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実践演習 整数系

約数と倍数に関する整数問題【1992年度 一橋大学ほか】

例題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

約数や倍数という整数問題の基本的な概念について扱う問題なのですが、決して簡単ではないでしょう。

整数問題らしく様々なものの見方に伴う別解があり、一つ一つが本問だけに限らず他の問題への糧となる内容を含んでいます。

聞けば簡単、解くのは別問題というタイプで、きっちりと差が付く問題です。

(以下ネタバレ注意)

 

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(1) について

n^{2}2n+1 が互いに素とは、

n^{2}2n+1 の最大公約数が 1

ということですから、最大公約数に迫る有力手段である

ユークリッドの互除法

を考えたいところです。

n^{2}2n+1 で割った商と余りを考えていきますが、係数に分数が現れることを考えると、このままだと考えづらいものがあります。

そこで、4n^{2}2n+1 に対して互除法を用いてやることを考えます。

4n^{2}=(2n+1)(2n-1)+1

ですから、

  • \mathrm{GCD}(4n^{2} \ , \ 2n+1)=\mathrm{GCD}(2n+1 \ , \ 1)=1

ということになり、4n^{2}2n+1 が互いに素だと分かります。

4 と奇数 2n+1も互いに素ですから

n^{2}2n+1 が互いに素

ということが言えます。

(2) について

方針1:帯分数化して整数=分数を作る

\displaystyle \frac{n^{2}+2}{2n+1} が整数となるときを考えることになります。

  • 頭でっかちは嫌われる

という格言に従い、仮分数を帯分数に直して考えたいところです。

ただ、やはり係数的にうっとうしいので

\displaystyle \frac{4(n^{2}+2)}{2n+1} が整数

となるときを考えます。

これにより

2n-1+\displaystyle \frac{9}{2n+1}=(整数)

という形で、\displaystyle \frac{9}{2n+1} という分数が整数ということになり、

  • 2n+19 の約数

と言えます。

方針2:平方数として見る

与えられた条件を直接立式すると、m を自然数として

n^{2}+2=m(2n+1)

と表せます。

これを

(n-m)^{2}=m^{2}+m-2

と見れば、

  • m^{2}+m-2 は平方数

ということが見出せます。

ここからも色々考えられますが、m^{2}+m-2 に近い平方数としては

m^{2} 近辺

が考えられますから、このあたりの平方数との大小比較をして絞り込むことを考えたいわけです。

方針3:名前を付ける

x=n^{2}+2y=2n+1 と名前をつけて n を消去すると

4x=y^{2}-2y+9

が言えます。

条件から \displaystyle \frac{x}{y} が整数ということが言えますから、それを活用するために

\displaystyle \frac{4x}{y}=y-2+\displaystyle \frac{9}{y}

と見たくなります。

そうなると、\displaystyle \frac{9}{y} が整数ということになり、 y9 の約数ということになります。

これにより 1 より大きな奇数 y

y=3 \ , \ 9

となり、n=1 \ , \ 4 と得られます。

類題について

類題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

例題とほぼ同様の態度で倒せますが、例題と比べて次数が高いため、ワンパンチ必要です。

見るべき部分を見るということが必要となってくるでしょう。

例題の解答はコチラ

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