実践演習 極限・微分積分系

区分求積法と誤差についての評価【2006年度 芝浦工業大ほか】

例題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

区分求積法に関わる極限を考える問題です。

(1) ,  (2) そのものは教科書の練習問題レベルなのですが、(3) が中々の曲者です。

一見モブキャラに見える (1) ,  (2) を活用するわけなのですが、その活用の仕方が問題です。

誘導設問の結果を利用するのではなく、「なぜこれを考えさせるのか」という設問の意味にまで目を光らせていないと中々とっかかりが見えないと思います。

(以下ネタバレ注意)

 

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(1) について

\(S_{n}=\displaystyle \sum_{k=1}^{n}\displaystyle \frac{1}{n+k}\) とシグマの形で表し

\(S_{n}=\displaystyle \sum_{k=1}^{n}\displaystyle \frac{\displaystyle \frac{1}{n}}{1+\displaystyle \frac{k}{n}}\)

と見ることで

\(\displaystyle \lim_{n \to \infty}S_{n}=\displaystyle \lim_{n \to \infty}\displaystyle \frac{1}{n}\displaystyle \sum_{k=1}^{n}\displaystyle \frac{1}{1+\displaystyle \frac{k}{n}}=\displaystyle \int_{0}^{1}\displaystyle \frac{1}{1+x} dx\)

と区分求積法で片付きます。

(2) について

(1) 同様

\(T_{n}=\displaystyle \sum_{k=1}^{n}\displaystyle \frac{n}{(n+k)^{2}}=\displaystyle \sum_{k=1}^{n}\displaystyle \frac{\displaystyle \frac{1}{n}}{(1+\displaystyle \frac{k}{n})^{2}}\)

と見れば、

\(\displaystyle \lim_{n \to \infty}T_{n}=\displaystyle \int_{0}^{1}\displaystyle \frac{1}{(1+x)^{2}} dx\)

となります。

(3) について

(1) で、\(\displaystyle \lim_{n \to \infty}S_{n}=\log{2}\) と得ているわけで、今回考える極限は当然不定形です。

とっかかりをどのように見出すかが難しいところです。

意識したいのは、

今回求める極限に現れる \(\log{2}-S_{n}\) というものは「誤差」を表す

ということです。

元々、(1) での導出過程から、\(\log{2}\) という値は「面積」という意味をもった値であることを意識するわけです。

そうなると、この誤差を目で見てみたいという「視覚化」という方向性が見えてきます。

そこをとっかかりとして

\(\log{2}=\displaystyle \int_{0}^{1} \displaystyle \frac{1}{1+x} dx\)

と見ることによって

\(\log{2}-S_{n}=\displaystyle \int_{0}^{1} \displaystyle \frac{1}{1+x} dx-\displaystyle \frac{1}{n}\displaystyle \sum_{k=1}^{n}\displaystyle \frac{1}{1+\displaystyle \frac{k}{n}}\)

と変形します。

さらに、第2項目に注目し、\(\displaystyle \sum_{k=1}^{n} { \ }\) という \(n\) 個の和で表すために、第1項目の積分区間を \(n\) 等分して

\(\displaystyle \sum_{k=1}^{n} \{\displaystyle \int_{\frac{k-1}{n}}^{\frac{k}{n}}\displaystyle \frac{1}{1+x} dx-\displaystyle \frac{1}{n} \cdot \displaystyle \frac{1}{1+\displaystyle \frac{k}{n}}\}\)

と見てやります。

この

\(\displaystyle \int_{\frac{k-1}{n}}^{\frac{k}{n}}\displaystyle \frac{1}{1+x} dx-\displaystyle \frac{1}{n} \cdot \displaystyle \frac{1}{1+\displaystyle \frac{k}{n}}\)

という誤差がシグマされて、\(\log{2}-S_{n}\) というトータルの誤差になっていると見るわけです。

ここからは、この誤差のもとを視覚化するために

\(y=\displaystyle \frac{1}{1+x}\)

のグラフを考えることになります。

補足について

今回の

\(S_{n}=\displaystyle \sum_{k=1}^{n}\displaystyle \frac{1}{n+k}\)

は、

\(S_{n}=1-\displaystyle \frac{1}{2}+\displaystyle \frac{1}{3}-\displaystyle \frac{1}{4}+\cdots+\displaystyle \frac{1}{2n-1}-\displaystyle \frac{1}{2n}\)

となり、この交代和の極限

メルカトル級数

\(1-\displaystyle \frac{1}{2}+\displaystyle \frac{1}{3}-\displaystyle \frac{1}{4}+\cdots=\log{2}\)

は有名です。

\(S_{n}=1-\displaystyle \frac{1}{2}+\displaystyle \frac{1}{3}-\displaystyle \frac{1}{4}+\cdots+\displaystyle \frac{1}{2n-1}-\displaystyle \frac{1}{2n}\)

については【総括】のあとに【補足】として導出過程を載せてあります。

類題について

類題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

例題の補足についてのまんまの類題が出題されていましたので、確認用に活用してください。

例題の解答はコチラ

類題の解答はコチラ

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