テーマ別演習 フィボナッチ数列とリュカ数列

フィボナッチ数列とリュカ数列 第6講【フィボナッチ数列の加法定理】【1986年度 中央大学ほか】

例題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

今回のテーマ別演習ではフィボナッチ数列、及びリュカ数列にまつわる話題を取り扱っていきます。

古典的な内容となるため、いいか悪いかは別として知っている人からすればアドバンテージになり得る内容です。

細かな知識を事細かに逐一全て覚えなきゃと身構える必要はなく、高校で学習する基本事項の運用で訊かれていることを導出できればそれで構いません。

一つのストーリーとして気がついたら頭に入っていたという状態となれば幸いです。

シリーズ一覧

フィボナッチ数列とリュカ数列 第1講【ビネの公式と黄金比】【フィボナッチ数列の和】【1994年度 関西医科大学ほか】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 今回のテーマ別演習ではフィボナッチ数列、及びリュカ数列にまつわる話題を取り扱っていきます。 古典的な内容となるため、いいか悪いかは別として知っている人からすればアドバンテージになり得る内容です。 細かな知識を事細かに逐一全て覚えなきゃと身構える必要はなく、高校で学習する基本事項の運用で訊かれていることを導出できればそれで構いません。 一つのストーリーとして気がついたら頭に入っていたという状態となれば幸いです。 シリーズ一覧 第1講はフィボナッ ...

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フィボナッチ数列とリュカ数列 第2講【リュカ数列の一般項】【隣接2項の最大公約数と極限】【1994年度 姫路工業大学】

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フィボナッチ数列とリュカ数列 第3講【相互関係】【2007年度 埼玉大学】

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フィボナッチ数列とリュカ数列 第4講【フィボナッチ数列の平方和】【2007年度 福島大学ほか】

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フィボナッチ数列とリュカ数列 第5講【カッシーニ・シムソンの定理】【1985年度 広島大学ほか】

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フィボナッチ数列とリュカ数列 第6講【フィボナッチ数列の加法定理】【1986年度 中央大学ほか】

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フィボナッチ数列とリュカ数列 第7講【シューブの公式】

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第6講では、フィボナッチ数列の加法定理というものを見ていきます。

問題の (3) で示すべき内容である

フィボナッチ数列の加法定理

  • \(F_{n+m}=F_{m}F_{n+1}+F_{m-1}F_{n}\)

というものがフィボナッチ数列の加法定理と呼ばれるものです。

フィボナッチ数列には様々な性質がありますが、それら各種性質の導出に貢献する性質です。

(以下ネタバレ注意)

 

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(1) について

これについては具体的に書き下していくだけです。

計算ミスすることなく計算を進めていけば

\(F_{15}=610\)

となります。

(2) について

  • フィボナッチ数列の隣接2項が互いに素

という内容の証明で、これについては第2講で扱った内容ですので、そちらを参考にしてください。

(3) について

今回の肝となる加法定理の証明です。

問題では「数学的帰納法で示せ」という指示があるため、方針面で迷うことはないでしょう。

やっていけば気づくと思いますが、

  • 前の2項の情報から次の項が決まる

というフィボナッチ数列の特性上、帰納法の構造についても

  • \(n=k \ , \ k-1\) のときの成立を仮定して、\(n=k+1\) のときの成立を目指す

というタイプの帰納法 ( 通称:一昨日昨日法 ) で仕留めます。

(4) について

(3) で示した加法定理が強力にはたらいてきます。

\(p=n+m\) ,  \(q=n\) とすることで

\(F_{p}=F_{p-q}F_{q+1}+F_{p-q-1}F_{q}\)

という関係式が得られ、移項すれば

\(F_{p}-F_{p-q-1}F_{q}=F_{p-q}F_{q+1}\)

ということになります。

\(F_{p}\) ,  \(F_{q}\) がともに \(k\) の倍数であれば、左辺は \(k\) の倍数です。

したがって、右辺も \(k\) の倍数となりますが、

  • \(F_{q}\) ,  \(F_{q+1}\) は互いに素

であるため、\(F_{p-q}\) が \(k\) の倍数となるしかなく、題意が示されます。

(5) について

  • 添え字を引いても約数 \(k\) をもつ

という (4) の性質から、どんどん添え字を小さくして考えることができます。

\(F_{126}\) ,  \(F_{78}\) の最大公約数を \(G\) とします。

(4) の性質から

  • \(F_{126}\) と \(F_{78}\) が \(G\) の倍数だから、\(F_{126-78}=F_{48}\) も \(G\) の倍数
  • \(F_{78}\) と \(F_{48}\) が \(G\) の倍数だから、\(F_{78-48}=F_{30}\) も \(G\) の倍数
  • \(F_{48}\) と \(F_{30}\) が \(G\) の倍数だから、\(F_{48-30}=F_{18}\) も \(G\) の倍数
  • \(F_{30}\) と \(F_{18}\) が \(G\) の倍数だから、\(F_{30-18}=F_{12}\) も \(G\) の倍数
  • \(F_{18}\) と \(F_{12}\) が \(G\) の倍数だから、\(F_{18-12}=F_{6}\) も \(G\) の倍数

ということになり、\(F_{6}=8\) は \(G\) の倍数です。

これより、

\(G \leq 8\)

ということになります。

一方、

8の倍数の判定法

  • \(n\) が \(8\) の倍数 \(\Leftrightarrow\) \(n\) の下 3 桁が \(8\) の倍数

という性質を考えると

  • \(F_{126}\) の下3桁 \(568\) は \(8\) の倍数
  • \(F_{78}\) の下3桁 \(464\) は \(8\) の倍数

であるため、\(F_{126}\) ,  \(F_{78}\) は公約数 \(8\) をもちます。

ゆえに

\(G \geq 8\)

ということになります。

以上から、\(G=8\) となるしか逃げ道がなくなり、求める最大公約数は \(8\) ということになるわけです。

加法定理の応用

今回の加法定理において

\(n\) が \(m\) の倍数のとき、すなわち

\(n=mq\)

として加法定理を用いてみると

\(F_{m(q+1)}=F_{m}F_{mq+1}+F_{m-1}F_{mq}\)

ということが言えます。

これにより、

フィボナッチ数列の整除性

\(n\) が \(m\) の倍数であるとき

  • \(F_{n}\) は \(F_{m}\) の倍数である

ということが \(q\) に関する数学的帰納法で示せる見通しが立つと思います。

(これについては【総括】の中で示しています。)

第5講の類題で扱った次の問題

第5講の類題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

この問題の (2) は見る人が見ると、当然の結果と言えます。

というのも、フィボナッチ数列 \(\{a_{n}\}\) に対して

\(a_{6}=8\)

ですから、この問題の (2) は

  • \(a_{6m}\) が \(a_{6}\) の倍数であることを示せ

と言われていることに他なりません。

そして、それは上述した、フィボナッチ数列の整除性から明らかでしょう。

(もちろん、試験場ではそんな一言で片づけるわけにはいきませんけどね。)

追記

上述した

フィボナッチ数列の整除性

\(n\) が \(m\) の倍数であるとき

  • \(F_{n}\) は \(F_{m}\) の倍数である

については逆も言えます。

つまり、

  • \(n\) が \(m\) で割り切れる \(\Leftrightarrow\)  \(F_{n}\) が \(F_{m}\) で割り切れる

という同値性が言えます。

これについて問題形式にしましたので、余力のある人はぜひ考えてみてください。

補足問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

例題の解答はコチラ

補足問題の解答はコチラ

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