例題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)
なめてかかると火傷するタイプの問題です。
「判別式とるだけだろ?なめんなよ」
と威勢よく取り組みだすと、だんだん青ざめていく人が増えていくと思います。
(以下ネタバレ注意)
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最初の一手はもちろん判別式
y=bx^{2}+(b+c-a)x+c という下に凸の放物線が x 軸と交点をもたなければ、全ての実数 x で
bx^{2}+(b+c-a)x+c \gt 0
ということが言えます。
なのでもちろん、最初の一手は
bx^{2}+(b+c-a)x+c=0 の判別式を D として D \lt 0 を目指すという方針です。
D=(b+c-a)^{2}-4bc ですから、整理すると
D=a^{2}+b^{2}+c^{2}-2ab-2bc-2ca
となります。
このあたりから、血の気が引いていくでしょう。
上手くいかないのは当然
手が止まるのは当然で、
- a , b , c が三角形の辺の長さを表す
という条件を使っていません。
つまり、
\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} a+b \gt c \\ b+c \gt a\\ c+a \gt b \end{array} \right. \end{eqnarray}
という条件をどこかで使う必要が出てくるわけです。
それを念頭に置けば
a^{2}+b^{2}+c^{2}-2ab-2bc-2ca
=2 (a^{2}+b^{2}+c^{2})-2ab-2bc-2ca-(a^{2}+b^{2}+c^{2})
=(a-b)^{2}+(b-c)^{2}+(c-a)^{2}-(a^{2}+b^{2}+c^{2})
=\{(a-b)^{2}-c^{2}\}+\{(b-c)^{2}-a^{2}\}+\{(c-a)^{2}-b^{2}\}
=(a-b+c)(a-b-c)+(b-c+a)(b-c-a)+(c-a+b)(c-a-b)
という式変形に辿り着きます。
とは言え、これは有名恒等式
有名恒等式
a^{2}+b^{2}+c^{2}-ab-bc-ca=\displaystyle \frac{1}{2}\{(a-b)^{2}+(b-c)^{2}+(c-a)^{2}\}
が自分のものになっていないとツライと思います。
追加問題について
例題で終わっては面白さ半減です。
次の追加問題もセットで考えると面白いです。
追加問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)
追加問題は先ほどの例題の
a , b , c を a^{2} , b^{2} , c^{2} に変えただけです。
「さっきと同じだろ、なめんなよこの野郎」
と意気揚々と先ほどの例題の解答をなぞると
D=(a^{2}-b^{2}+c^{2})(a^{2}-b^{2}-c^{2})+(b^{2}-c^{2}+a^{2})(b^{2}-c^{2}-a^{2})+(c^{2}-a^{2}+b^{2})(c^{2}-a^{2}-b^{2})
として、
「あれ?鋭角三角形だったらいいんだけど \cdots」
と、鉛筆を噛み始めることになります。