3>  (x , \ y)=(1 ,  \ 3)\) のとき

与えられた条件式から , \(3z=4+z\) で ,  \(z=2\) を得る。
(これは \(x \leq y \leq z\) を満たさない。)

以上 \(<1>\) , \(<2>\) , \(<3>\) から

\((x , \ y , \ z)=(1 , \ 2 , \ 3)\)

実際には  \(x \leq y \leq z\)  という制限はないので

\((x , \ y , \ z)=(1 , \ 2 , \ 3) , \ \ (1 , \ 3 , \ 2) , \ \ (2 , \ 1 , \ 3) , \ \ (2 , \ 3 , \ 1) , \ \ (3 , \ 1 , \ 2) , \ \ (3 , \ 2 , \ 1)\)

まず今回の数たちというのはそんなに大きくないだろうことが予測されます。

普通は (積)\( \gt \)(和)  にも関わらず、積と和が等しいと言っているのですから。

そして、今回の問題には「対称性」があります。

なので、いったん \(x \leq y \leq z\) という区別をつけて考えることで範囲を絞り込み、\((x , \ y , \ z)\) の組が出てきたら、その大小関係を外して答えとします。

変数が3文字以上になると、このように等式を諦めて不等式をつないでいくことが多くなると思います。

4変数の問題

問題1はこちら(再掲)(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

基本的な考え方は上述した3変数の例題と変わりません。

\(k\) がある程度大きくなってしまうと、\(l\) や \(m\) や \(n\) はそれ以上に大きくなってしまうわけです。

数が大きくなってきてしまうと積の方が和よりも大きくなりますから、今回の登場人物たちはそこまで数が大きくないということで、範囲を絞っていきます。

範囲を絞るには、

\(k+l+m+n \leq n+n+n+n\)

と一番大きな \(n\) に変えてしまうというのが常套手段です。

6変数の問題

問題2はこちら(再掲)(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

基本的なシナリオは変わりませんが、ここまで文字が増えると工夫なしにしらみつぶして範囲を絞るのではなく、工夫をして少しでも労力を減らしたいところです。

一見、上述の例題や問題1と同じような顔の問題に見え、ただ拡張しただけのように見えます。

基本に加え、観察力や洞察力をもとにした「その場力」が必要となる良問です。

問題1の解答はコチラ

問題2の解答はコチラ

-実践演習, 整数系
-,

© 2024 MathClinic