実践演習 方程式・不等式・関数系

複素数平面と観察眼【式の観察】【2000年度 東京工業大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

複素数平面を題材とした不等式証明の問題です。

なまじ色々見える分、方針面で右往左往するかもしれません。

実際自分が解いたときもウロチョロしました。

1の累乗根が見える形だったり、「何かあるのか」と思わせる舞台設定です。

本問を完答するためには

  • 計算力
  • 立てた方針で解ききれるかを判断する検証力
  • トラブルを打開するための観察力

が必要だと思います。

逆に本問はこれらの力を鍛える題材として使える問題だと思います。

もちろん、それらの力をつけるためには答えを見る前に「あ~でもないこ~でもない」と悩む必要があります。

(以下ネタバレ注意)

 

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(1) について

複素数 \(z\)の絶対値 \(|z|\) の扱いとしては

  • \(|z|=x+yi\) に対して、\(|z|=\sqrt{x^{2}+y^{2}}\) と実部虚部をもとに扱う
  • \(|z|^{2}=z\bar{z}\) と共役複素数を持ち出す

というのが大きな路線です。

今回は共役複素数を持ち出したとしても、劇的なうまみはなさそうに感じます。

極形式で与えられているとはいえ、

\(r\cos{\theta}\) ,  \(r\sin{\theta}\)

という立派な実部虚部がありますから、それをもとに計算していけばよいと思います。

(2) について

ひとまず 「\(\cdots\)」という部分を何とかしたいと思います。

そうなると、

初項 \(1\) ,  公比 \(z\) の等比数列の和

として処理したくなります。

\(z=1\) のときは easy です。

\(z \neq 1\) のときは筋が悪いと計算が大変です。

【解答】ではほんの少し工夫をしました。

ただ、

\(\displaystyle \frac{(r^{n+1})^{2}-2r^{n+1}\cos{(n+1)\theta}+1}{r^{2}-2r\cos{\theta}+1}\)

という試験場だと疑心暗鬼になりそうな形が出てきます。

尚更、何かうまくやる方法があるのかを探したくなってしまいますね。

(家で唸る分にはいいのですが、試験場だと怖い類の問題です。)

(3) について

\(z=1\) のときはそもそもの条件

\(|z+\displaystyle \frac{1}{2}| \lt \displaystyle \frac{1}{2}\)

を満たしません。

なので、場合分けは必要なく、\(z \neq 1\) のときを考えればよいでしょう。

誘導を使うとなると

\(\displaystyle \frac{(r^{n+1})^{2}-2r^{n+1}\cos{(n+1)\theta}+1}{r^{2}-2r\cos{\theta}+1} \lt 1\)

を示せばよいことになります。

この時点で若干眩暈と吐き気がします。

分母を払うにしても、不等号の向きがひっくり返るかどうか気にしなければなりません。

(今回は分母の出どころが \(|z-1|\) という正の値なので不等号の向きはひっくり返りませんが)

ただ、分母を払って定数項 \(1\) が消えたとて

\((r^{n+1})^{2}-2r^{n+1}\cos{(n+1)\theta} \lt r^{2}-2r\cos{\theta}\)

を示すことになるため、眩暈と吐き気はおさまりません。

このことから、示すべき不等式の左辺である

\(\displaystyle \frac{(r^{n+1})^{2}-2r^{n+1}\cos{(n+1)\theta}+1}{r^{2}-2r\cos{\theta}+1}\)

をいじくって何とかしようという方向性は捨てたくなります。

つまり

\(=\cdots=\cdots=\cdots\)

というように「等号を繋いでいく」ということを諦めて

\( \leq \cdots \leq \cdots \leq \cdots\)

というように「不等号を繋いでいく(評価する)」という路線を見据えていきたいわけです。

そこで

\(\displaystyle \frac{(r^{n+1})^{2}-2r^{n+1}\cos{(n+1)\theta}+1}{r^{2}-2r\cos{\theta}+1}\) を大きくしよう、大きくしよう

という気持ちでこの式を眺めます。

ここからが冒頭述べた「観察力」の問題です。

観察力がある方は

「ん?こんなもん \(1\) より小さくなるやろ」

と直感的に分かってしまいます。

ピンとくるものがあったでしょうか。

解答を見る前にぜひ、「そりゃそうだわ」と言えるように観察してみましょう。

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