場合の数・確率系 実践演習

サイコロの目の約数と論証【2014年度 奈良女子大学ほか】

例題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

サイコロを投げて出た目の数の約数の番号の付いたカードを裏返していくという問題です。

実は、この設定で昔作問したことがありました。

当時は自分の中で新作問題のつもりで模試用に作問したのですが、後に奈良女子大で出題されていた本問を発見し、

そりゃこのぐらいシンプルな設定であれば被るわな

と思ったのを思い出します。

その問題は最後に類題としておいておきますので、よかったらどうぞ。

なお、以下の解説では赤面の状態をR、白面の状態をWと表し、左から番号順だと思ってください。

  • 例:RRWRWWの場合、1が赤、2が赤、3が白、4が赤、5が白、6が白

(以下ネタバレ注意)

 

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(1) について

1回の操作後のことなので、腕力でも片が付きます。

要するに、2のカードを裏返すような目である「2,4,6」のいずれかが出る確率であり

\(\displaystyle \frac{1}{2}\)

ということになります。

(2) について

一見、鬱陶しいように感じますが、ある程度実験してみると

  • 1のカードは毎回裏返される

という事実に気が付くと思います。

そうなると、3回(奇数回)操作をしているわけですから、1のカードは確実に赤面です。

であれば、あと1枚赤色のカードがあればよいということになり、大分気持ちが楽になります。

これについては

  • 素数の目:2,3,5
  • 合成数の目:4,6
  • 悪さしない目:1

という分類で整理していけばよいでしょう。

残る赤のカードが2,3,5のとき

ここでは2が赤面となる場合を考えてみます。

3回の操作で1と2だけが赤面となるのは

  • 3回とも \(2 \ , \ 2 \ , \ 2\)
  • \(2 \ , \ k \ , \ k\) のように \(2\) が1回とそれ以外の目が \(2\) 回

といういずれかの出方です。(順不同)

\(k\) の決め方が \(5\) 通りあることに注意すると

\(1+\displaystyle \frac{3!}{2!} \cdot 5=16【通り】\)

ということになります。

3回の操作で

  • 1と3だけが赤面になる場合
  • 1と5だけが赤面になる場合

も同様です。

残る赤のカードが4のとき

4が裏返るためには4の目そのものが出る必要があります。

したがって4が赤ということは

  • 4は奇数回出る

ということになります。

4が3回出るとすると、同時に2のカードも3回裏返されてしまい、2まで赤となってしまいます。

なので、

4は1回だけ出る

ということになります。

この時点で

  • R R W R W W

で、2は赤ですから、残り2回の操作で2をもう1回だけ裏返す必要があります。

つまり、偶数を1回だけ出すことになるわけです。

4はもう使えませんから、2か6ということになります。

6が出るとすると

  • W W R R W R

というように、今度は2が白となりますが、新たに3,6が赤となってしまいます。

残り1回で3,6のみを元に戻すことはできません。

したがって、4の目が1回だけ出た

  • R R W R W W

という場面からは、2の目を出さざるを得ません。

そうなると状況は

  • W W W R W W

ということになり、残り1回の目で1が出れば

  • R W W R W W

ということになり、1と4のカードのみが赤面という状況が実現します。

まとめると、3回の操作で

\(1 \ , \ 2 \ , \ 4\)

の目が順不同で出ればよいことになります。

残る赤のカードが6のとき

6のカードも6そのものが出ないと裏返りません。

なので、3回のうち1回は6が出ます。

この時点で

  • R R R W W R

です。

ここから3を白に戻すためには3か6が出る必要がありますが、6の目が出ると最初の状態に戻ってしまい詰んでしまいます。

なので、3が出る必要があり、

  • W R W W W R

ということになります。

残り1回で2のカードのみを白面に戻すためには、2の目が出るしかなく

  • R W W W W R

となり、1と6のカードのみが赤面という状況が実現します。

まとめると、3回の操作で

\(2 \ , \ 3 \ , \ 6\)

の目が順不同で出ればよいことになります。

(3) について

全てを赤にするためには少なくとも4,5,6のカードを1回は裏返さないといけません。

先述した通り、4,5,6のカードは4,5,6そのものの目が出ないと裏返りませんから、最低でもこの3回の操作は必要です。

この時点で

  • R W R R R R

です。

ここから、2のカードのみをひっくり返すために

2の目が出る

という状況を考えると

  • W R R R R R

となり、あとは1のカードをひっくり返すために

1の目が出る

とすると

  • R R R R R R

というように、全て赤面の状況が実現します。

つまり、

\(1 \ , \ 2 \ , \ 4 \ , \ 5 \ , \ 6\)

の目が順不同で出れば全て赤の状況が実現します。

つまり、5回の操作では全て赤にできることが分かりました。

上の実験で、5回は最善を尽くしてモデルケースを考えましたから、4回以下の操作では実現できそうにはありません。

もちろん、

「お前が最善を尽くしたつもりなだけであって、もしかしたら実現するかもしれないじゃないか」

という突っ込みに耐えるためにきちんと示します。

先述した通り

  • 1のカードは毎回必ず裏返る

ので、1が赤面となるには奇数回の操作が必要になります。

4回以下で全て赤を実現するということになると、3回で実現させる必要があるわけです。
(※さすがに1回で実現させるのは無理というのは自明とさせてください)

ただ、この3回は

  • 4,5,6を裏返すために必要な3回

として使ってしまいます。

この時点で全て赤ではないですから、

詰みました、4回以下では無理です。

という運びになります。

振り返ってみると小難しい数式はほとんど出てきません。

構造や事象の分析力に重きが置かれている問題だと言えましょう。

類題について

類題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

本当は仮想難関大シリーズにおきたかったですが、設定がモロ被りだったので、類題として置いておきます。

ただ、オチの味付けはまた違う味です。

例題の解答はコチラ

類題の解答はコチラ

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