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実践演習 極限・微分積分系

双曲線が絡んだ面積【特殊な置換積分】【2011年度 津田塾大学ほか】

【問題1】はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

【問題2】はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

双曲線が絡んだ面積計算についての問題です。

【問題1】では双曲線関数と呼ばれる関数を利用したパラメータ表示

【問題2】では三角関数を利用したパラメータ表示

※双曲線関数についての説明は【問題1】の【総括】で説明しています。

を切り口とした誘導が付いています。

細かなことを抜きにして双曲線を y=f(x) の形で表すと

x^{2}-y^{2}=1 の場合は y=\sqrt{x^{2}-1}

x^{2}-y^{2}=-1 の場合は y=\sqrt{x^{2}+1}

という形が現れます。

つまり、

\displaystyle \int_{ \ }^{ \ }\sqrt{x^{2}-1} dx\displaystyle \int_{ \ }^{ \ }\sqrt{x^{2}+1} dx という積分計算に関する問題と絡んでくるわけです。

問題を解くにあたり、この積分計算がモロに全面的に押し出されているわけではありませんが、本問を通じてこれらの積分計算へのアプローチについても見ていきます。

(以下ネタバレ注意)

 

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【問題1】について

【問題1】はこちら(再掲)(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

【問題1】は

双曲線 x^{2}-y^{2}=1

\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} x =\displaystyle \frac{e^{t}+e^{-t}}{2} \\ y = \displaystyle \frac{e^{t}-e^{-t}}{2} \end{array} \right. \end{eqnarray}

とパラメータ表示したものを切り口としています。

(1) ,  (2) はこの路線に誘導する設問であり、問題自体は言われたことをやるだけです。

(3) については双曲線 y=\sqrt{x^{2}-1} が絡んだ面積計算をさせられますが、

\displaystyle \int_{0}^{a} y dx

=\displaystyle \int_{0}^{s} y \displaystyle \frac{dx}{dt} dt

=\displaystyle \int_{0}^{s} \displaystyle \frac{e^{t}-e^{-t}}{2} \cdot \displaystyle \frac{e^{t}-e^{-t}}{2} dt

=\displaystyle \frac{1}{4}\displaystyle \int_{0}^{s} (e^{t}-e^{-t})^{2} dt

と手が進んでいきます。(ここまでくれば後は手なりに進めていけるでしょう。)

【問題2】について

【問題2】はこちら(再掲)(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

【問題2】は

双曲線 x^{2}-y^{2}=-1

\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} x =\tan{t} \\ y = \displaystyle \frac{1}{\cos{t}} \end{array} \right. \end{eqnarray}

とパラメータ表示したものを切り口としています。

1+\tan^{2}{t}=\displaystyle \frac{1}{\cos^{2}{t}}

を移項すれば、

\tan^{2}{t}-\displaystyle \frac{1}{\cos^{2}{t}}=-1

が得られることから、このようにパラメータ表示できるというわけです。

積分計算との絡みについて

【問題1】や【問題2】の結果は

\displaystyle \int_{ \ }^{ \ }\sqrt{x^{2}-1} dx\displaystyle \int_{ \ }^{ \ }\sqrt{x^{2}+1} dx という積分計算について

Ⅰ:双曲線関数を利用した置換積分

\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} x =\displaystyle \frac{e^{t}+e^{-t}}{2} \\ y = \displaystyle \frac{e^{t}-e^{-t}}{2} \end{array} \right. \end{eqnarray}

※双曲線の種類によっては

\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} x =\displaystyle \frac{e^{t}-e^{-t}}{2} \\ y = \displaystyle \frac{e^{t}+e^{-t}}{2} \end{array} \right. \end{eqnarray}

と逆にしたものもあり得ます。

Ⅱ:三角関数を利用した置換積分

\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} x =\tan{t} \\ y = \displaystyle \frac{1}{\cos{t}} \end{array} \right. \end{eqnarray}

という2つのアプローチがあるよということを示唆してくれているわけです。

ノーヒントで\displaystyle \int_{ \ }^{ \ }\sqrt{x^{2}-1} dx\displaystyle \int_{ \ }^{ \ }\sqrt{x^{2}+1} dx という積分計算が出題されると厳しいものがあります。

大抵は誘導がつくでしょうが、ノーヒントでの出題の可能性はゼロではありません。

(2011年度の東大でノーヒントでこのタイプの積分が必要になる問題が出題されています。)

難関大を目指すにあたってはマスターしておきたい話題です。

【問題1】の解答はコチラ

【問題2】の解答はコチラ

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