例題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)
サイコロを投げて出た目の数の約数の番号の付いたカードを裏返していくという問題です。
実は、この設定で昔作問したことがありました。
当時は自分の中で新作問題のつもりで模試用に作問したのですが、後に奈良女子大で出題されていた本問を発見し、
そりゃこのぐらいシンプルな設定であれば被るわな
と思ったのを思い出します。
その問題は最後に類題としておいておきますので、よかったらどうぞ。
なお、以下の解説では赤面の状態をR、白面の状態をWと表し、左から番号順だと思ってください。
- 例:RRWRWWの場合、1が赤、2が赤、3が白、4が赤、5が白、6が白
(以下ネタバレ注意)
+ クリック(タップ)して続きを読む 1回の操作後のことなので、腕力でも片が付きます。 要するに、2のカードを裏返すような目である「2,4,6」のいずれかが出る確率であり \(\displaystyle \frac{1}{2}\) ということになります。 一見、鬱陶しいように感じますが、ある程度実験してみると という事実に気が付くと思います。 そうなると、3回(奇数回)操作をしているわけですから、1のカードは確実に赤面です。 であれば、あと1枚赤色のカードがあればよいということになり、大分気持ちが楽になります。 これについては という分類で整理していけばよいでしょう。 ここでは2が赤面となる場合を考えてみます。 3回の操作で1と2だけが赤面となるのは といういずれかの出方です。(順不同) \(k\) の決め方が \(5\) 通りあることに注意すると \(1+\displaystyle \frac{3!}{2!} \cdot 5=16【通り】\) ということになります。 3回の操作で も同様です。 4が裏返るためには4の目そのものが出る必要があります。 したがって4が赤ということは ということになります。 4が3回出るとすると、同時に2のカードも3回裏返されてしまい、2まで赤となってしまいます。 なので、 4は1回だけ出る ということになります。 この時点で で、2は赤ですから、残り2回の操作で2をもう1回だけ裏返す必要があります。 つまり、偶数を1回だけ出すことになるわけです。 4はもう使えませんから、2か6ということになります。 6が出るとすると というように、今度は2が白となりますが、新たに3,6が赤となってしまいます。 残り1回で3,6のみを元に戻すことはできません。 したがって、4の目が1回だけ出た という場面からは、2の目を出さざるを得ません。 そうなると状況は ということになり、残り1回の目で1が出れば ということになり、1と4のカードのみが赤面という状況が実現します。 まとめると、3回の操作で \(1 \ , \ 2 \ , \ 4\) の目が順不同で出ればよいことになります。 6のカードも6そのものが出ないと裏返りません。 なので、3回のうち1回は6が出ます。 この時点で です。 ここから3を白に戻すためには3か6が出る必要がありますが、6の目が出ると最初の状態に戻ってしまい詰んでしまいます。 なので、3が出る必要があり、 ということになります。 残り1回で2のカードのみを白面に戻すためには、2の目が出るしかなく となり、1と6のカードのみが赤面という状況が実現します。 まとめると、3回の操作で \(2 \ , \ 3 \ , \ 6\) の目が順不同で出ればよいことになります。 全てを赤にするためには少なくとも4,5,6のカードを1回は裏返さないといけません。 先述した通り、4,5,6のカードは4,5,6そのものの目が出ないと裏返りませんから、最低でもこの3回の操作は必要です。 この時点で です。 ここから、2のカードのみをひっくり返すために 2の目が出る という状況を考えると となり、あとは1のカードをひっくり返すために 1の目が出る とすると というように、全て赤面の状況が実現します。 つまり、 \(1 \ , \ 2 \ , \ 4 \ , \ 5 \ , \ 6\) の目が順不同で出れば全て赤の状況が実現します。 つまり、5回の操作では全て赤にできることが分かりました。 上の実験で、5回は最善を尽くしてモデルケースを考えましたから、4回以下の操作では実現できそうにはありません。 もちろん、 「お前が最善を尽くしたつもりなだけであって、もしかしたら実現するかもしれないじゃないか」 という突っ込みに耐えるためにきちんと示します。 先述した通り ので、1が赤面となるには奇数回の操作が必要になります。 4回以下で全て赤を実現するということになると、3回で実現させる必要があるわけです。 ただ、この3回は として使ってしまいます。 この時点で全て赤ではないですから、 詰みました、4回以下では無理です。 という運びになります。 振り返ってみると小難しい数式はほとんど出てきません。 構造や事象の分析力に重きが置かれている問題だと言えましょう。 本当は仮想難関大シリーズにおきたかったですが、設定がモロ被りだったので、類題として置いておきます。 ただ、オチの味付けはまた違う味です。(1) について
(2) について
残る赤のカードが2,3,5のとき
残る赤のカードが4のとき
残る赤のカードが6のとき
(3) について
(※さすがに1回で実現させるのは無理というのは自明とさせてください)
類題について
類題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)