実践演習 極限・微分積分系

sinxに関する有名不等式【sinに関する数値評価】【2008年度 群馬大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

\(\sin{\displaystyle \frac{1}{2}}\) に関する数値評価の問題です。

(1) という誘導があるため、その誘導を利用すれば (2) の数値評価自体はそこまでひっかかることはないと思います。

厄介なのは (1) で、周期性を持つ \(\sin{x}\) の扱い、及び絶対値の処理をどのように処理するかという構想力が問われます。

(以下ネタバレ注意)

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(1) について

結局

\(|\alpha|+|\gamma|-2|\beta| \geq 0\)

という不等式を示せばよいことになります。

小さくしようと評価する路線

\(|\alpha|+|\gamma|-2|\beta|\) を「小さくしよう、小さくしよう」という気持ちで評価してみます。

その気持ちで \(|\gamma|\) をカットして小さくすると

\(|\alpha|+|\gamma|-2|\beta| \geq |\alpha|-2|\beta|\)

ということになります。

ここで、\(|\beta|=|\sin{\alpha}| \leq 1\) です。

なので、\(|\alpha| \geq 2\) であれば

\(|\alpha|-2|\beta| \geq 0\)

となり、\(|\alpha|+|\gamma|-2|\beta| \geq 0\) が成立します。

そうなると、\(|\alpha| \lt 2\) のときはどうなんだ?ということになり、その場合をつぶす方向になります。

絶対値を含む処理を考えると

  • \(0 \leq \alpha \lt 2\)
  • \(-2 \lt \alpha \lt 0\)

という場合分けを考えつきたいところです。

\(0 \leq \alpha \lt 2\)のとき

\(\sin{\alpha} \geq 0\) ですから、

\(\beta \geq 0\)

\(0 \leq \beta=\sin{\alpha} \leq1\) ですから、

\(\gamma \geq 0\)

これより

\(|\alpha|+|\gamma|-2|\beta|=\alpha+\gamma-2\beta\)

と絶対値は外れます。

そうなると

\(\alpha+\gamma-2\beta=(\alpha-\beta)-(\beta-\gamma)\)

すなわち、

\((\alpha-\sin{\alpha})-(\beta-\sin{\beta})\)

と見たくなります。

そうなってくると、\(f(x)=x-\sin{x}\) などと関数を設定し、\(f(\alpha)\) と \(f(\beta)\) の大小を比較する方針が思いつきます。

\(-2 \lt \alpha \lt 0\) のとき

\(y=x\) ,  \(y=\sin{x}\) が奇関数であることを考えると

\(\alpha=-\alpha'\) とおくと、\(0 \lt \alpha' \lt 2\) ですから、上述の場合に帰着し、そこから一気に話が進みます。

視覚化する路線

今回の \(\alpha\) ,  \(\beta\) ,  \(\gamma\) は合成写像的に定まっていきますから、それを視覚化していく路線も考えられます。

ただ、\(\alpha\) が一般の実数であるため、少しウルサイことになります。

この路線については【戦略2】【解2】で触れてあります。

(2) について

(1) で示した

\(\displaystyle \frac{|\alpha|+|\sin{\sin{\alpha}}|}{2} \geq |\sin{\alpha}|\)

に対して、\(\sin{\displaystyle \frac{1}{2}}\) を登場させようと思ったら

\(\alpha=\displaystyle \frac{\pi}{6}\)

を代入したくなると思います。

後は手なりに進んでいきます。

ノーヒントだと

炎上を覚悟でノーヒントでこの手の問題を出題する大学は少ないと思いますが、ノーヒントで出題されたときを想定しておきます。

知識に頼ることにはなりますが、\(\sin{x}\) を \(x\) の整式で近似するテイラー展開(マクローリン展開)

\(\sin{x}=\displaystyle \frac{x}{1!}-\displaystyle \frac{x^{3}}{3!}+\displaystyle \frac{x^{5}}{5!}-\displaystyle \frac{x^{7}}{7!}+\cdots\)

を基にした不等式

  • \(\sin{x} \geq x-\displaystyle \frac{x^{3}}{6}\)  (\(x \geq 0\))

を利用することが考えられます。

証明は差を取って微分してゴリゴリすれば証明できます。

この不等式に \(x=\displaystyle \frac{1}{2}\) を代入すれば

\(\sin{\displaystyle \frac{1}{2}} \geq \displaystyle \frac{23}{48}=0.4791\cdots\)

を得ることができます。

等式を繋ぐのではなく、不等式を繋いでいく評価の話題は苦手意識をもつ人も多いと思います。

場数を踏むとともに、発想の種となるような考え方や見方を自分のものにしていく必要があります。

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