問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)
大小比較という問題ですが、今回与えられている2数は形が同じで、角度が \(x\) と \(y\) となっているか \(2x\) と \(2y\) となっているかの違いしかありません。
形が同じ2数の大小比較ということで、それにどう対応するかという問題です。
ただ、これは表向きの話題であり、この問題を完答するために必要な隠れテーマも複数あります。
最初から見えるテーマもあれば、解き進めていくうちにそのテーマ性を見抜かなければならない場面にぶち当たることもあります。
タイトルからネタバレしないよう、そこは配慮しました。
この問題をざっと見て、将来的にポイントになりそうな部分を解説を読む前に考えて見てほしいと思います。
(以下ネタバレ注意)
+ クリック(タップ)して続きを読む 最初に目に付くのは \(x\) と \(y\) の対称性でしょうか。 まずはその対称性により \(0 \lt x \leq y \lt \displaystyle \frac{\pi}{4}\) で考えても一般性を失わないことになります。 今回与えられている形は \(\displaystyle \frac{P^{n}+Q^{n}}{(P+Q)^{n}}\) という形です。 これは です。 \(\displaystyle \frac{P^{n}+Q^{n}}{(P+Q)^{n}}=\displaystyle \frac{\displaystyle \frac{P^{n}+Q^{n}}{P^{n}}}{\displaystyle \frac{(P+Q)^{n}}{P^{n}}}==\displaystyle \frac{1+(\displaystyle \frac{Q}{P})^{n}}{(1+\displaystyle \frac{Q}{P})^{n}}\) であり、\(\displaystyle \frac{Q}{P}=R\) とおくことにより \(\displaystyle \frac{1+R^{n}}{(1+R)^{n}}\) と 1 変数化することができます。 今回は \(u=\displaystyle \frac{\cos{y}}{\cos{x}}\) , \(v=\displaystyle \frac{\cos{2y}}{\cos{2x}}\) とおくことで とすることができます。 \(f(t)=\displaystyle \frac{1+t^{n}}{(1+t)^{n}}\) と設定し、 \(f(u)\) , \(f(v)\) の大小比較をすることになります。 形が同じ2数の大小比較はこのように 枠となる関数を設定し、代入値として比較する という手法を取るのが有力な方針です。 ここからは という2点を調べることになります。 今回代入する \(u\) , \(v\) は \(0\) と \(1\) の間の実数ですから \(f(t)\) の定義域としては \(0 \lt t \lt 1\) として考えます。 詳しい計算はここでは省略しますが、商の微分法を用いて \(f'(t)\) を計算・整理すると \(f'(t)=\displaystyle \frac{n(1+t)^{n-1}(t^{n}-1)}{(1+t)^{2n}}\) となります。 \(0 \lt t \lt 1\) の範囲では \(f'(t) \lt 0\) で、\(f(t)\) が単調減少だと分かります。 \(u\) と \(v\) の大小については \(v-u=\displaystyle \frac{\cos{2y}}{\cos{2x}}-\displaystyle \frac{\cos{y}}{\cos{x}}\) の正負を判定すればよいことになります。 これを通分すると \(\displaystyle \frac{\cos{2y}\cos{x}-\cos{y}\cos{2x}}{\cos{2x}\cos{x}}\) となります。 \(0 \lt x \lt \displaystyle \frac{\pi}{4}\) の範囲では分母は正ということは分かります。 分子を見て少し溜息が出るでしょうか。 とか色々怯んでしまいそうです。 ここで再び観察力が問われます。 場当たり的に進めてもいけるっちゃいけますが、偶然性をできるだけ排除し、必然的に解くという訓練だと思ってください。 ここでは伏せますので、この後の式変形について見通しをもってできるかを考えてみてください。 大小比較と不等式証明【下る方向へ帰納的に考える】【実験と予想】【1999年度 和歌山大学】 問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) \(3^3+4^3+5^3=6^3\) を満たしているので、(1) は (2) の具体例です。 つまり \(n=3\) のときは \(a^n+b^n+c^n=d^n\) だということが分かります。 (以下ネタバレ注意) + クリック(タップ)して続きを読む 当然じゃあ \(n=1\) のときは? \(n=2\) のときは? \(n=4\) のときは?\(\cdots\) という興味が湧きますから、調べて ... 2変数の扱い【独立2変数編その2】【1992年度 大阪教育大】【1997年度 岐阜大学】 問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 独立2変数の扱いを学ぶ問題です。 本問は勉強している人ほど、沼にハマってしまいかねない問題です。 (以下ネタバレ注意) + クリック(タップ)して続きを読む 勉強している人ほど、本問は「平均値の定理」の形に見えてきます。 そこで飛びついてやってみると、見事に失敗します。 (解答の中の【戦略】で失敗した様子を解説しています。) そこで結構メンタル的に揺さぶられるのですが、そこから何とかリカバリーしたいと ... 等式・不等式の証明【差がつく有名な形】【2009年度 東北大学】 問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 等式・不等式の証明問題の問題として、本問は要点が凝縮されています。 そのためか練習問題として様々な問題集に収録されています。 演習の初期としては手ごろなレベルだと思います。 経験の有無に左右されるポイントや急所を含んでいますが、逆に言えば勉強していれば試験場では確保できる問題です。 (以下ネタバレ注意) + クリック(タップ)して続きを読む パッと思いつく方針としては 重要 \(x^{3}+y^{3} ... 同次式(斉次式)の扱いと絶対不等式としての処理【2016年度,1990年度 立命館大学】 問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 特徴のある式についてはその個性を活かした扱い方をします。 もちろん、そんな個性のある式はそんなに沢山あるわけではありません。 対称式、交代式、相反式 \(\cdots\) など名前がある式については、個性があるから名前がついています。 今回はその中でも「同次式(斉次式)」というものを扱います。 同次式とは、各項の次数が同じ式のことです。 同次式の例 ①:\(3x^{2}+4xy-y^{2}\) ②:\(4x^{3}+5x^{2} ... 和のa乗とa乗の和【式の特徴を見抜けるか】【2008年度 千葉大学】 問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) \(a\) が自然数であれば \((x_{1}+x_{2}+\cdots +x_{n})^{a} \geq x_{1}^{a}+x_{2}^{a}+ \cdots +x_{n}^{a}\) という本問とは逆向きの不等式が成り立つのは自明なのですが、本問はそう容易くはないでしょう。 どこから切り崩そうか、戦略から含めて考える必要があります。 (以下ネタバレ注意) + クリック(タップ)して続きを読む 登場人物の中で唯 ... 形が同じ2数の大小比較【隠れテーマ複数あり】【2009年度 早稲田大学】 問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 大小比較という問題ですが、今回与えられている2数は形が同じで、角度が \(x\) と \(y\) となっているか \(2x\) と \(2y\) となっているかの違いしかありません。 形が同じ2数の大小比較ということで、それにどう対応するかという問題です。 ただ、これは表向きの話題であり、この問題を完答するために必要な隠れテーマも複数あります。 最初から見えるテーマもあれば、解き進めていくうちにそのテーマ性を見抜かなければならない場面にぶち当 ... ルートに関する絶対不等式【解法の守備範囲】【2000年度 鳴門教育大学ほか】 例題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 類題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) ルートが絡んだ絶対不等式に関する問題です。 例題と類題を並べてみて、違いが分かるでしょうか。 例題、類題共に様々な解法がありますが、例題で学んだ解法をそのまま類題に適用しようとすると、方針によっては中々大変だったりします。 試験場で自分が選択する解法は一通りだと思いますが、普段の学習において別解を色々考えてみることや、比較検討することは大切なことです。 もちろん、今述べたことは基 ... 2022年度 東北大学 理系第4問【2直線に接し外接する2円】 問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) という状況はよくあるシチュエーションで、この構図を扱ったことのある受験生は多いかもしれません。 様々な文字が飛び交う一般的な設定なので、何を何で表すのかということを見失わないようにしっかりと整理していきたいところです。 オチについては、前半の (1) , (2) が確保できれば割とボーナス問題です。 特別な解法を必要とするわけではなく、素直に状況を立式していけば結論まで辿り着けます。 ただ、色々解法が目につき、目移りするかもしれません。 確 ... 同次式単品というよりは、その他のポイントも複合的に入っている問題が多いです。 同次式の難しさは 同次式を同次式と見抜く という部分でしょう。目につくポイントその1
目に付くポイントその2
1変数であれば
\(f(t)\) の増減について
\(u\) と \(v\) の大小について
同次式に関する類題