実践演習 極限・微分積分系

関数列の一般項【定積分による漸化式】【1991年度 名古屋大学ほか】

例題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

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定積分を用いた漸化式によって定まる関数列の一般項を求めるという趣旨の問題です。

例題は数Ⅲ、類題はⅠAⅡBまでの範囲内での問題です。

数列の漸化式についてはパターン性が濃く、機械的な態度で処理するわけですが、本問の場合

  • 構造を見抜く目
  • 定積分の運用力

などが必要です。

難関大志望者に演習としてやらせてみると、確かな力がある受験生はきっちりと確保していますし、その後それぞれの志望校にキッチリ受かっています。

私の中では合否をわけるラインの難易度であるという認識の問題です。

(以下ネタバレ注意)

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例題について

例題はこちら(再掲)(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

路線1:実験

得体のしれない漸化式ですから、ひとまず実験してみます。

詳しい計算過程は解答PDFの中で確認していただければと思います。

実験の結果は

  • \(f_{2}(x)=x+\displaystyle \frac{1}{2e^{x}}\)
  • \(f_{3}(x)=x+\displaystyle \frac{3}{4e^{x}}\)
  • \(f_{4}(x)=x+\displaystyle \frac{7}{8e^{x}}\)

となります。

どこまで実験するかですが、

次の結果が直でかけるまで

というのが目安でしょう。

恐らく、次の \(f_{5}(x)\) は

\(f_{5}(x)=x+\displaystyle \frac{15}{16e^{x}}\)

でしょう。

というのも

\(f_{n}(x)=x+\displaystyle \frac{2^{n-1}-1}{2^{n-1}e^{x}}\)

ということが予想できるからです。

この予想が立てば、あとはその裏付けをとることになります。

その手段としては、当然

数学的帰納法

です。

路線2:実際にこの漸化式を解く

\(f_{n}(x)=x+\displaystyle \frac{1}{2}e^{-x}\displaystyle \int_{0}^{1}e^{y}f_{n-1}(y)dy\)

の両辺に \(e^{x}\) をかけると

\(e^{x}f_{n}(x)=xe^{x}+\displaystyle \frac{1}{2}\displaystyle \int_{0}^{1}e^{y}f_{n-1}(y) dy\)

となります。

積分変数は自由なので

\(e^{x}f_{n}(x)=xe^{x}+\displaystyle \frac{1}{2}\displaystyle \int_{0}^{1}e^{x}f_{n-1}(x) dx\)

としてよいですね。

ここからは

\(\displaystyle \int_{0}^{1}e^{x}f_{n-1}(x)dx=a_{n-1}\)

とおくと

$$\begin{eqnarray}
a_{n} &=&  \displaystyle \int_{0}^{1}e^{x}f_{n}(x)dx \\
\  &=& \displaystyle \int_{0}^{1} \{xe^{x}+\displaystyle \frac{1}{2}a_{n-1}\} dx \\
\end{eqnarray}$$

となり、ここから

\(a_{n}=1+\displaystyle \frac{1}{2}a_{n-1}\)

というド定番の漸化式が得られます。

ここから先は消化試合でしょう。

類題について

類題はこちら(再掲)(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

例題の内容の多項式版です。

原題では誘導設問がありましたが、難関大志望者の皆様にとっては余計なお世話ですし、そう感じてほしいということでカットしました。

例題の解答はコチラ

類題の解答はコチラ

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