Kenichiro Iwata

【モットー】:凡人の数学 ☛大学入試の数学は「正しく」勉強すれば報われることを伝えたいと思います。 【生業】:大学受験指導 【経歴】:名古屋大学理学部数理学科卒 【目標】:サイト名に込めました。(現在目標達成に向けて日々邁進)

2021/9/6

リプシッツ連続【全称命題とその運用】【2004年度 信州大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 必ず成り立つ不等式を文字通り絶対不等式と言います。 本問はある程度の演習をこなしている人からすると、あるものがインスピレーションされると思います。 そして、本問の \(k\) の最小値について予測できてしまうとも思います。 ただし、細かな部分まで詰めていこうとすると結構ウルサイ問題です。 採点基準にもよりますが、自分の手ごたえと実際の得点率にはギャップがある問題かもしれません。 (以下ネタバレ注意) + クリック(タップ)して続きを読む 形的 ...

2021/9/5

天井関数と床関数(ガウス記号)に関する極限【2000年度 大阪大学ほか】

例題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 類題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)   ガウス記号(床関数)が絡んだ極限と、その親戚(兄弟)のような天井関数が絡んだ極限について扱います。 指導者の間ではこんな言葉があります。 絶対値を絡めると平均点が5点下がる ガウス記号を絡めると平均点が10点下がる もちろん「何点満点なんだよ」とかどうでもいい突っ込みはやめてくださいね(笑) 要するに多くの受験生が苦手意識をもつ話題だということです。 例えばですが、 ...

2021/9/4

3次方程式の解の極限【2009年度 兵庫県立大学ほか】

例題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 3次方程式の解の極限について扱う問題ですが、口で言う以上の様々なテーマや教訓を含んでいます。 極限についてや、方程式の扱いについての実戦問題として得るものが多い良問だと思います。 (以下ネタバレ注意)   + クリック(タップ)して続きを読む (1) について これについては基本的な問題で、 ①:単調性と連続性 ②:代入して正となる値の存在 ③:代入して負となる値 の3点を確認します。 ②と③については今回は極限について考えれば十分 ...

2021/9/3

数値評価 第5講【log2の評価】【2007年度 東京大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 「数値評価」シリーズの第5弾です。 このシリーズの一覧はこちら 今回は \(\log{2}\) という自然対数の評価です。 (1) という誘導設問がありますが、単純に使うと失敗します。 恐らくほとんどの人が最初失敗して、そこからリカバリーしきれるかどうかという勝負になるでしょう。 不等式の精度を高めるために(誤差を小さくするために)どのようにすべきか、という部分に脳みそをつかっていきたいところです。 (以下ネタバレ注意)   + ク ...

2021/9/1

垂心と逆数【2009年度 岡山大学ほか】

例題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) \(y=\displaystyle \frac{1}{x}\) というシンプルな直角双曲線上の3点によってできる三角形の垂心もこの \(y=\displaystyle \frac{1}{x}\) 上にあるというキレイな性質について確かめてみようという趣旨の問題です。 座標計算で解析的に進めて確かめる分にはそこまでの話ではありません。 ただ、幾何的に腑に落ちる説明をつけようと思うと深みに嵌まります。 ここでは、入試の基本事項をおさえつつ、垂心と ...

2021/8/29

フェルマー点【3頂点までの距離の和が最小となる点】【2000年度 東北大学ほか】

例題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 類題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) フェルマー点と呼ばれる有名テーマについての問題を考えます。 例題では、フェルマー点の取り方と、なぜそう取ればよいのかについての証明を扱います。 類題は、フェルマー点を題材とした求値問題です。 特に断りがない限り、解答や戦略は「フェルマー点の知識を前提とせずに解くとしたら」という視点で解説してあります。 ひとまず以下はフェルマー点の概略について記しておきます。   フェル ...

2021/11/26

図形版予選決勝法【どちらの文字を先に固定するか】【1997年度 名古屋大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) シンプルな問題です。 本問は試験場においては確保したいレベルの問題なのですが、確保するにしても手際の良さがわかれる要素を含んでいます。 本問を通じて持って帰りたい教訓は2点ほどあります。 (以下ネタバレ注意) + クリック(タップ)して続きを読む 状況を図示すると 与えられたシチュエーションを図示すると のような状況となります。 多分、この絵をかくときに、 \(P\) をまずかいて、その次に \(Q\) をかく という順番でかくと思います。 ...

2021/8/27

オーダー【素因数の個数】【2007年度 横浜国立大学ほか】

例題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 類題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 自然数 \(n\) がもつ素因数 \(p\) の個数を \(a\) としたとき、\(a\) を \(n\) の素因数 \(p\) に関するオーダーと言い、 \(a=\mathrm{ord}_{p}n\) と表すことがあります。 この記号自体はあまり馴染みがないと思いますし、事実本問においてもこの記号は用いずに \(f(n)\) を定義することで出題しています。 素因数の個数を「数 ...

2021/8/26

対称性についての難問【消去する文字の判断】【1993年度 東京都立大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 対称性について考えさせられる問題です。 対称性を見落とさないことは数学において非常に大事な着眼点の一つです。 本問は一見対称性があるように見えますが、深く考えずに進めていくと手が止まる瞬間がやってくると思います。 完答するためにはどこかしらで何かしらの対応力が必要です。 (以下ネタバレ注意)   + クリック(タップ)して続きを読む 基本は文字消去 基本 条件一つで1文字消去 という原則にしたがって、文字を消したいと思うのが人情でし ...

2021/8/25

不定方程式【誤差を埋める】【2017年度 北海道大学ほか】

例題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 類題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)   例題の最終的なオチは与えられた2次式が平方数になるような \(n\) を求めるという問題です。 ノーヒントだと適度に差が付くレベルの問題になるでしょう。 例題は誘導があるため、本気で北大を目指している受験生であれば確保して然るべきレベルとなります。 一通り解いた後、ノーヒントで出題された場合の構想についても触れてみます。 類題は与えられた3次式が立方数になる \(m ...

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